トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 チリ・アンデスの奇妙なスミレたち 5日目 2019年12月14日(土) ファレヨネス → タルカ まだ薄暗い六時すぎに起きました。室温は18.4℃で温かくはない。犬クンたちは今日ものんびりとねそべっています(写真下)。 今日はサンティアゴの南にあるタルカを目指し、その途中のエルモラド溪谷(Monumento Natural El Morado)でロゼットヴィオラを探します。移動距離が300kmほどと長いので、ちょっと忙しい。 ツキミソウ 朝の散歩は昨日の朝と夕方に行った場所で、ツキミソウを探します。ありました(写真下)。テッシュペーパーが落ちたみたいに、白い点々が見えます。テッシュペーパーではなく、ツキミソウです。 写真上下 Oenothera acaulis
そばでピンク色に萎んでいるのは昨日の花です。夜、虫を集めるために白なのはわかるが、それが枯れ始めるとどうしてピンクになるのだろう?
奇妙なことに花はほぼ全部が同じ南の方向を向いています。ここは南半球ですから、太陽は北を周ります。つまり、花は太陽とは違う方向を向いている。ここはなだらかな南下がりの斜面になっているから、単に地面の角度に合せただけなのか、それとも太陽と関係しているのか。
宵を待って、月を見るのがこの花の目的でしょう。これだけ大きく白ければ、ほんの少し月明りがあれば、虫たちをひきつけることができる。つまり、ここにある花は役目を終えている。
受粉に来るのは蛾のようです。花を横から見るとわかるように、オシベなのか、まるでパラボナアンテナみたいに、花から突き出ています。これも空中に静止する虫に花粉を付けるための作戦でしょう。月夜に蛾がハチドリのように空中に静止しながら、この花の蜜を吸う光景は一度見てみたいけど、難しそう。
七時半からストーブの焚かれたレストランで朝食です(写真下)。
八時半に出発する私たちをネコが見送り・・・するはずはなく、自分の座るソファを横取りする人間がいなくなって、良かったと思っているのでしょう(写真下)。 二日前に来た道をサンティアゴの方に降りて行きます(写真下)。あまり良い天気ではない。
オレンジのアルストロメリア 本日、最初の花の観察はオレンジのアルストロメリアです。 写真上下 Alstroemeria ligutu ssp. simsii
写真下左のように、すべりやすい急斜面に咲いているので、降りるのも登るのも恐い。下まで降りたのは私一人でした。
パッと見た目はアルストロメリアというよりも、ユリかカンゾウの仲間のようにみえますが、もちろん、他人の空似です。
写真下のナスの仲間は、前にポルティーヨの近くでも見かけました。
写真上下 Solanum crispum チリとペルーが原産地で、高さが6mもなるというから、見かけによらない。ここのはせいぜい1mくらいです。香りが良いと書いてありますが、気が付きませんでした。
写真下のロアザは、チリの中央部から北にかけて分布します。
写真上 Loasa multifida 道端の柵に薄ピンクの花が絡みついて、絵になっています。 写真上 Mutisia ilicifolia シャボテンが花を咲かせています(写真下)。残念ながら、そばによって撮れるような被写体がない。
写真上下 Echinopsis chilensis
私たちが下りている七曲りの道は、ホテル側が標高2400mほど、谷の底が1300mほどですから、落差が1100mほどある急こう配です。そこを自転車で登ってくる人たちがいます。それもすごい数で、百台以上の自転車とすれ違ったでしょう。全員が同じドロップハンドルのスポーツ車に乗っている。
彼らはこれから私たちが滞在したファレヨネスまで登っていくのでしょう。いずれも軽装で、荷物らしい荷物も持っていませんから、たぶん日帰りで、すごい体力です。
サイクリングの人たちをサンティアゴ市内でも見かけました(写真下)。今日は土曜日ですから、それで数多く見かけるのでしょう。
サンティアゴ市内を通過 サンティアゴ市内を南に縦断します。中心部は高層ビルが立ち並び、街並みはきれいで、日本のようなゴチャゴチャした雰囲気はありません。
幹線道路を走っているせいか、中心街ではあまり人の姿はありません。
サンティアゴは地下鉄が発達しています。写真下左の車両にもMETROと書かれていますから、地下鉄の地上部です。街中では幌でつながった連節バスも走っています(写真下右)。土曜日のせいか、市内を通過した範囲では渋滞などもなく、560万人の大都市にしては交通事情は良いように見えます。
