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ギリシャ北部 ピンドス山脈の花

8日目 202552()

オルマ カイマクツァラン山 テッサロニキ イスタンブール

 

 6時すぎに起床して外を見ると、空は雲が多く、東の空は朝焼けです(写真下)

 

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 今日は、花を見る最終日で、ヴォラス(Voras)山脈の最高峰のカイマクツァラン山(Kajmakcalan2,521m)の麓で花の観察をします。これまでよりも高山なので、クロッカスなどが期待できます。その後、テッサロニキからイスタンブール経由で帰路につきます。

 

 

朝の散歩

 朝7時から添乗員の山野さん(仮名)が花の案内をするというので、参加することにしました。希望者5人で出発です。昨夜、夕飯をとった中心部を通過すると、早朝なのでとても静か。

 

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 街中は日本の観光地にありがちな安っぽさはなく、水路の走るきれいな住宅街です(写真下)

 

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 道端にピンクのグラジオラスとモモイロツキミソウが咲いていて、いずれも栽培品でしょう(写真下)

 

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 住宅街を出ると果樹園が広がっていて、写真下左の霧のようなものは農薬の散布で、あわてて逃げる。ここは果樹栽培が盛んらしく、街の壁にも果物の絵の広告が描いてあります(写真下右)。残念ながら、今回はここの果物を十分に味わう時間がありませんでした。

 

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 街中も周囲の果樹園も小川が音をたてて流れていて、ここが水の豊かな土地だとわかります(写真下左)。しかし、その水の豊かさが朝の散歩には災いして、道が途切れています(写真下右)。橋もなく、この水量の急流を渡るなど無理ですから、ここで引き返すことしました。道は軽四輪が通れるくらいの農道なのに、この川を地元の人はどうやって渡っているのでしょう。普段もっと水量が少ないとは思えません。

 

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 別な道を通って帰ります。こちらは野原なのでいろいろな花が咲いています。

 赤いケシが少し咲いています(写真下)。バスの中から何度も見たのに、なかなか写真を撮るチャンスがありませんでした。

 

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写真上下 Papaver rhoeas

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 雪のあるヴォラス山脈を背景に記念撮影です(写真下)

 

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 写真下は黄色も白もノコギリソウ(Achillea)の仲間だとわかるが、種類が多すぎて、特定できません。

 

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 写真下左はこれまでも見かけたシレネの仲間で、写真下右はナデシコ(Dianthus)の仲間だが、ギリシャは種類が多いので、これも特定できません。

 

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写真上 Silene cephallenia

 

 歩いている皆さんの前方に後光が射しているのは、幸先いいと無意味な縁起かつぎをしてみる(写真下)

 

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 ホテルに戻り、フロントの隣の食堂で朝食です(8:08)。準備しているのは従業員というよりも、奥さんでしょう。食べている最中も次々と料理を運んできて、私たちだけにしては多すぎないかと心配になるほどです。メツォヴォのホテルもそうだったように、保存の効く食品を用いているようです。

 

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ギリシャ蜂蜜

 荷物を積んでホテルを出発して、中心街にある土産物屋に立ち寄りました(9:15)。昨夜、食事が終わったのが遅かったので、この店は閉まっていました。

 

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 頼まれもしないのに、私が店主に代わり、お客さんたちに棚に並んだ蜂蜜の種類と値段を説明し、「安いですよ」と営業までしました。朝の散歩の帰りにここに寄り、種類と値段を聞いて買ったから詳しい。950g10ユーロ(1600)で、これが地元で採れた蜂蜜なら安い。説明書きがすべてギリシャ語なので、素性はわかりません。まさかパピゴの南部鉄瓶みたいに中国製ギリシャ蜂蜜じゃないよな。

 

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ジョギングの花

 住宅街を出てすぐの所で車を停めて、今日の最初の花の観察です(写真下)。オリバーさんが朝ジョギングをして見つけたらしい。私は花よりも、ここまでジョギングで来たという話を聞いて、体力差に驚きました。彼と同じ年でも、旅行中にジョギングしようなんて、そもそも思いつかない。

