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チリ・アンデスの奇妙なスミレたち

6日目    20191215()

マウレ湖

 

 昨日は到着が遅く、寝るのが遅れたので、今日は七時までゆっくり眠っていました。室温は25.4℃と、これまでの高地と違い高い。窓を開けると、見事に晴れています。

 

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 今日は、タルカの東にあるマウレ湖(Laguna del Maule)に行きます。

 

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 七時半からホテルのレストランで朝食です。昨日の夕飯に比べると、朝食は特にまずいというとはありません()

 

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最初は外来種

 八時半にホテルを出発しました。

 

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 郊外に出ると葡萄畑など、農地が広がっています(写真下)

 

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 道端にクサフジのようなきれいな花の群落を見つけてバスを停めました。本日初めての花は外来種です。すでに何度も出ている花で、これまで違い、ここは群落していて、だいぶん印象が違う。

 

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写真上下 Galega officinalis

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 中東原産でヨーロッパなどでは飼料や緑肥として用いられ、世界中に広がっています。北アメリカでは有害な雑草として駆除の対象になっています。たしかにここのような調子で牧場や畑に広がったら、始末に困るでしょう。でも、この藤色の花が一面に咲いている光景は私の好みに合います。

 

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 写真下は日本ではノラニンジンと呼ばれ、西アジアや欧州が原産ですから、ここでも外来種です。ニンジンの野生種なのに、根は細くで食べられないそうです。

 

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写真上 Daucus carota

 

 写真下も地中海を原産とする外来種で、アザミというよりもヤグルマギクの仲間です。オーストラリア、チリやアルゼンチン、北米にも広がっていて、馬が食べると害があり、嫌われています。

 

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写真上 Centaurea solstitialis

 

 写真下はアレチモウズイカという名前で日本にも来ています。南ヨーロッパが原産地の外来種で、これもオーストラリア、ニュージーランド、南北アメリカに広がっています。写真下右のように、かなり背が高くなります。

 

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写真上下 Verbascum virgatum

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 写真下もヨーロッパを原産地として、キクニガナの名前で日本にも帰化している外来種で、今年の六月にキルギスの首都ビシュケクの街中で雑草として見かけました。

 

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写真上 Cichorium intybus

 

 写真下は日本にも来ているバーベナです。強い繁殖力で世界自由に広がっています。しかし、これは南米が原産地ですから自生種です。私がここで写した植物で外来種ではないのが、これ一つでした。日本と同じで、道端は外来種だらけです。

 

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写真上 Verbena litoralis

 

 

マウレ川に沿って上る

 右側(南側)にマウレ川を堰き止めて作った大きな貯水湖が見えます。

 

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 さらに上流にもいくつかマウレ川を堰き止めた貯水湖があります(写真下)。私たちが行くマウレ湖自体が人工湖ですから、マウレ川がタルカなどの重要な水資源になっているのがわかります。

 

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 さらに上流では、水力発電所のような設備も見えます(写真下左)。ただ、高低差も小さく、発電機が入っている建物も小さいから、小規模な発電でしょう。雨が少なく、コンドルが滑空できるほどの風の吹くチリなら、太陽光や風力のほうが発電に向いているようにみえます。

 

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 道に沿って黄色い花が満開です(写真下)。高さからいって、草ではなく灌木のように見えます。

 

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 進むにつれて谷は狭くなってきました。周囲はサンティアゴなどに比べると緑が豊かです。

 

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 マウレ川では泳いでいる人たちもいます(写真下)

 

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 両側に山が迫ってきた所で、花の観察です。

 

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自生種が増えた

 このまま花壇や鉢植えもできるようなかわいいカタバミの仲間で、実際、園芸種としても売られているようです。チリ中部とアルゼンチンに生息しています。

 

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写真上下 Oxalis squamata

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 写真下は道端の灌木で、残念ながら、花は終わりかけています。チリやアルゼンチンを原産地として南米に広く分布し、薬草として用いられることもあるようです。

 