交差点の真ん中でサンタクロースの格好をした男女二人が踊っている??!(写真下) 突然、女性を逆さにして(写真下左)、スカートを裏返しにしたと思ったら、そこから男性の頭が出てきました(写真下右)。彼が身体を曲げて、二人が踊っているようなパフォーマンスをしていたのです。
見ていた車のドライバーに近寄り、小銭を受け取っています(写真下)。意外性が面白かったので、私も出したいが、バスの窓は開かない。このパフォーマンスの大変なところは、踊りそのものよりもタイミングで、交差点の信号が赤になっている時間内に踊り、しかも、車が動きだす前にお金を受け取らなければならない点です。
写真下も一輪車に乗った大道芸で、信号のある交差点で、車は赤なので停まっており、歩行者たちが横断歩道を渡っているところです。日本なら危険を理由に絶対に許されず、だから大道芸は育たない。
郊外に出ると、土曜日なので、道に沿ってバザーが開かれています。歩道側が会場なので、ゆうに1km以上あったでしょう。
もう少し先に行った小さな街でも小さなバザーが開かれています(写真下)。庶民がどんな物を売買しているのか、のぞいてみたい気もする。
写真下くらいになると、落書きというよりも壁画と言っても良いくらいです。チリではこういうペイントをたまに見かけます。
制作中の人がいます(写真下左)。
ガソリンスタンドでトイレ休憩です。ここで面白い体験をしました。私がパトリシオさんに購入してもらった植物図鑑の代金を支払うために、店内でクレジットカードを使って現金を引き下ろし、それを数えていると、見知らぬおばさんから注意されました。彼女は自分の目を指さしながら、周囲から見られているから、こんなところでお金を数えるのはやめるようにと身振りで示したので、私はあわててお金をしまい、おばさんにお礼を言いました。
道がしだいに山の中に入っていきます。
山から煙が出ています。山火事で、それも複数個所から煙が出ています(写真下)。
消火用のヘリコプターが飛んでいて、道路のそばの川から水を汲んでいるらしい(写真下)。
エルモラド溪谷 検問所があり、しばらく待たされました(写真下)。ここはエルモラド溪谷(Monumento Natural El Morado)の入口です。外国人の入場料が6000ペソ(約840円)で、チリ人は半額です。日本でも登山者などに入山料を取って、自然と環境保護のために使ったほうが良い。ただし、集めたお金は第三者による監査を行うことが条件です。
手続きで待たされている間に昼食です(写真下)。昨日と同じメニューで、ラップで包んであるのはサンドイッチなのだが、ちょっと私の好みには合わない。 山道を進むにつれて、人家も減っていきます。
街外れの写真下の河原のような所に人がたくさん集まっている。左側には修道女らしい被り物をした女性たちが、右側では一段高い所の旗の前で神父らしい人が何か話をしていますから、宗教行事らしい。
トイレ休憩で停まった川のほとりにも花が咲いています。写真下左は私の畑にもあるモウズイカですから、外来種です。
天気が悪いせいもあり、あたりは雲っており、霞んでいて、夕方のようです。墨絵のようで、風景としてはきれいでも、花を見るのが目的なのでうれしくない。 エルモラド溪谷の元の名前はMonumento Natural El Moradoで、翻訳機にかけると、エルモラド天然記念物となり、日本語では天然記念物は国立公園を表す言葉ではないので、適当な日本語の名前がありません。 周囲はかなり険しい岩山で、氷河が作りだしたU字谷を雨風が浸食した地形で、もっと上に行くと氷河があるようです。 放牧も少し行われていて、谷の間の平地に馬がいます。 谷を見下ろすと、転落した車が見えます(写真下)。あのまま放置するのは注意喚起のためには良いかもしれない。
こんな所を自転車で登っていく人たちがいます(写真下)。午前中のファレヨネスと違い、この先に街はありませんから、荷物を積んでいる。
谷の下にはキャンプ場もあり(写真下)、この先には温泉が湧いているところもあるそうです。 おき忘れたアルストロメリア アルストロメリアが生えているという瓦礫の斜面を登ります(12:59)。
毎度こんな所にあるのかと疑うような所にあります。
写真上下 Alstroemeria umbellata 岩場というか、ロック・ガーデンです。背後の山から崩れ落ちた岩なのでしょう。今でも崩れて落ちてきそう。
このアルストロメリアは、チリでも中央部と隣接するアルゼンチン側のアンデスだけのかなり狭い範囲に生えているようです。