 花は2cmほどで、この植物は毒性があり、前は薬用として用いられ、腎不全を引き起したそうです。

 

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写真上 Aristolochia clematitis

 

 トラクターに乗ったオジサンが「おまえら、何してんの?」と話しかける(写真下左)。草刈りをする農家にしてみれば、道端の雑草の写真をわざわざ撮っている連中の気が知れない。私もいつも草刈りをしているので、気持ちだけはわかります。

 

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 写真下の黄色いアブラナ科の植物は道端に咲いているから、雑草と思われます。生成AIに候補をあげてもらっても、アブラナの仲間は花が小さい上に似ているので見分けがつきません。

 

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 これからヴォラス山脈の最高峰のカイマクツァラン山の麓に行きます。下の地図で見ると、カイマクツァラン山はオルマのすぐ西にあり、たぶん朝見た雪山はその一部でしょう。ところが、その麓のスキー場に行くには大きく迂回しなければいけません。

 

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クロッカスの群落

 標高1800mをこえて、樹木の間に雪が残っているあたりでクロッカスを見つけました(10:40、写真下)

 

 

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写真上 Crocus veluchensis

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 分布がギリシャ、アルバニア、北マケドニア、ブルガリアの標高10002500mの高山草原というから、意外に範囲が狭い。

 

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 写真下左の薄紫が圧倒的に多く、微妙な色違いの花もあります。花弁は内側3枚、外側3枚で構成され、外側の花弁の色の違いが大きく影響しているようです。

 

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 写真下のように、花の中に陽が射して、透過光で花を見ると、「灯りがともる」ように花が光ります。花の形や花弁の厚さ、陽が射す時間などいくつ条件が必要で、クロッカスは簡単に「灯りがともる花」です。

 

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 ガードナーさんが残雪の近くに群落を見つけました(写真下)

 

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 雪のそばに生えているというよりも、雪が溶けたら、即刻、生えて来たようです。雪が好きなはずはないから、理由は雪解け水です。

 

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雪割クロッカス

 雪が溶けた後に生えるだけでなく、驚くことに、雪の中から生えています(写真下)

 

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 これはかなり難しい。なぜなら、今時の雪は表面や地面との境は溶けて、夜など気温が下がると凍ってしまいます。クロッカスは氷を突き破ることはできないから、日中、氷がシャーベット状になるのを待って、茎をのばすのでしょう。

 

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 私は「雪割クロッカス」と名前を付けました。ユキワリソウ(雪割草)とはサクラソウの仲間とミスミソウに付けられた名前ですが、私はこれらが雪の中から生えている姿は写真でも見たことがありません。雪のそばに生えるのと、雪の中から生えるのでは別です。本当に雪の中からユキワリソウは生えてくるのとかと生成AIに質問すると、あるという返事でした。

 

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 写真下のクロッカスの周囲の雪が円形に溶けています。ザゼンソウなどは発熱することで雪を溶かして開花します。生成AIによれば、クロッカスが発熱するという学術的な報告がないそうですから、紫色の花が太陽光の熱で温度を上げて、周囲の雪を溶かしているのでしょう。

 

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 たくさんのクロッカスの間に小さなシラーが咲いています(写真下)。ここのような高山で欧州からトルコやシリアなどに分布しています。

 

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写真上 Scilla bifolia

 

もう一つのクロッカス

 ガードナーさんから上流にもっと紫の濃いクロッカスがあると教えられました。こちらは雪がすっかり溶けた小川近くの斜面です(写真下)

 

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写真上下 Crocus pelistericus

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 アルバニア東部からギリシャ北部の1900m以上の高山に分布しますから、ほぼ固有種です。栽培が難しいのか、栽培された記録がほとんどないらしいから、環境を選ぶ神経質なクロッカスなのでしょう。

 

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 写真下左はまるで手前から光が当たっているように見えますが、影を見ればわかるように、左の斜め後ろから光が当たって、花弁自体が光っているように見えています。手前の花弁には反対側の花弁の影まで映っています。