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写真上 Fabiana imbricata

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 見るからにマツヨイグサで、マツヨイグサ自体が南北アメリカが原産ですから、ここでは原生種です(写真下)

 

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写真上 Oenotheraの仲間

 

 蔓性の植物がキクのような花を咲かせています。チリでは中央部に分布し、薬用にも用いられているようです。前にも出てきたが、ここのは花がたくさんあって、見事です。蔓だから、からみつかれたほうはたまらないでしょう。

 

 

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写真上下 Mutisia ilicifolia

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 花の色は微妙で、かすかなピンクが多数で、白もあります。しかも、そのピンクがまだらに混ざっていたりします。

 

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 写真下は上と同じで、蔓状のキクの仲間です。チリでは中部から南部に分布します。

 

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写真上 Mutisia decurrens

 

 日本ではシベナガムラサキと呼ばれるエキウムで、欧州が原産ですから、ここでは外来種です(写真下)。朝、最初に見たところではほとんどが外来種だったのが、山道を進むにつれて外来種が少なくなっています。

 

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写真上 Echium vulgare

 

 標高1000mをこえたあたりから、山から樹木が消えて、禿山が目立つようになってきました。

 

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 トラゴポゴンという面白い名前で、花もガクが花火のように周囲を飾っていて、なかなか印象的な花です(写真下)。残念ながら、ヨーロッパと西アジアが原産の外来種です。

 

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写真上 Tragopogon dubius

 

 背の高いキクの仲間が花を咲かせています(写真下)。チリでは中央部に分布します。

 

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写真上下 Viguiera revoluta

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 写真下の見事な花がナスの仲間だと聞いて、ちょっと驚きます。南米はナスの仲間がずいぶん頑張っている。ここのはきれいなオレンジですが、他にも白や黄色などがあるようです。

 

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写真上下 Salpiglossis sinuata

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 先ほどまでと違い、周囲は大きな樹木はなく、乾いた感じの山岳地帯が広がっています。

 

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コンドルは飛ぶ

 写真下は高さが4~5mになる樹木で、チリとアルゼンチンに分布します。

 

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写真上 Dipyrena juncea

 

 これまでも何度も出てきた花弁が袋になっているカルセオラリアがまとまって咲いています(写真下)

 

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写真上下 Calceolaria の仲間

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 写真下もカルセオラリアで、上よりも薄黄色で、数も少ない。

 

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写真上下 Calceolaria の仲間

 

 写真下の花は、ポルティーヨでは赤い斑点があって印象的だった花です。赤い斑点がないと印象がだいぶん違い、あったほうが良い。

 

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写真上 Erythranthe lutea

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 かすかに紫の混ざった白い花を咲かせるマメの仲間が少し生えています(写真下)。周囲が色のはっきりした花が多いので、目立たない。

 

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 写真下は花が目立たないほど小さい上に咲いている花が少なく、植物全体は大きいので、写真に撮りにくい。写真下右のほうが全体の雰囲気を表しています。

 

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 写真下のフウロソウはチリとアルゼンチンなど南米の南側に分布します。

 

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写真上 Geranium berteroanum

 

 写真下は葉の高さが2m以上にもなるというグンネラで、アルゼンチンとチリが原産地です。新芽の茎が食べられるようです。今年9月にエクアドルでも、このグンネラの仲間を見ました。

 

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写真上下 Gunnera tinctoria

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 大きな庭園なら人目を引き見栄えしそうです。私と同じ事を考えて観賞用に導入したイギリスやアイルランドでは、野生化して駆除の対象になり、EUでは栽培や販売などが全面的に禁止されています。

 

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 空にコンドルが数羽舞っています(写真下)。私の自宅の近くのカラスと違い、カアとも鳴かず、羽ばたくこともなく、悠然と滑空しています。私たちの頭の上を何周もしていますから、こいつらは死骸ではないのかと見ているようです。降りてこないから、たぶん私はまだ死体ではない()

 

