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ギリシャ北部 ピンドス山脈の花

6日目 2025430()

ボウラザニ

 

 朝起きると、今日も晴れです。部屋の前のベランダにも朝日が射しこんで、心地よい(写真下)

 

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 今日は、下地図で赤で囲ったボウラザニ(Bourazani)に出かけて花を探します。昨日のヴィコス渓谷はパピゴの南で、ボウラザニは北西側です。パピゴは隣国のアルバニアまで直線で20kmくらいで、今日は国境近くまで行きます。

 

 

教会だらけはどうして?

 食事は7:30から、出発は9:00だというので、昨日に引き続き、パピゴの村を散歩することにしました。小さな村ですから、昨日と別な道を探すのが難しいくらいで、左下地図の赤丸で囲んだ範囲、つまり村の中心部のほとんどを歩き回りました。

 

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 上の地図のように、村は昔からの道路のままで、しかも山の斜面ですから、わかりやすくはありません。そこでホテルやレストランなどの案内板が出ていて(写真下)、この数の多さをみればここが観光で成り立つ村だとわかります。

 

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 時刻は7時すぎていても、夏時間ですから、通りには人がいません(写真下)。いつも前を通りかかる店は灯りがついたままになっている(写真下右)

 

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 写真下のようなケバケバシイ看板が、せっかくの落ち着いた村の雰囲気をぶち壊しにしているのを見ると、規制する取り決めはなさそうです。

 

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 パピゴ猫はもう起きている(写真下)。餌には困っていない。

 

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 写真下は、レストランに行く途中にある教会(Holy Church of Saint Blaise)で、村の中心にあります。しかし、広場がありません。樹木も巨木ではありません。

 

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 広場と巨木があるのは、教会から50mほど北にある写真下の別な教会(Church of St George)です。小さな村のすぐそばに2つも教会があるのを不思議に思っていたら、もっと教会がありました。

 

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 下図の赤丸()OpenStreetMapに載っている教会などキリスト教関係の建物です。衛星写真で見ると、ほとんどが何か建物があるのがわかります。日本の神社のように、建物があっても人がいるとはかぎりませんが、それにしても、パピゴのような小さな村の周囲に11ものキリスト教関連の建物があるのはおもしろい。

 地図の建物の配置を見ると、大半が普通の人が住まない山の中にあります。パピゴに来る途中にあるスピリオティッサス修道院(Monastery of Spiliotissas)や、ミクロパピゴの北東にあるアヴラゴニオス(Avragonios)が礼拝堂であることなど、一部は“visitpapigo.com”で紹介されています。しかし、どうしてこんなに多いのか、他はどんな施設なのか、ネットで調べてもわかりませんでした。

 

 

 私の推測ですが、パピゴは先に修道士たちが棲みつき、その後でできた村ではないか。幹線道路は事実上ここで行き止まりなのを見てもわかるように、世俗から隔離された場所だった。もう一つの根拠が東側にある岩山で、メテオラと同じで、彼らはその姿に神秘性を見出した。

 パピゴまで往復するのに毎日通過しているアリステ(Aristi)には教会は1つしかありません。そのアリステは、パピゴの家屋が少なくなる村の南側に出ると見えます(写真下)。ヴィコス渓谷の山が邪魔になってまだ朝日が当たらない。

 

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 写真下左は村の掲示板に載っていた冬の景色で、雪深いのがわかります。雪国の人間としては、ここの家は石造りだから、雪下ろしをしなくて済むのがうらやましい。ほぼ同じ方角の今の景色が写真下右です。

 

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 ホテルに戻り、食堂で中国製南部鉄瓶で紅茶を飲みながら、朝食です(7:41、写真下)

 

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 お客さんが、電線に頭の赤い鳥がいる、といいます(写真下)。私の目ではただのスズメにしか見えませんでした。英語名はEuropean red-rumped swallowで、直訳すれば尾が赤いツバメですから、尾の一部も赤いようです。