 

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 中に、色の薄い花もほんの少しだけ見られます(写真下)。先ほどの薄い紫のクロッカスの種が飛んできたにしてはかなり距離があります。だが、花が細長い濃い紫の変り種にしては、写真下中や右は花に丸みがあり、薄い紫のクロッカスに見えます。

 

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 リュウキンカが小川の周囲の湿地帯に生えています(写真下)427日にアオース湖近くの小川でも見ました。

 

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写真上 Caltha palustris

 

スキー場のクロッカス

 さらに登ると、標高2000mほどのスキー場(Voras Ski Center)にクロッカスが咲いています(写真下)。スキー場は大勢の人たちが踏み荒らしていますから、雪が溶けて荒れた雰囲気なのに、クロッカスはたくましく花を咲かせている。

 クロッカスの上のほうに雪があります。つまり、この薄紫のクロッカスは雪解け水が今流れている場所に咲いています。

 

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写真上 Crocus veluchensis

 

 マルハナバチが蜜集めに大忙しで、足や尻は花粉だらけです(写真下)

 マルハナバチは、身体に比べて小さい羽でどうやって飛ぶのでしょう?昆虫の飛行方法がわかったのは25年ほど前で、それまでは「理論的には昆虫は飛べない」でした。小さな身体に合わせた渦を作り出していることがわかり、そこからロボットの空飛ぶ虫を作る研究が進んでいます。

 

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 テレビで、中国のマルハナバチと同じくらいの大きさのドローンが飛行する様子が紹介されていました。もちろん、蜜を集めるためではなく、スパイや軍事用を目指しているのでしょう。見た目はオモチャだが、恐ろしい光景の始まりです。ねえ、マルハナバチ君、君は平和な生き物でいいよなあ。

 

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 花弁が薄紫というよりも、白に近いような花も少しだけあります(写真下左)。写真下右は外側の3枚の花弁は部分的な紫なので、遠目には桃色に見えて、とてもかわいい。

 

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 先ほどの場所と同じように、濃い紫色のクロッカスも群生しています(写真下)

 

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写真上下 Crocus pelistericus

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 ここでも薄い紫と濃い紫のクロッカスは棲み分けていて、写真下は両者の境界で、混ざるのはこのあたりのみで、まるで申し合わせたように分かれています。

 

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 どうして棲み分けしているのでしょう?同じクロッカスなのだから、似たような環境を好むまずです。

 

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 クロッカスは雪解け水を利用して開花すると言われていますから、ここのように雪の残る地域にクロッカスが咲いています。濃い紫は早目に雪の溶けた地域で、薄い紫は遅くまで残る雪の水を利用しているように見えます。

 

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 先ほど濃い紫のクロッカスが咲いていたのは小川のそばですが、地面は乾いていて、近くに雪はありませんから、だいぶん前に溶けたのでしょう。また、写真上下など、このスキー場で生えている場所の地面はわりと乾燥しています。

 

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 一方、薄い紫のクロッカスは、写真下のように、雪解け水が流れているところや、先ほどと同じで、雪の中や近くに生えています。一見、乾いた斜面のように見える所でも、その上を見るとまだ残雪があり、そこから雪解け水が供給されているのでしょう。

 

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雪割クロッカス

 写真下で、雪の中にポツポツと見えているのが薄い紫のクロッカスです。

 

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 2種類のクロッカスの違いは、薄い紫のクロッカスだけが雪の中でも生えていることです。濃い紫のクロッカスは雪の中はもちろん、近くにも生えていません。これは最初に見た場所でも同様でした。

 

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 写真下左では、左は花が、奥の真ん中はツボミが、そして右には葉の先が雪から突き出ています。写真下右のように、花を咲かせるほどに球根が育っていない場合は、葉だけがのびるのでしょう。クロッカスの葉は細長い剣状なので、雪の中を突き進むのには向いています。

 

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 私が雪割クロッカスに感動して写真を撮っていると、登山の一団が残雪の縁を歩いて行きます(写真下)。彼らはクロッカスに関心がなく、足元を見ようともしないので、クロッカスを気にもせずに踏みつけていきやがる!私などが写真を撮っているのだから、クロッカスに気が付かないはずがないだろう!