最初はもう少し陽が射してくれればいいのにと思いました。しかし、撮影しているうちに、考えが変わりました。
背後の岩山とこの岩場が荒涼としているだけでなく、谷の奥の山々がけぶって、無彩色のような風景なのに、アルストロメリアのピンク色だけが、妙に華やいだ雰囲気で、まったく場違いです(笑)。風景全体から、アルストロメリアだけが浮き上がっています。
写真下など、はるか彼方まで続く荒涼とした風景の中に、誰かがポツンとアルストロメリアの花を置き忘れていったような現実離れした光景です。それもこれも、晴れていないおかげです。 雨がぱらついていて寒い。初めて雨具を着ました。幸い、旅行中に雨具を出したのはこの時だけでした。写真下はポルティーヨなどでも見た瓦礫に横たわる花です。
写真上 Tropaeolum polyphyllum すでに何度も見たキンチャクソウの仲間で、この種類はここが初めてです(写真下)。
写真上下 Calceolaria hypericina まるで揺りかごみたいな形です(写真下)。
午前中も見かけた独特の花の形をしたロアザの仲間で、あれとは別種で、こちらは毛深い(写真下)。チリではこのあたりの中部にしか生えていません。
写真上 Loasa pallida 川の対岸にいるのはたぶんヒツジではなくヤギでしょう(写真下左)。彼らは崖っぷちが好きです。日本で飼われていた子ヤギが逃げだして、コンクリート擁壁の斜面にいるのを見て、あそこから動けなくなったのだろうとレポーターは同情していたが、逆です。ああいう崖のような場所は彼らには安全で、コンクリートの間から雑草がたくさん生えていて、新鮮な食べ物にも困らないから、好みなのです。子ヤギはせっかく自由を手に入れて幸せに暮らしていたのに、また元の柵の中に戻されてしまった。
アンデスのロードフィアラ ピンク色のロードフィアラが咲いています(写真下)。チリとアルゼンチンに分布します。
写真上下 Rhodophiala rhodolirion 葉がないことや花の形などから、ナツズイセンやキツネノカミソリを連想します。いずれもヒガンバナの仲間ですから、共通しているのでしょう。
ナツズイセンはピンク色なので、なおさら似ています。ただ、ナツズイセンの原産地は中国ですし、ナツズイセンやキツネノカミソリが春に葉を出し、葉が枯れてから花を咲かせるのに対して、この花は花が終わってから葉を出すようです。種と球根が分裂して増えます。ナツズイセンはヒガンバナと同じで種を作らず、キツネノカミソリは種と分球で増えると言いますから、ロードフィアラに似ています。
先ほどのアルストロメリアと同じで、荒涼として無彩色な風景の中に、場違いなほどのピンク色の花を咲かせています。写真下の上段と下段はそれぞれ同じ花です。カメラによってで微妙に色が違っていて、下段の一眼レフが実際の色に近い。
薄いピンクと(写真下左と中)、一輪だけ白い花があります(写真下右)。残念ながら、花弁が不ぞろいです。
写真下がクマツヅラの仲間だと言われても、そもそも私はクマツヅラを知らない(笑)。日本ではクマツヅラはありふれた雑草だから、見かけているのでしょう。
写真上下 Mulguraea scoparia
薄紫のマメの花があります(写真下)。アルゼンチンではパタゴニアで、チリではこのあたりの中央部から北にかけた分布します。
写真上 Astragalus cruckshanksii これまでも何度か出てきたセリの仲間が絨毯のように地面を覆っています(写真下)。今年の九月に行ったエクアドルのチンボラソ山でも似たような光景があって、ここよりもはるかに大規模に地面を覆っていました。
写真上下 Laretia acaulis
なんとも面白い花の咲き方です(写真下)。葉の上ではなく、地面の近くに白い花を咲かせている。まるで、コタツに入って首だけ出しているみたいです。実際、葉が暖房する役割をしているのでしょう。
写真上下 Caiophora coronata 白く開いている花の隣に、黄緑色のクシャクシャした物が転がっています。これは花芽ではなく、咲き終えた花でしょう。驚くことに、受粉は小型のげっ歯類だという。つまり、このあたりにネズミのような生き物がいて、蜜を吸いに来るらしい。だから、花が地面の近くにあるのだ。花よりも小さなネズミが、頭を突っ込んでいる様子を想像するだけでも楽しい。
ロゼットヴィオラ 私たちの一番の目的はここでもロゼットヴィオラです。険しい岩だらけの斜面を手分けして探します。
