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ギリシャ北部 ピンドス山脈の花 2日目 2025年4月26日(土) イスタンブール → テッサロニキ → メテオラ → メツォヴォ 今日は、イスタンブールから本来の目的地のギリシャのテッサロニキに飛び、いよいよ花のツアーが始まります。観光地としても有名なメテオラで花を探し、その後、宿泊地のメツォヴォに向かいます。
テッサロニキ行の飛行機は7:25発で、4時にはホテルを出るから、3時起床です。手荷物しかなく、寝る前に荷造りをしておいたので簡単です。
E 大いに不満足 早朝なので道は混むこともなく、順調にイスタンブール空港に到着しました(4:39、写真下)。改めて見ると、空港の建物だけは新しく御立派です。
明け方の空港なのに、昨晩よりも混んでいる印象です(写真下)。
通路にはギリシャ風の像が立っていて美術館に案内してくれるらしいが、質問しても矢印で示すだけで無口です(写真下)。彼らをAI(人工知能)搭載のロボットにして日本語で案内してくれたらおもしろい。目や口元が動くロボットをネットのAIと接続すればいいだけだから、技術的にも金銭的にも難しくはありません。名前はソクラテスやプラトンなどどうでしょう。
飛行機はトルコ航空(Turkish Airlines)TK1881便で、イスタンブールを7:25出発して、ギリシャのテッサロニキに8:45到着予定で、機体はエアバス社のA321-200です。昨日の遅れで乗り換えた私たちのような客が他にもいるのか、ほぼ満席です(写真下)。
私は三人がけの真ん中の座席24Bです(写真下)。私はこの便の座席予約に6000円払いました。もちろん、真ん中の席にわざわざ6000円を払うはずはなく、旅行会社に予約をお願いしたのは窓側です。しかし、昨日飛行機が遅れて、予約した飛行機には乗れませんでしたから、予約は無効になったのでしょう。代わりの席は窓側という希望とも違いますから、予約料金は返すのが当然ではないかと私は旅行会社に意見を言いました。
しかし、旅会社側からは、トルコ航空からの予約金は返金されず、予約そのものの業務はしたのだから、手数料も返金はしないという返事でした。飛行機が遅れた事には旅行会社にも客にも落ち度も責任もありません。しかし、そこで生じた金銭的な損失をすべて客に負わせるというのはいかがなものか。 トルコ航空は、客に落ち度がなく、航空会社の都合で座席予約をキャンセルしたのに、予約料金を返さないのは不誠実ですので、この便というよりも、トルコ航空に対する私の評価は5段階評価で一番下の「E 大いに不満足」とします。
飛行機はほぼ予定通りにイスタンブール空港を離陸しました(7:36、写真下)。曇り空だが、雨が降る様子ではありません。
離陸して30分後に朝食が配られました(写真下、8:07)。生チーズが付いているのがうれしい。
飛行時間が短いせいか、飛行高度はあまり高くなく、空は曇ったままです(写真下)。
テッサロニキと思われる街並が見えてきました(8:32、写真下)。ギリシャらしく、戸建ての屋根が赤で統一されています。
実質1時間ほどの飛行でテッサロニキ空港(Thessaloniki Airport)に到着(8:38)。ギリシャとトルコは時差がありませんから、時計はそのままです。飛行機を降りて、黄色いバスに乗ってターミナルまで移動します(写真下)。
6年ぶりの再会 入国の手続きを終えて出ると、空港には植物ガイドのガードナーさんが出迎えてくれました(9:25、写真下)。客8人の半数が彼とは再会です。彼が昨年1月に催行したチリの花のツアーに参加したお客さんがいたからです。私も2019年、秋のギリシャ以来の再会です。