 

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 中には近道とばかりに、わざわざ雪の端を歩くヤカラがいて、雪の中から必死に咲いているクロッカスを踏みつける。「ヲマエラ、ゴジラに踏みつけられるぞ」と私は睨みつける。

 

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カイマクツァラン山の固有の花

 わりと大きな花を咲かせるスミレが群落しています(写真下)。ギリシャでの分布はこのカイマクツァラン山(Kajmakcalan2,521m)近辺だけですから、かなり限定的なスミレです。標高が17002500mとありますから、山頂付近まで生えているようです。

 

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写真上下 Viola doerfleri

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 ネットでは、このスミレの分布にギリシャとユーゴスラビアと書いているのを見かけます。ユーゴスラビアは昔なつかしい名称で、2003年に分裂しましたから、今ならカイマクツァラン山を国境にしている北マケドニアのことでしょう。

 

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 このスミレはカイマクツァラン山とその近辺にだけにある固有種ではないか。解説では分布は標高2500mまでで、これはカイマクツァラン山の山頂の2521mとほぼ一致し、しかも、スミレの学名は山頂近くで採取した人物にちなんで付けられたという。固有種だという学者の説明を探そうとしても、2つの国にまたがっているせいか、Flora of Greece web”でさえも「たぶん固有種(it is presumably endemic)」と用心深い表記です。

 

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 紫が基本で(写真下左)、色の薄い花は少数です(写真下左)

 

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 写真下を、日本の高山の花から連想してチングルマの仲間かと思ったが、キンポウゲの仲間でした。これもカイマクツァラン山固有の花で標高20002500mとあるが、ここは少し低い。

 

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写真上 Ranunculus cacuminius

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 Flora of Greece web”によれば、この花は「最近発見された(recently discovered)」とあるが、最近とはたぶん1994年に出された論文のことでしょう(Plant Systematics and Evolution, 190, 231–244, 1994)。今から三十年ほど前に新種だと確認されたようです。

 

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 スミレとキンポウゲの固有種同士の記念撮影です(写真下)

 

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写真上

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 斜面の上のほうでガードナーさんが見つけた花が写真下左です。写真下右で、右上から左下に細い小川が何本か流れていて、その土手に生えています。

 

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写真上下 Soldanella pindicola

 

 花は小さく、薄紫なので焦点は合わせにくく、下向きが多く、しかも幅の狭い溝の土手の内側に生えているので、激しく撮りにくい。写真下左は狭い溝の中にカメラを入れて撮ったもので、斜面のように見えるのが溝の土手で、近くにいる人が写っています。

 

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 こういう写されるのを嫌う花は、花が根負けするまで、下手な鉄砲で撮りまくると、花も呆れて、撮らせてくれます。

 

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 写真下左のキバナノアマナはたぶん今回の旅行では初登場で、私の自宅の敷地にも生えているのと姿形はそのまんまです。

 

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写真上 Gagea fragifera             写真上 Scilla bifolia

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写真上 Ornithogalum  montanum         写真上 Arabis alpina

 

 写真下は、日本にも明治時代に帰化したフキタンポポです。私は日本では見たことがなく、前にトルコで見かけました。フキタンポポ属(Tussilago)にはこれしかない一属一種だと聞くと、ちょっと御立派に・・・いや、やはりタンポポの親戚にしか見えない。

 

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写真上 Tussilago farfara

 

東屋で昼食

 花の撮影を終えて、下山する途中、道路脇の東屋で昼食です(14:17)。今回の旅行では、山道にこういう東屋があるのがおもしろい。つくば市や山形市ではほとんど見かけません。

 

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 東屋があるくらいで眺望が良く、南に見えるのがVegoritida湖で、周囲の村や街もまた絵になる風景です(写真下)

 

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 ここにも道端にキリスト教のイコンが祭られた祠があり、中は片付いています(写真下左)。最後の花は、428日にパピゴまでの移動の途中でも見たヴェロニカの仲間で、独特の青です(写真下右)