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 コンドルはチリでは国章に使われているほどです(下図右)。鳥にしては珍しく頭が禿げている。この禿げているという言葉に私は敏感に反応してしまうのだが、頭部を突っ込んで死肉を食べる時、雑菌がつくのを防ぐためという説が有力でしょう。こんな大きな鳥が食べられるほどの死肉がこのあたりにあるのだから、それだけ動物がいることになります。

 

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 死肉をあさる、というと聞こえが悪く、ハイエナなど悪いイメージだが、死んだ物を食べるなら、むしろ害がないどころか、掃除をしてくれるのだから、けっこうな話です。

 

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 パトリシオさんによれば、舞っているのはすべてメスだそうです。コンドルのメスはオスよりも少し小型です。また、夫婦は一生つれそうので、仲睦まじいと取る人もいるようですが、たぶん、そうしないと生き残れないような厳しい環境なのでしょう。つまり一夫一婦制を守ったコンドルだけが子孫を残せた。

 

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 コンドルを見上げすぎて、首が痛くなかったので、先に進みましょう。

 

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 あんな崖の下でキャンプをしています(写真下左)。石が落ちて来そうで怖いが、水場など、何か理由があるのでしょう。

 

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 山の向こうに尖がった雪山が見えます(写真下)。カンパナリオ火山(Volcán Campanario4049m)で、ちょうどチリとアルゼンチンの国境にありますから、国境に近づいてきたことを意味します。

 

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 犬・・・ではなく、キツネです(写真下)12日のポルティーヨのキツネと同じで、あまり人を恐れる様子はなく、「餌をくれないかなあ」という顔をしている。今回、二度も人馴れしたキツネを見ると、どうやら、チリの人たちはこういう野生動物にもやさしく、餌をあげているらしい。ファレヨネスネヴァド溪谷に行った時、黄色い鳥が私たちを恐れる様子もなく近づいてきたのも、人間は餌をくれると知っているからではないか。ファレヨネスのホテルの犬たちの緊張感のない様子など、チリ人たちの動物に対する態度を良く表しているのでしょう。

 

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ロゼットヴィオラ

 ロゼットヴィオラを探して急斜面を必死に登っていくと、ありました(写真下)

 

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 これまでのロゼットヴィオラと違い、花は大きく、葉も松かさ状ではありません。ただ、これも日本のスミレのイメージとは違う。

 

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写真上下 Viola cotyledon

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 写真下のように、スミレらしい紫色です。このスミレも両側の花弁に白い毛が生えています。

 

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 特徴的なのは葉が白く縁取りしてあるように見えることで、たぶん虫を呼ぶのに効果的なのでしょう。

 

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 写真下のように薄紫もあります。

 

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 さらに白花も少しあります(写真下)

 

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 ネットでこの花を「キツネ顔」と表現した人がいて、たしかに下の花弁が真ん中で折れ曲がったように細くなっています(写真下)

 

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 私が写真を撮るのにノロノロしていると、皆さん、どんどん上に登っていきます(写真下)。もう一種類の別なロゼットヴィオラがあるらしい。

 

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マツカサすみれ

 斜面の上のほうにもう一つ別な種類のロゼットヴィオラがありました(写真下)。両者は場所もかなり重なっているのに、姿はだいぶん違っていて、こちらのほうが「マツカサすみれ」で、これまで見て来たロゼットヴィオラに近い。

 

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写真上下 Viola congesta

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 株の大きさ、花の大きさもこれまで見た松かさ状のロゼットヴィオラと同じくらいです。

 

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 先ほどのヴィオラと違い、こちらは花弁に毛がありません。毛が生えていないので、両側の花弁の奥に突起物のように白く突き出た部分があるのがわかります。たぶん、他の種類のヴイオラもそうなのでしょう。

 葉に細かい毛が生えています。また、葉の切れ込みの付け根に茶色い粒のようなものが付いています。これは腺体と呼ばれ(『アンデスすみれ旅』142ページ)、ネットで調べると、腺体とは蜜の出る蜜腺だそうです。他のスミレにはない特徴らしいから、見分けるのには便利です。

 

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 このロゼットヴィオラは今回の旅行では初めてみる種類です。

 