合計11人が2台のレンタカーに交代で分乗します(写真下)。車はトヨタとフォードで、見た目は良く似ているのに、フォードは造りが雑。どちらも一番後ろの座席に入るのには前の座席を倒さなければならないのだが、フォードは具合が悪く、倒すのをあきらめて隙間から入りました。だからトヨタに乗る日は楽で、フォードの後ろの座席に乗る順番になった人を「まあ、お気の毒に」と横目で見る。
トランプ大統領様は、アメリカ車を買わない日本はけしからんと関税戦争をしかけたが、同じ値段ならこんなに使いにくい車を買うわけがないだろう・・・私は小市民で、ド偉い皇帝様に逆らうなどしませんから、ブツブツと小声で言う。
有料道路の料金所で、乗用車は0.9ユーロ、0.85ユーロですから、130~150円です(写真下)。日本とギリシャでは道路規格や料金の徴収範囲が違うので単純な比較はできないが、日本の有料道路で150円など聞いたことがありません。私が海外で見たわずかばかりの範囲でいうなら、日本の高速道路は異常に高い。
ハーブとカラス 道の駅でトイレ休憩です(11:39)。ここから雪山が見えました(写真下)。ほぼ北に見えますから、あれがオリンポス山でしょう。オリンポス山(標高2917m)はギリシャの最高峰で、神話の舞台にもなっていますから、晴れて上機嫌のギリシャの神様に、きれいな花をたくさん見せてくれるようにお願いしようと思っていたので残念です。もちろん、頼む相手は怒りっぽいゼウスなんかではなく、愛と美と恋の女神アプロディーテーです。
道の駅はレストランや売店の入った施設で、昼近くのわりには客は多くありません(写真下)。
写真下の店で売られていたハーブは、ギリシャでお茶として良く飲まれるシソの仲間で、マウンテン・ハーブと呼ばれています。
写真上 Sideritis
scardica 建物の軒下に穴が開いていて、鳥が巣を作っています(写真下左)。ツバメにしては身体が大きいし、巣の作り方が違う。和名がニシコクマルカラスというカラスの仲間で、欧州など広い範囲に棲息します。ウィキペディアの解説では、階層社会を作り、また積極的に仲間に食べ物を分け与える特徴を持つという。理由が良くわかっていないとあるが、階層社会なのだから賄賂や買収に決まっていると、写真下右のカラスが言っています。
写真上 Coloeus monedula 二度目のギリシャ 昨日も述べたように、ギリシャに花を見に来たのは二度目です。一度目は2019年秋、今回と同じガードナーさんの案内で、主にペロポネソス半島で秋らしい花が見られました(下地図)。前回はギリシャ南部の秋で、今回は北部山岳地帯の春ですから、植物もずいぶん違うはずです。
前に、ガードナーさんがガイドするピンドス山脈のツアーに参加した人から、すばらしかったと聞いて、次はこのツアーに参加したいと思っているうちに、主催したネイチャリング事業部そのものが消滅してしまいました。
道の両側には緑豊かな畑が広がっています。前回のペロポネソス半島は秋のせいもあって、乾いた印象でした。
赤いケシ 道路脇で真っ先に目についたのが赤いケシです(写真下)。欧州から中央アジアにかけて、この時期、真っ赤なケシが群落を作ります。
写真上下 Papaver
rhoeas 赤いケシは人間と相性が良く、好きな場所は二カ所あって、一つが写真下の道端で、もう一つが畑です。人間は道路も畑も他の草を刈ってくれるし、きれいな花を咲かせるケシを保護してくれる。
道の両側に赤いケシがあるので、今回の旅行では赤いケシのお花畑を撮影できると期待しました。ところが、赤いケシの群落を見たのはこの時だけでした。
奇妙なことに西に行けば行くほど、ケシは減ってしまい、ここのような大群落は見られませんでした。ここにある写真は私だけがこっそり車から降りて撮ったんですよ~、なんてのは嘘です。
他のお客さんからも、降りて赤いケシの群落が撮れなかったのが残念だったという声が後でありました。植物ガイドのガードナーさんは、赤いケシはどこにでもある雑草にすぎず、わざわざ車を停めるほどのことはないと思ったのでしょう。 写真下など赤いケシの大群落で、奥のほうは畑に合わせて生えているように、このケシは道端と畑が好きです。