 

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写真上 Veronica chamaedrys

 

買い物

 食事を終えて、テッサロニキ空港まで移動します。最初は順調でしたが、テッサロニキに入ってからは工事が行われているので、上下線ともに少し渋滞がありました(写真下)

 

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 空港の少し手前でスーパーマーケットに立ち寄り、お土産を買います。買い物かごは、手持ちのカゴや手押しのカートはなく、写真下右のような、車輪のついたバスケットです。

 

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 売り場は広く、品数も豊富です(写真下)

 

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 チーズなどの乳製品も豊富です(写真下)。私はメツォヴォでスモーク・チーズも買って、飛行機の預け入れ荷物の重量制限があるので、ここではあきらめます。

 

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 毎度、物価を知る上での指標にしているのがコカ・コーラで、500mL1.07ユーロ(174)です(写真下)。日本で私の行く店では150円以下ですから、少しだけ高い。

 

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 車の間で路上パフォーマンスをする人がいます(写真下左)。こういうのが私は好きなので、寄付したいが、車の中からできたことは一度もありません。彼は右手に紙コップ、左手にスマートフォンらしいのを持っているから、現金だけでなく電子決済も受け付けるらしい。

 私たちの車はレンタカーなので、ガソリンを満タンにして返さなければなりません。1Lあたり13.88ユーロで、52日のネットでのユーロは163円ですから、226円で、日本よりもはるかに高い(写真下右)

 

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 テッサロニキ空港に到着し(18:16)、ここでオリバーさんとはお別れで、彼はこのままギリシャにもう少し滞在するようです(写真下左)。元気で感じの良い若者でした。ガードナーさんは私たちと一緒にトルコに戻りますが、車を返すので、ここでお別れです(写真下右)。植物ガイドとしての彼は優秀で、旅費は高いがその価値はあります。

 

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 空港に入ってから外を見ると、虹だ!しかも、写真でははっきりしませんが、左上にもう一つ薄っすらと別な虹が見えています(写真下)。帰国時にわざわざ二人連れで見送りに来てくれるなんて、ありがとう!

 

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 飛行機に移動した時には夜の八時近くでしたが、夏時間なので、ちょうど夕焼けです(写真下)

 

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 飛行機はトルコ航空(Turkish Airlines)TK1894便で、機体はBoeing 737-800です。21:15にテッサロニキのマケドニア空港 (SKG)を離陸して、1 時間 30 分の飛行の後、22:45にイスタンブール空港 (IST)に到着予定です。

 

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 写真下が、予約した席25Fです。

 

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 予定どおり21:26に空港を離陸しました。窓側を予約したが、夜なので、ほとんど何も見えません(写真下)。私の隣の二人は近くのオバサンたちとの団体らしく、なかなかにぎやかです。

 

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(flightradar24から転載)

 

 遅い夕飯が出ました(21:35、写真下)

 

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 やがて眼下にイスタンブールの灯りが見えて来て(写真下)、イスタンブール空港(Istanbul Airport)に無事に着陸(22:27)。この時期、ギリシャとトルコは時差がありません。

 

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 飛行機は空港内をしばらく動いた後、ようやく停止して、しかもバスによる送迎です(写真下左)。とても6年前に開港した最新の空港とは思えない非効率な運営です。

 

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トイレの少ない新しい国際空港

 ここで成田行きの飛行機に乗り変えます。

 

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 今回、このイスタンブール空港(Istanbul Airport)3回利用して、いささか失望しました。作られたのが2019年で、私は前の空港(Istanbul Atatürk Airport)の最後の日の乗客だったので印象深い。新しいから、どれほど機能的にできているかと期待したが、とても合格点はあげられません。大きな空港だから移動が長いのは仕方ないとしても、まるで後で増築を重ねた空港みたいに、歩く距離が長すぎる。

 何よりも不合格はトイレです。例えば、写真下の大きな看板にはトイレが表示されていませんから、探すのに苦労する。トイレの表示がない理由の一つがトイレの数がそもそも少ないからです。