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 13日のファレヨネスでお花畑になっていたスベリヒユの仲間が、ここではたった一株だけです(写真下)

 

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写真上 Montiopsis umbellata

 

 小さなアヤメの仲間で、チリでは中部に分布しています(写真下)。オルシニュウムの仲間のほとんどは南米に分布します。

 

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写真上 Olsynium frigidum

 

 

マウレ湖

 アルゼンチンへの国境の検問所に来ました(写真下右)。実際の国境まではまだ距離があり、私たちは国境を越えることはありませんが、目的地のマウレ湖はこの国境検問所の向こうにあるのです。私たちは一人ずつ手続きをしたわけではなく、簡単に通過できました。行きはヨイヨイで、帰りは別でした()

 

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 国境検問所をすぎるとマウレ湖(Laguna del Maule)が見えてきました。写真下は湖全体ではありません。川をせき止めた人工湖です。

 

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 今日は青天なので、バイクツーリングも楽しいでしょう(写真下)

 

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ロゼットヴィオラのお花畑

 湖の見える斜面を登り、ロゼットヴィオラを探します。先ほどの場所よりも斜面は急ではないから、いくぶん楽です。

 

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 ありました。先ほども見た、花が大きく、松かさになっていないロゼットヴィオラです。

 

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写真上下 Viola cotyledon

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 真っ青なマウレ湖を背景に地面に花束を置いたように咲いています。自然の美しさと言いたいところだが、マウレ湖は前述のように人工湖です。

 

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 先ほどとは比べ物にならないほど数が多く、斜面一面が大きなお花畑になっています。

 

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 色に違いがあり、濃い紫、紫、薄紫、白に分けてみました。まず、先ほどの場所にはなかった濃い紫の花です(写真下)。園芸種のスミレでも見かける色で、ここでは多数ではありません。

 

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 花が大きくて一つの株にまとまって咲いているので、「マツカサすみれ」タイプのロゼットヴィオラとはだいぶんイメージが違います。しかし、何も知らずに見たら、やはりスミレだとは思わないでしょう。

 

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 ロゼットヴィオラの本を見ても、ここまではっきりとした紫の種類は少なく、ほぼこの種に限られているようです。

 

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 次が紫で、この後の薄紫と合わせて大半を占めます。

 

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 ここの花も、先ほどと同じように、下の花弁が折ったように細くなっている「キツネ顔」です(写真上右)。キツネ顔も両側の花弁の白い毛も、虫を集めるためや花の奥に誘導するためなのでしょう。今回、これだけ天気が良いのに、虫はほとんど気が付きませんでした。

 

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 花の根元の茎が黄色いので目立ちます。写真下左側のように、本数が多く花が混んでいると目立たないが、まばらだと目立ちます。

 

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 次がやや薄紫で、上の紫とこのやや薄い紫がここでは多数です。

 

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 紫と薄紫が多数を占めているので、お花畑を遠くから見ると、地面の色に同化してしまい、目立ちません。

 

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 離れて見ると色が違ってきて、写真下などは薄紫に少し赤味が混ざっているような印象です。

 

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 最後は白です。真っ白だけでなく、かすかに色が混ざっているのも多い(写真下)

 

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 色の微妙な違いはカメラのホワイトバランスや露出で違ってくるので、一概には言えませんが、写真下の左右を比べると、単独で見ると白のように見えても、右側がかすかなピンク色に見えます。

 

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 花弁が白いと、花の根元の黄色い茎の部分がいよいよ目立ち、遠くから見ると、まるで黄色い花のようにも見えます。たぶん、それもまた虫を集めるための作戦でしょう。

 

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 色分けができるのがある一方、写真下のように、濃い紫と白が混ざって生えていることもあります。これは色の違う別々な株がたまたま混ざったのだろうか?