雨だ 写真下左(12:57)では青空も見えていたのに、わずか2分後の写真下右(12:59)では空が暗くなりました。
さらに2分後の写真下(13:01)では、ついに雨が降りだしました。
前回、2019年の秋のギリシャでもこういう急激な天候の変化を何度も体験させられましたから、これがこの国では普通なのでしょう。これからメテオラで観光しようというのに、到着した初日から雨とは、ギリシャの神様はずいぶん歓迎してくれるじゃないか。
ただ雨で薄暗くなった周囲の風景もこれはこれでなかなかきれいです。
雨足が強まり、前方の車が霞んでいます(写真下左)。日本を出発する前に調べた今日12:00の天気予報の「晴れ曇り雨」が当たりました(下図右)。日本で見た時、3つ並べればどれかは当たるだろうに、いい加減な予報だと思ったが、実際そのままでした。
雨の中、間もなく特徴のある岩山の風景が見えてきました(13:03、写真下)。目的地のメテオラに近づいたらしい。
西の空が少し明るくなってきましたが、ギリシャの神様は気まぐれだから、晴れるのを期待しないほうが良い(写真下)。
メテオラ メテオラの南にあるカランバカの街に到着(13:14)。街の手前で0.95ユーロの車の入場料を払います(写真下右)。メテオラの観光で成り立っている街ですから、こういう税金の徴収は当然でしょう。
日本も観光客が押しかけるのをぼやいていないで、混雑する観光地では税金を取るべきです。ただし、その税金がどう使われているのか、詳細をネットで公表することが大前提です。
街の北側に奇岩がそびえており、これがメテオラです(写真上下)。この岩山の上にいくつかの修道院があることから、修道院と奇岩が売り物の観光地になっています。
下の斜めから見た鳥観図が街と岩山の位置関係を良く示しています。私たちは観光ではなく、花の観察が目的なので、いくつかの展望台と一カ所だけ修道院の見学をして、後は花を散策しました。
修道院はすべて奇岩の上にありますから、今は近くまで道ができています。その典型が写真下のアギア・トリアダ修道院(Ιερά Μονή
Αγίας Τριάδας)で、私たちのいる道路脇の展望台から建物が目の前に見えるのですぐに行けそうだが(写真下左)、実際は写真下右のように、岩山の上に孤立しています。 この修道院に観光客は歩いて登ります。日本人観光客の「登山記」を読むと、道は整備されているものの、かなりたいへんなのがわかります。
修道院に荷物を運ぶためのロープウェイが設置されていますから(写真下)、料金を拝観料込みで往復10ユーロ(約1600円)に設定すれば、大半の観光客は利用するから、商売としても成り立ちます。万一、ロープが切れても、この高さならそのまま天国に・・・ブラックジョークはやめておきましょう。
ここで修道院を眺めながら、ガートナーさんが準備してくれた昼食を食べます(写真下、14:10)。
メテオラの奇岩は、海に堆積してできた砂岩が隆起して、それが風化してできたという(写真下)。
道路の脇に突き出た岩が展望台になっています(写真下)。踏み荒らされていますから、花は少ない。
道端の花たち その1 道端のほうが様々な花が咲いています。写真下はいずれも欧州やギリシャでは一般的な花です。
写真上 Crepis
rubra
写真上 Anacyclus
clavatus 写真上 Cerastium
arvense 写真上 Petrorhagia
dubia 写真下は日本ならイブキジャコウソウで、今回の旅行で何度かお目にかかりました。
写真上 Thymus
pulegioides 写真下のシソの仲間は、南欧の高山に生える植物で、昔から薬草として用いられたようです。
写真上 Acinos
alpinus 写真下のムスカリは、私の畑に生えているムスカリと違い、背丈が大きく、花も頭頂部に咲くという独特の姿をしています。
写真上 Muscari