ロゼットヴィオラはあることはある。あの松かさのような姿に、ここ数日で目が慣れて来たので、なんとか探せます(写真下)。前回のツアーよりも数は多いという。ところが、花が咲いているのがない。ダメか・・・。今年は暑かったというから、もう咲き終えているのでしょう。だが、それなら咲き終えた花があってもいいはずなのに、それさえもない。
写真上下 Viola leyboldiana 花がありました!たった一株(写真下)。一株あるのだから、他にもあるのではないかと探したが、ありません。花は手前に三つ、反対側に一つついています。一株でもゼロよりは良い。イチとゼロは差が1だが、天地雲泥の差です。 写真上下 Viola leyboldiana
大きさはこれまでのロゼットヴィオラとあまり変わらない。幸い、花は四つの内、三つが完全です。
一つずつ丁寧に見てみましょう。全体は白で、下の花弁に紫色の筋が入っているのが特徴です。
この花も最初にファレヨネスで見た黒いロゼットヴィオラと同様に、両側の花弁に白い毛が生えています。
写真下が三つ目で、どれも同じような花に見えますが、紫色の筋が指紋のように一つ一つ違っています。
こんな寒い中、アリがロゼットヴィオラの葉の間で活動しています(写真下左)。これまでも何度か見た頭が赤く、尻が黒いアリです。
雨がずいぶん激しくぶち当たってくるなと良く見たら、ヒョウです。ヒョウが降ってくるほど天気が悪くて寒いし、目的は達成したので、花を咲かせていた一株にお礼を言って、戻りましょう。
2013年にこのツアーに参加した人の旅行記には、ドライバーがエルモラド溪谷になど行かないと駄々をこねたので、至急、別な車を手配して、無事ロゼットヴィオラを見ることでできたという記述があります。幸い、私のたちのドライバーはそんな変な人ではありませんでした。
山を下りるにつれて、少し視界が良くなってきました。
ブドウとスイカ 今日の花の観察はこれで終わりで、国道5号に戻り、これからタルカまで一気に南下します。周囲には広大な葡萄畑が広がっています。規模からして、とても個人経営の農地には見えません。ここが大規模な葡萄畑が広がっている理由がこの後のトイレ休憩でわかりました。
広々とした公園のような所でトイレ休憩です(写真下左)。パンレットがあるので見ると、Concha y Toroというワインのメーカーの敷地らしい(写真下右)。道路の両側に広がっていた広大な葡萄畑の葡萄はここで醸造しているのでしょう。ここはその会社の見学者のための駐車場で、日本ならワインの売店でもあるところを、Concha y Toroはチリ最大のメーカーだけあって鷹揚です。
道の両側でスイカの露店が軒を連ねています(写真下)。この近辺の道路だけでしたから、ここが産地らしい。
露店で国旗を飾っているのがおもしろい。チリでは日本よりも国旗が良く目につきます。遠くからでも目立とうというのか、それとも愛国的スイカはおいしい?
自動車専用道の料金所では日本では見られない光景が見られます。料金所で停まる車を相手にした物売りがいます。しかも、公式に認められた商売である証拠に、彼らはおそろいの反射板のついたジャケットを着ています。日本でも規則で縛るのではなく、もう少し個人営業のようなこういう商売を認めたら・・・日本はがんじがらめだから、無理ですね。
タルカ到着 だいぶん遅くなってタルカのホテル・Hotel Diego de Almagro Talcaに到着しました(20:17)。八時すぎているのにまだ日没前で、外は十分に明るい。ロビーにはクリスマスの飾りつけがしてあります(写真下)。
(http://www.dahoteles.com/)
時間も遅いので、部屋に荷物を運び、すぐに一階のホテルのレストランで夕飯です(20:45)。写真下左の前菜は酢が効いていておいしいのに、写真下右のステーキは筋ばっていてナイフでも切れず、食えたものではない。ネット上の旅行記ではこのホテルは設備は悪くないが、飯がまずいとあり、評判どおりでした(笑)。
写真下が私の部屋です。ホテルでは良くあるとことで、ここも広さはあるのにスーツケースを広げるのに適当な余裕がなく、スーツケース用に台があっても、小さすぎて乗らない。私のスーツケースは三辺が158cm以下の標準的な大きさなのに、使い方が悪いのか、こういう台が役立ったことがありません。
設備は問題ありません。浴室は明るく、バスタブもついており、快適です(写真下)。
食事はまずかったが、ホテルとしての設備に問題がないので、ホテルの個人評価はおまけして五段階の4.0とします。ここに二泊します。 |