 

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 写真上左のように、色が分かれているから、別な株がたまたま隣同士になった可能性もあります。一方、このロゼットヴィオラもまとまって生えているのは、根が「木質で下部で纏って一本になっている」(『アンデスすみれ旅』157ページ)という説明があります。ただ、「一本になっている」とは、一つの根から出ているという意味なのか、単に複数の根がからみあい助けあっているという意味なのかわかりません。写真下のように(二枚とも同じスミレ)、一本の茎から紫と白が両方が生えているのもあります。

 

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 花が大きくてたくさん咲いていると、どこがロゼット状なのかわかりにくいが、写真下を見ると、ロゼット状の葉を中心として、四方八方に向いたスピーカーのように花が付いているのがわかります。さっき見た「マツカサすみれ」は葉の中に花が埋もれているのに対して、こちらは花も大きく、葉から飛び出しています。

 

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 写真下など、単独で生えているから、花の付き方が良くわかります。まだたった一本で、これから毎年、数を増やして株を大きくしていくのでしょう。

 

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オキザリス

 ロゼットヴィオラと同じ斜面に、ピンク色のきれいなカタバミが咲いています。これまでも何度かこういうきれいなカタバミを見ましたが、これは初めて見る種類です。

 

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写真上 Oxalis adenophylla

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 カタバミのピンクと湖と空の青が素晴らしい。

 

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 英語名は「チリのカタバミ(Chilean oxalis)」というくらいで、チリとアルゼンチンのアンデスに分布します。

 

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 紫と白のロゼットヴィオラとオキザリスの豪華共演です(写真下)。こういう厳しい環境ですから、異種でもまとまったほうが有利になる反面、実はお互いに邪魔かもしれません(写真下)

 

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 オキザリスは大勢でにぎやかに咲いていることが多い中、離れたところにポツンと二人や三人で咲いていることもあります(写真下)。これもなかなか良い。

 

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 攻めてきたネギ坊主のような宇宙人と逃げ惑うオキザリス、なんて構図はどうでしょう(写真下)

 

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 だが、宇宙人たちは通り過ぎてしまった(写真下)

 

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 ロゼットヴィオラの向こうにも宇宙人がいる。

 

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 なんとも奇妙というか、ひょうきんな姿の植物は、これでキクの仲間だという(写真下)。チリの中央部から南部にかけて分布します。まっすぐではなく、斜めに成長するのがおもしろい。どうしてでしょう?

 

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 「ここは眺めがいいですなあ」「はい、特等席です」と話しているかどうかはわかりません(写真下)

 

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写真上下 Nassauvia revoluta

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 ロゼットヴィオラやオキザリスなどが群落している斜面から少し回り込むと、他の花がほとんどない所に、誰かが置き忘れたようにポツンと写真下の花だけが咲いていました。

 

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写真上下 Oreopolus glacialis

 

 エル・コロラドでも見かけた五つの花弁の花で、今日、最初にロゼットヴィオラを見た斜面でも群れて咲いていました(写真下)

 

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写真上下 Oreopolus glacialis

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さらに湖のほとりを進む

 ロゼットヴィオラの斜面で昼食の予定でした。私は団子より花なので、集合時間になってバスに戻ってから昼食です(14:06)

 

 

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 バスの窓からは荒涼とした素晴らしい光景が広がっているので、食事はしばしば中断して、さらに後で別な事情でこの昼食そのものを捨てることになり、食べ損ねました。その事は後でお話しします。

 

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 山の斜面で花を探します(写真下)

 

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 ピンクや白の小さな花が群生しています(写真下)。花が咲いている所は水が流れ込んでいて、足を踏み入れられないくらいの湿地です。

 

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写真上下 Anagallis alternifolia

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 サクラソウの仲間で、チリでは中部から南部にかけて分布します。

 

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 写真下は花がオレンジ色であることから、「銅の花(flor de cobre)」と呼ばれています。午前中、登ってくる途中で、この花の黄色い仲間を見ました。チリやアルゼンチンのみに分布し、チリの植物にしては珍しく、湿った場所を好むとあり、実際、ここはそうです。

 

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写真上 Mimulus cupreus

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 花の下が袋になっているカルセオラリアです(写真下)。この種はここで初めて見ました。今回の旅行では分かっているだけでも6種類のカルセオラリアを見て、さらに判別できないのがいくつかありました。見かけは似ているのにほとんどが別種らしい。