tenuiflorum 修道院の観光 旅行会社としてはメテオラに来たのに、修道院を観光しないわけにもいかないのでしょう。観光したのがルサヌー修道院(Roussanou Monastery)で、先ほどの展望台から見えました(写真下)。
写真上だと、あんな崖の上の建物にどうやって行くのかと思ってしまいますが、これは表で、裏側は写真下左で、建物の真下を幹線道路が走っていますから、車で行けます。ここから小雨の中、階段を登っていきます(写真下右)。天国への階段はすべりやすく長い。
天国への階段を登りきると、今度は5ユーロ(約800円)の入場料を払わないといけません(写真下左)。売店もあり(写真下右)、イエス様は「金持ちが天国に入るよりも、ラクダが針の穴を通る方がやさしい」とおっしゃっているので、ここで全部出せという意味かもしれません。 私は入場料すらも添乗員の山野さん(仮名)に払わせたし、売店では何も買わなかったので、イエス様のおっしゃるようにラクダにもなれず、後で修道院のすべる階段をトボトボと降りることになりました。
煙草禁止は大賛成だが(写真下左)、撮影禁止、スマホ禁止の他に、女性はズボンがダメで、写真下右のように貸出用の布を腰に巻きます。こういう本来の意味を忘れた時代錯誤の規則が私は苦手で、早くもここで引き返したい気分ですが、自分で払ってもいない入場料を無駄にしたくないという庶民根性で見に行きました。
見学から戻り、売店の隣にあるベランダからメテオラの風景を見ます(写真下)。
天国行きの修道院よりも、生きている猫のほうがおもしろい(写真下)。「いい風景でしょう」とメテオラ猫は風景を見ているのではなく、カメラのレンズが恐いから顔をそらした。
写真下のメテオラ猫は「レンズなんて見ないさ」と、隣にやさしそうな女の子がいるので安心している。
写真下の4枚は聖ニコラオス・アナパフサス修道院(Ιερά Μονή
Αγίου
Νικολάου
Αναπαυσά
Μετεώρων)で、見る位置がちょっと違うと、ずいぶん違って見えます。それにしても、ヘリコプターもない時代に、よくまあ、あんな岩の上にあれだけの建物を建てたものだ。信仰心のきれいな話よりも、資金の調達方法のほうがよほど面白いに違いない。
ウィキペディアによれば、9世紀頃には世俗を離れて信仰しようという修道士が個々にこの岩山の洞穴や隙間に居住を始めたようです。戦争を嫌ってここに逃れて来た修道士や、為政者による保護などで組織化され、発展したとあります。それは組織としての発展であって、信仰としては堕落の始まりで、1800年代後半には観光化が始まり、今では入場料を取る見世物宗教施設になってしまった。世俗化を嫌った修道士たちは、ここを去り、別な所で閉鎖的な組織を作っているそうです。
日本でも観光寺に伝わる国宝を自慢しながら、僧侶の格好した坊さんがお布施と称してお金を集めて、税金の優遇を受けて、妻子を養いながら世俗的な生活をしています。お釈迦様の説く出家とは彼らのこれらの行為を捨てることですから、日本の大半の僧侶たちは真逆のことをしています。 どこの宗教でもこういう腐敗と堕落を繰り返し、2500年後の日本の仏教は原型を留めないほどに腐り果てた。
道端の花たち その2 道端の花の続きで、写真下左は生成AIによればニガナの仲間だという。花はたしかにニガナだが、日本のニガナに比べて背が高いのでWikipediaを見ると、1~1.2mになるというから、斜面に生えている写真下はちょうどそんな大きさです。
写真上 Lapsana communis 写真上 Colutea
arborescens 花弁にシワのあるハンニチバナが咲いています(写真下左)。南欧ではロックローズと呼ばれています。写真下右は、日本ではアオイヒルガオとして帰化して、一部では栽培され、一部では外来種として迷惑がられていて、どちらの気持ちもわかります。
写真上 Cistus
creticus 写真上 Convolvulus