 

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 写真下左ではトイレがやっと表示されるが、そのトイレが、写真右のように細い通路の奥にあって、一瞬、道を間違えたかと疑うほどです。これほど巨大で新しい空港にしては異様なまでにトイレの数が少ない。

 

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 しかも、ようやく見つけてたどりついた男子トイレは小便器が4つ、大便所が5つで、朝方や食事の時間など、こんな数でどうやって間に合わせているのだろう?荷物を持って入ることもあるのに、広さも十分とは言えず、一昔前の地方空港みたいです(写真下)

 トイレはその国の文化レベルを表す指標のようなもので、これがダメな国はどんなに建築物で威容を誇っても二流国です。

 

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 もう一つ少ないのが椅子です。待ち時間があるし、寝ている人もいるのだから、空港には椅子は多めに必要なのに、少ない。しかも、これだけスマートフォンが普及しているのに、充電スポットも少ない。

 

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 歩く距離が長く、トイレや椅子の数が少ない理由は、この空港を設計した人たちが乗客の利便よりも店舗の誘致という利益を優先したからでしょう(写真下)。客に店によってもらうためには、店の前を歩かせる。だから、歩く歩道や空港内電車など作りたくない。

 

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 表通りにできるだけ多くの店を出させるには、トイレなど邪魔なだけだから、数を最小限にして通りから奥に追いやった。客用の椅子も無駄で、そんな広さがあれば出店させてテナント料を稼ぐ。

 

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 飛行機は明日の午前2時頃の出発なのに、0時にならないとゲートも決まらないという。椅子も夜も遅くなるとだんだん空いて来て、夜中の飛行機を待って寝ている人たちもます(写真下)。私もようやく空いた椅子に座り、ゲートが決まったら移動しなければならないので、眠らないように気を付けながら、待ちます。

 

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 ようやく0:00を過ぎて、出発ゲートが表示されました。さすがに空港内の乗客の数は減っています。

 

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 飛行機はトルコ航空(Turkish Airlines) 198便で、機体はBOEING 777-300ERです。イスタンブール空港 (IST)1:55に出発して、11 時間 25 分の飛行の後、19:20に羽田空港に到着予定です。ボーイング社の飛行機は総じて苦手だが、この型の飛行機だけは好きで、それが次の理由です。

 

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 私の予約した座席は最後尾の窓側の53Kで、下の座席図を見てもわかるように、最後尾の3列だけは2座席になっています。赤で表示されているのはbad seat、つまりトイレに近いので臭いや騒音があり、最後尾のために椅子を後ろに倒すことができないなど問題のある座席だから、気を付けろという警告です。ところが、蓼食う虫の私はこのbad seatが大好きで、お金を払って予約しました。

 2座席ですから、トイレにいくのに通路側の人に立ってもらうのも簡単です。しかも、今回、好運にも通路側には人が来ませんでした。テッサロニキの空港で虹が二人で見送りしてくれただけことはある!11時間以上の長距離を一人で2座席を占領して、好きな時にトイレに行けて、とにかく楽でした。私はこういう席をエコノミー・ビジネス席と呼んでいます。

 

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 イスタンブール空港を離陸(2:34、写真下)。イスタンブールの夜景を見ていると、頭は半分眠っているので、

 飛んでイスタンブール 光る砂漠でロール 夜だけの パラダイス 

(「飛んでイスタンブール」作詞・ちあき哲也、作曲・筒美京平、唄・庄野真代、1978)

と、年寄りっぽく、脈絡もなく半世紀近く前の曲が頭の中で鳴りだす。

 

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 離陸して一時間ほどして食事が出ました(3:40、写真下)。長距離飛行は、真昼だろうが夜中だろうが、離陸と着陸の前後で食事を出すという航空会社の意味不明の掟で、私はこんな時間に飯などいらないから、早く眠りたい。真空パックにして、自分の都合で後で食べられるようにしてくれればいいのだが、もちろん食中毒を恐れて絶対にやりません。

 

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