 

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写真上下 Calceolaria filicaulis

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 黄色いマメの仲間です(写真下)。ウィキペディアを見ると、Adesmiaだけで軽く100種以上あるようで、当然、特定できません。

 

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写真上 Adesmia の仲間

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 ポルティーヨやファレヨネスでも見かけた独特の姿をしたシザンサスです(写真下)

 

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写真上 Schizanthus hookeri

 

 石ころだらけの乾いた土の上にカタバミが咲いています(写真下)。周囲に湿気のある場所があるのに、わざわざ他の植物が生えないよう瓦礫の上に根を下ろしています。それぞれの戦略があっておもしろい。

 

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写真上 Oxalis squamata

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 前にファレヨネスのネヴァド溪谷で見かけたシソの仲間です(写真下)。ユーラシア大陸に比べて南米はシソの仲間はあまり繁栄していません。オキザリスやスベリヒユが独特の進化をとげているなど、大陸による明瞭な違いがあるのが面白い。

 

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写真上 Stachys philippiana

 

 斜面にはキスゲのような花が咲いています(写真下)。これはヒガンバナの仲間ですから、他人の空似です。昨日、エルモラド溪谷でこれのピンク色の仲間を見ました。あちらは葉が出ておらず、いかにもヒガンバナの仲間で、こちらは細長い葉が出ています。

 

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写真上下 Rhodophiala montana

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 ギシギシは花盛りで群落を作っているのに、かわいそうに、人間からはお花畑とはみなされない(写真下)

 

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国境の花

 アルゼンチンとの国境です(写真下)。と言っても、モニュメントがあるくらいで、何もありません。アルゼンチン側の税関はこのずっと先にあるのでしょう。北側に見える尖がった山は、来る途中の道からも見えたカンパナリオ火山(Volcán Campanario4049m)です(写真下右)

 

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 写真下は二日前のファレヨネスのエル・コロラドで見たスベリヒユの仲間のカランドリニアです。

 

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写真上下 Calandrinia affinis

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 エル・コロラドでは小川のそばの湿った土手に咲いていました。ここもそばに川が流れているから、水気を好む植物のようです。

 

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 ネットではこの花は白花が多いのに、ここのはむしろほとんどが縁が薄ピンクで、写真下のような真っ白は少数です。

 

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 先ほども見たカタバミです(写真下)。写真上も下も、このまま園芸種で通用します。

 

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写真上 Oxalis adenophylla

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 写真下はセイヨウミミナシグサで、ヨーロッパや北米原産で、チリは原産ではないという説と、いやここも原産だという主張の分かれている花です。ここは2500mほどの高地とは言え、道路が近くまでありますから、外来種でないという保証はありません。

 

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写真上下 Cerastium arvense

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 チリに到着した初日、ポルティーヨのロゼットヴィオラが生えている近くでも見ました。

 

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 先ほどの水が流れている場所でみかけたのが写真下で、背は高く、最初、上と同じ花だとはわかりませんでした。ネットで調べると、3045cmにもなるというから、写真上がこの花の標準的な背丈ではないようです。

 

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 写真下の花はどちらかというとチリの南部、パタゴニアあたりに多く分布する植物です。ユーフラシア(Euphrasia)は世界中に分布し、英語名がeyebrightというように、目に効く薬草として有名のようです。

 

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写真上下 Euphrasia antarctica

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 写真下のキクの仲間は南米の南側のチリとアルゼンチンに分布します。ここのは背が低いが、30cm以上になるという。

 

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写真上 Symphyotrichum vahlii

 

 写真下はキンポウゲのリュウキンカの仲間で、今回の旅行で見かけたのはここだけでしたが、チリ全土で見られ、大きな群落をつくるというから、絨毯状に広がるのでしょう。

 

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写真上 Caltha sagittata

 

 写真下も二日前のファレヨネスのエル・コロラドで、小川の近くで見たキンポウゲです。

 

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写真上下 Ranunculus peduncularis