althaeoides 写真下はとてもきれいなキキョウの仲間で、今回の旅行ではこの後も何度か登場して、私のお気に入りになりました。
写真上 Campanula
spathulata 写真下は写真上とは似てはいるが、花の形も色も微妙に違います。個体差か、別種か、わかりません。
写真下はリンドウの仲間のように見えますが、これも名前がわかりません。
写真下はベンケイソウの仲間で、まだツボミかと思ったら、写真下右などはこれでも開花しているらしい。薬草としても用いられ、色々な効能を見ると、炎症などを抑える効果があるようで、見た目はおとなしいが、けっこう立派な奴です。
写真上 Umbilicus
rupestris 写真下は欧州では良く見られるランで、オフィリスの仲間です。手前に突き出た茶色の花弁(唇弁)が雨で表面が鏡のようになっていますが、乾くと反射しません。ギリシャと隣接するアルバニアの一部にあるだけですから、ほぼギリシャの固有種と言っていいでしょう。
写真上 Ophrys
helenae 写真下はカトレアではないが、似た姿のランで、欧州から西アジアに広く分布し、アルカリ土壌の樹木の下に生えるという。今回、ここでしか見かけませんでした。
写真上 Limodorum
abortivum 写真下左が全体の見た目の大きさです。こんなに小さいのにたくましく、ギリシャなど地中海から南西アジアの広い範囲に分布します。
写真上 Orlaya
daucoides 別な場所 ここまでは観光地の道路の周囲でしたが、一カ所だけ離れた所に案内されました(写真下)。この場所はガードナーさんの企業秘密でしょう。
写真下は花の形からテンナンショウだとわかります。日本で見かけるテンナンショウの花は大きいが、ここのはかなり小さい。
写真上下 Aristolochia
rotunda
写真下のランはギリシャだけでなく、欧州から北アフリカや西アジアなど広い範囲に分布するので今回の旅行でしばしば見かけました。両手を挙げたような両側の花弁(側花弁)に何本も筋が入っていることで、他のランと区別がつきます。
写真上 Anacamptis
morio 写真下は写真上と同じ種類のようにも見えるが、写真上は手前に出ている花弁(唇弁)が下に垂れているのに対して、写真下は上にめくれあがっています。見つけたのは2本のみで、その両者ともめくれあがっていますから、個体差ではなく、別種とみなし、生成AIの推測名を採用しました。
写真上 Anacamptis papilionacea 写真下の白いランは地中海沿岸からトルコやコーカサスまでの広い範囲に分布していて、今回の旅行でも何度か見かけました。
写真上 Orchis
provincialis 写真下はランとは思えないほど地味なランで、どれが花なのか探すのに苦労し、色にメリハリがないので古いコンパクト・カメラでは焦点が合わず、撮影に何枚も失敗しました。昆虫を蜜ではなく、雨除けなどに宿を提供することで集めているので、花が地味でもかまわないようです。
写真上 Serapias
vomeracea 写真下は、先ほども出てきたオフィリスというランの仲間です。こちらは手前に突き出ている唇弁に模様があり、写真下の5枚の花は指紋のように一つ一つが違います。おもしろいことに、一本に生えている花でも模様が違います。しかも、毛が密集しているなど、これらが虫を呼び寄せるのにどんな役割をしているか、たいへん不思議な姿です。
写真上下 Ophrys
reinholdii
ヒョウモンチョウがいます(写真下)。和名はグランヴィルヒョウモンモドキという名前で、欧州では普通に見られ、アフリカ北西部にもいます。
写真上 Melitaea
cinxia 金属のような色の蛾がいるので、生成AIにたずねると、ルリハダホソクロバ(Rhagades pruni esmeralda)といって、日本にもそっくりの仲間がいるようです(写真下)。ただ学名の属すらも違うのはどうしてなのでしょう?