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 写真下は地面にクッションのように広がる小さな花で、私たちはここで初めて見ましたが、チリではかなり広い範囲に分布します。

 

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写真上 Arenaria serpens

 

 小さなフデリンドウです(写真下)。日本のフデリンドウも小さいが、これは本当に小さい。小さいが、ユーラシア大陸、南北アメリカと広い範囲に分布しますから、意外にたくましい。

 

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写真上下 Gentiana prostrata

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 ニワゼキショウを連想させるアヤメの仲間です(写真下)

 

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写真上 Olsynium の仲間

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 パトリシオさんは記念撮影に引っ張りだこです(写真下)

 

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 国境で一同の記念撮影をして、マウレ湖を眺めながら引き返します。

 

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リンゴは入国できない

 再び、チリ側の国境検問所に戻り、検査を受けます(写真下)。なんと、生の食べ物はすべて捨てろという。チリでは防疫上の理由で、パックされたり、加工された食べ物以外は持ち込みが禁止なのです。でも、私たちが持っているのは、チリから持ち込んだ食べ物です。私はまだ昼飯はほとんど食べていなかったので、その残りも捨てるしかない。ホテルから持ってきた私の大事な大事なリンゴも捨てるしかない()

 

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 リンゴを取り上げられて、がっかりしながら外に出ると、検問所のそばの川岸に大きな鳥がいるのが目に入りました(写真下)

 

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写真上 Chloephaga picta

 

 写真上がマゼランガン、下がナンベイオオバンで、いずれも南米に棲息する鳥です。どちらも地面をつっついて、いったい何を食べているのだろう。ネットで見ると、マゼランガンの食べ物は草で、ナンベイオオバンは水生植物、昆虫、魚類とあります。

 

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写真上 Fulica armillata

 

 山を下りて行きます。昨日は山の上で天気が悪かったので、ここのを分けたいくらいです。

 

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 牛を引き連れた一団です(写真下)。国境の向こうのアルゼンチンにはこういうガウチョたちがたくさんいるのでしょう。

 

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 眼の良い松森さんが何か見つけたらしく、道路脇の坂を下りて行きます(写真下)

 

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 黄色いランです(写真下)。たった一株しかない。ここで長い間成長しているらしく、株がいくつもに分かれています。チリと隣接するアルゼンチンに分布します。

 

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写真上下 Chloraea alpina

 

 花も特徴的で、前に突き出ている花弁(唇弁)に縦に溝が付いている。ランは湿気を好む植物のイメージだが、ここは写真下右のランの写真を撮るパトリシオさんの周囲を見てもわかるように、樹木もなく、ひどく乾燥しており、とてもランが生える環境には見えません。

 

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 岩場にピンク色のゴマノハグサの仲間が張り付いています(写真下)。イメージだけでいうなら、サクラソウのような花です。

 

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写真上下 Ourisia microphylla

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 ナスの仲間が濃い紫色の花を咲かせています(写真下)。これまで出てきた中で、ここのは花としては見事で、近づけないのが残念。

 

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写真上 Solanum crispum

 

 写真下のシソの仲間は、ネットの記述では樹木化して低木になるとあります。ここにあるのはありふれたシソの草花で、これが樹木化するとは意外です。

 

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写真上 Sphacele chamaedryoides

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プヤと再会

 プヤです(写真下)。前回、2015年にチリに来た時、海岸近くに生えているプヤを見て、その不思議な姿と花の色に仰天しました。今年9月にエクアドルでも3000mの高地でプヤを見ました。ただ、もうプヤの季節ではないので、このプヤもかろうじて花が少し残っているだけで、終わりかけています。

 

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写真上下 Puya berteroana

 

 写真上が花を付けるためにのびた茎で、枝(花序軸)の先に花が残っています。その花が写真下です。花弁が三枚で、これで開いた状態です。ここの花は5cmほどで、それほど大きくありません。最大の特徴はその色です。ヒスイランという和名があるくらいで、緑と青の混ざった微妙な色が特徴です。

 

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 2015年のチリで見たプヤと同じ種類なのに、私は印象がずいぶん違う気がしました。写真下左は2015年のプヤで、幹から角のような物が生えて、花はその根元を囲むように咲いています。角は花を咲かせるのに役にたっていない。では、この角はいったい何のためにあるのか?花を食べようとする動物を威嚇するためとか、受粉してくれる鳥の足場とか、いろいろ考えたが、どれもありそうもない。その答が、写真下右で、この角は花を付けるための枝(花序軸)だったのです。写真下左の花は角から最初に生えた花、つまり写真下左が咲き始め、右が咲き終わりです。四年ぶりに疑問が解決しました。

 

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 同じ被写体を背景を変えて撮ってみました(写真下)。残念なのは、初めて見るプヤがこれだと、印象が強烈ではないことです。花もそれほど大きくなく、花は高い位置にあって見やすくないので色がわかりにくく、全体として終わりかけなので花の数も少ないと、ちょっと変わった花くらいの印象でしょう。

 他のお客さんたちは早々に撮り終えていなくなりました。一人残った私は別れ際に「おい、プヤ、お前のすごさはオレが良く知っているからな」と伝えました()

 

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 写真下左の細長い葉がプヤの葉です。若い株が周囲にいくつも見られます(写真下右)

 

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 最後に土手に咲くアルストロメリアを見ました(17:36)。私たちは初めて見るアルストロメリアで、良く見かける園芸種の姿形をしています。チリでは中央部に分布します。

 

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写真上下 Alstroemeria ligtu ssp. incarnata

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 基本は写真上のピンクで、濃淡があり、写真下ように薄いピンクもあります。

 

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 道端の瓦屋根のバス停を見ながら、タルカに戻ります。写真下右のオジサンは何か食べ物を売っているらしく、埃がかからないように布をかぶせてあって、何を売っているのかわかりません。地元の人たちは、見えなくても何なのかわかるのでしょう。

 

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 道からはクリスマスに関係した像がいくつか見えます(写真下)

 

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お別れのケーキ

 タルカに戻り、お土産を買いました(写真下左)。まずはワインを買うために専門店に行きます(写真下右)。チリ・ワインは安いと思っていたので、棚に並んでいるワインの値段を見て、ちょっと驚きました。

 

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 続いて、同じショッピングセンターにあるスーパーに行き、私はここで現金をすべて使い、足りない分をクレジットカードで支払いました(写真下)。これは前の海外旅行で、計算を間違えて、持ち金よりも多く商品を買った時、クレジットカードを出したら、それで残金を精算してくれたからです。この方法だと、店を選べば、お金を余らせることがありません。

 今回の旅行もそうだが、海外はカードが使える店が多く、現金がいらない。日本はこういう点で非常に遅れています。クレジットカードの手数料が日本は異様に高いから店がいやがるという理由らしいが、どうして政府がもっと介入しないのでしょう。お金は経済の血液ですから、ノロノロと現金決済では、経済が停滞して当たり前です。

 

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 ホテルに着いたころには陽が傾いていました(19:55)

 

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 時間が遅いので、ホテルですぐに夕飯です(写真下)

 

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 今日の夕飯はレストランとは別な、私たちだけの部屋です。ツアーリーダーの松森さんのために、お客さんがケーキを準備してくれたからです。パトリシオさんなどにも事情を話して頼んで、先ほどのスーパーで購入しました。これはビックリさせる予定だったのに、ケーキを買ったのを松森さんに見られて、ばれた()

 

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 今回のツアーは松森さんの最後のツアーです。定年退職ではありませんから、そのあたりの事情を詳しく聞きました。

 ケーキはシンプルだが、スーパーで売っていたにしてはうまい(失礼)。ネイチャリング事業部で世界の花ツアーを担当しているのは松森さんだけですから、彼女が辞めてしまったら、引き継ぐ人がいません。今後、花のツアーはどうなるのか。花が好きなお客さんたちには、甘いケーキが少し苦く感じていたはずです。

 

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 花の観察は今日ですべて終わり、明日はサンティアゴに戻り、午後の便で帰国する予定でした・・・そうはならなかった。

 

 

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