写真上 Adscita
statices 写真下を撮っている時は3つとも同じ種類の色違いと思っていたら、比較すると別種です。グーグルレンズと生成AIが出した名前で、納得できたのは写真下左のみで、あとはわかりません。
写真上 Knautia integrifolia 写真下左はシベナガムラサキとして、写真下右もナヨクサフジとして、二つとも日本にも定着しています。
写真上 Echium
vulgare 写真上 Vicia
villosa 写真下左はアネモネでポツンと一本だけ咲いていました。今回の旅行ではアネモネはこのパターンが多い。
写真上 Anemone
pavonina 写真上 Tordylium apulum 写真上 Cruciata
laevipes 遠目に紫色の花が咲いているように見えるのは(写真下左)、実は葉で(写真下中)、花はその下にあります(写真下右)。
写真上 Salvia
viridis 写真下は桜に近い種類の樹木で、花は良く似ているが利用方法はかなり違って、種からスパイスを作るそうです。
写真上 Prunus
mahaleb ここで私が一番気にいった花は写真下のバラです。
写真上下 Rosa
canina
ロサ・カニナという欧州では珍しくもない野生のバラです。一重の薄いピンクの花が前から私のお気に入りで、ここは花も大きく、透明感があって美しい。たぶん私以外に熱心に撮っている人はいません。
メツォヴォへ 花の散策と観光を終えて、メテオラを後にします。後ろを振り返るとメテオラの奇岩が見えます(写真下、17:57)。周囲にも岩山があるが、奇岩はここだけです。修道士たちが棲みついたのも、周囲から隔絶されるからだけでなく、この奇岩を見て「神が指し示している」と思い込んだからではないか。もちろん、思い込みだから、観光化されてしまった。
近くでは青空も見えて乾いた雰囲気なのに(写真下左、18:13)、遠くでは雨が降っていて(写真下右、18:15)、ギリシャの天気は訳がわかりません。
やがて、山の斜面にかなり大きな街が見えて来ました(写真下、18:40)。
メツォヴォ到着 本日の宿泊地メツォヴォ(Metsovo)に到着しました。私たちのホテルは街の中心部から少し離れた斜面の上にあります(下地図、19:06)。
ホテルはカトギ・アヴェロフ・ホテル&ワイナリー(Katogi Averoff Hotel &
Winery)という長い名前です。
一階は受付のあるホール(写真下)とレストランになっています。
一階のホールに置いてあったのが『Μέτσοβο(メツォヴォ)』(著者Γιάννης
Γιαννέλος)という、この街の写真と解説本です(写真下)。題名も著者名もギリシャ語で、人々の習俗や風景などの古い写真を期待したが、残念ながら、ありません。
レストランは別室が朝食に使われるだけで、レストランそのものは休業のようです(写真下)。お茶だけでもいいから、このテーブルで静かに飲んでみたい。ただ、あまりにきれいに片付きすぎていて、勝手に椅子を動かして座ってはいけないような雰囲気です。
ホテルの名前にワイナリーが付いているくらいで、ここはワインの醸造所の隣にあるホテルで、たぶん経営者は同じなのでしょう。私は、ホテル側は醸造所を見学させ、試飲させてワインの購入を勧めるか、ホテル内でワインを派手に展示して売っているだろうと予想したが、すべて大外れで、何もありません。 ホテルで見つけたワインは、使っていないレストランのカウンターの上だけです(写真下)。しかし、ワインは高い棚の上にあり、何よりも瓶が立ててあることから、客に出すためではなく、飾りとして並べているようです。
棚の上に並んでいる何種類かのワインで特に数も多く目についたのが写真下で、醸造所のホームページで調べると、ここの醸造所で造られたInima NegoskaとKatogi Averoffという名前の赤ワインです。ただし、後者はラベルが完全同一ではないから、別なワインかもしれません。
騒音レストラン 夕飯を街中で食べるのに車で出かけます(20:00)。ギリシャは夏時間なので、まだ明るい。写真下がホテルから1kmほど下った街の中心にある広場で、ギリシャでは必ずこういう広場があり、巨木が生えています(写真下)。プラタナスらしい。
車を降りて、夕暮れの街中を散策します(写真下)。私は観光地は総じて苦手だが、人が少ないこともあり、ここはとても良い雰囲気です。
石造りの店と道に統一感があり、街並はきれいです。ただし、電柱と電線は日本ほどではないが邪魔だ。写真下左は石造りのATM(現金自動預け払い機)で、苔むした屋根が良い。
杖をつき散歩中の老人は(写真下)、灯りのともるこの街に似合うから、私も似合うつもりで歩く。
夕食は「ト・クートゥーキ・ニコラ(Το
Κουτούκι του
Νικόλα)」という長い名前のレストランの二階です(写真下、20:09)。グーグルでは4000人もの客が5段階評価で4.6という高得点を付けた評判の良いレストランです。 しかし、私がこの店に付けた点数は落第点です。
店の雰囲気も料理も悪くないが、音楽がうるさすぎて、会話が成り立ちません。音量だけでなく、店主の趣味なのか、現代的な音楽なので、この街や店の雰囲気や食事と合わない。 会話が成り立たないほどの大音量の音楽を流すレストランは、これまで行ったどの国にもあって、あの感性と彼らの鼓膜の強さには驚かされます。 味覚は聴覚に大きく影響されることはソニック・シーズニング(sonic seasoning)として注目されています。ただ、こういう研究を持ち出さなくても、この店のように食事に大音量を持ち込めるのは単純に五感が鈍いからでしょう。
自己紹介するのに声が聞こえないので、店に音を下げてくれないかと頼んでも、ほとんど変わらない。お前たちだけが客ではない、店の方針に文句を言うなというつもりらしい。メツォヴォはホテルも街並みも印象が良かったのに、ここだけは二度と行きたくない店です。
汚れたスイッチでも高得点のホテル 食後、ホテルに戻りました。写真下が、二階にある私の部屋で、山の斜面のほうを向いているので、眺めは良くありません。
トイレなどの衛生設備は問題ありません(写真下)。
写真下左の灯りのスイッチは年季が入っているというか、周囲の壁と同様に汚れていて、アルコールで拭けばいいのに、触りたくないほどです。 しかし、こういう欠点がいくつかあっても、この部屋はレトロな造りで、私は気に入りました。
窓もカーテンではなく、木の板が観音開きになるようになっています(写真下)。これはおもしろい。初めて見ました。窓を閉めてしまえば、二重窓のようになって冬の断熱性も良いでしょう。
特徴的なのは灯りです。写真下の天井の灯りも直接照明ではなく、シェードは木製ですから、光を通さない。天井の反射光と模様部分からの透過光だけなので、海外のホテルでは良くあることで、薄暗い。
写真下はベッドの両側に付いている灯りで、写真下左が灯りを消した時、右が灯りを付けた時です。照明器具というよりも、光を用いた飾りです。繊細さには少々欠けるし、私の好みとは違うが、ある種の美意識で作られているのはわかります。必要のないことにお金をかけているのが気に入りました。
ドアなどは無垢材が用いられ、ドアノブもオシャレで、細かい模様が入っていて、鍵を開けるたびに楽しい(写真下左)。木製のフックも形がおもしろい(写真下右)。ワイナリーの設立が1959年で、たぶんホテルも同時期に建てられ、これらは半世紀も以上も使われていることになります。
写真下左はドアの脇に造られた奥行き30cm程度の棚で、仕切りが取り付けてあります。仕切りは軸に沿って丸く削られた棒ですから、手間暇がかかっています。ただ、この仕切りが何のためにあるのかわからない。背丈よりも高い棚ですから、物の出し入れにはこの仕切りは邪魔です。何のために仕切りがあるのか、しばらく考えましたが、わからない。
同じように意味がわからないのが、写真下左の洗面台にある石で、玄武岩のように固く、すり減り方からみて河原から拾ってきた石です。黄色く汚れているのか、塗料を塗ってはげたのか、また何のための石なのか、わかりません。わざわざ置いてあるのだから、部屋の備品なのでしょう。私の知っている範囲でいうなら、昔の漬物石に似ています。ただ、客はたぶんこの部屋で漬物は作らない。
意味不明の漬物石もありますから、このホテルへの評価は5段階の4.5で、しばらくぶりで高得点を付けました。設備は普通だが、少し古い世代の美意識で作られ、しかも、その美意識がこのホテル単独のものではなく、この街全体とも良く調和している点は高評価です。 |