 

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写真上 Cecropis rufula

 

最初はラン

 9時に出発して、いつものように七曲りを下りて、ヴォイドマティス川(Voidomatis River)に到着すると、昨日のカヌーの人たちではなく、赤い車の一団がいます(写真下)。救難訓練をしているようで、後で下流でまた見かけました。

 

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 写真下は川を渡ってすぐの斜面にあるアリステで、昨日はここから南下したのですが、今日は北上します。

 

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 写真下左のような道端のテーブルでゆっくりとお茶でも飲むのが旅の楽しみだと毎度思うのだが、貧乏性の私は毎度通過して、血相を変えて道端の赤いケシを撮る(写真下右)

 

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 ガードナーさんの眼力で道端にランを見つけて停車(9:36)

 

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 写真下左は花がたくさん付いた立派なランなのに、上の部分が樹木の影になっています。オリバーさんが樹木を持ち上げたので(写真下中)、影がなくなり、皆さん交代で急いで撮りました(写真下右)。「若いって、すごいねえ」と皆さんでほめる。

 

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 ここには二種類のランがあって、一つ目が写真上下の、花弁(唇弁)が茶色の無地のランで、北に隣接するアルバニアとギリシャだけに見られますから、ほぼ固有種と言ってもいいでしょう。36月と開花時期は長く、最盛期は今の5月です。426日にメテオラでも見ました。

 

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写真上 Ophrys helenae

 

 もう一種類が写真下の、花弁(唇弁)に模様がついているランで、欧州から中東にかけて広く分布します。27日のアオース湖や28日にも見かけました。

 

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写真上 Ophrys sphegodes

 

 花の上にクモが、早く朝飯が来ないかと待っている(写真下)。クモの上に見えるのはクモの糸ではなくタンポポなどの種です。

 

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 ガソリンスタンドで給油です(写真下、10:00)。ガソリンが1.748ユーロとありますから、1ユーロ160円とすれば280円ほどです。日本でこの時期のガソリンは172円前後でしたから、日本に比べると高い。

 

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 敷地で面白い花を見つけました(写真下)。ミズバショウのような仏炎苞があります。植えたのではなく、運び込まれた土の中に混ざっていたのだろうとのことでした。見た目は小さくて弱々しいが、球根の一部でも土に混ざるとそこから生えてきて、駆除ができないくらい強い植物です。

 

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写真上下 Arum italicum

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ギリシャ独立後に造られた石橋

 最初の観光はクレイドニア橋(Klidonia ancient stone bridge)です。掲示板によれば、この橋は1853年にトルコ人の女性がお金を出して造ったことになっています。428日に見た石橋は1875年、昨日見たココリス橋は1750年、プラキダス橋は18141866年の間に造られています。

 

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 ギリシャでは1821年頃からオスマン帝国からの独立運動が始まり、1832年にはオスマン帝国も独立を認めています。石橋はオスマン帝国から独立した後に造られたことになります。トルコから独立した後で、トルコ人がこの橋を造るのに寄付したというのはおもしろい。

 

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 この川も、ヴィコス渓谷から流れ出ているヴォイドマティス川(Voidomatis River)で、カヌー乗場の下流になります。ここの掲示板にはここからパピゴまでのハイキングコースが示され、4kmで約2時間半とあります。

 

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 いつの頃かわからないこの橋の白黒の写真が掲示されています(写真下)。橋の上には馬らしい姿が見えますから、もしかしたら、百年くらい前かもしれません。

 

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 ここにも橋のたもとにキリスト教の祠があります(写真下)。ドアがあって中が見えないので、物好きな私はわざわざ開けて「イエス様、いつも失礼いたします」と挨拶してから写真を撮りました。物好きの観察によれば、ここはきれいに片づけてあるが、放置されたままの淋しい祠もあります。

 

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 上流のカヌー乗場と同様に、ここでも赤い車がたくさん停まっています(写真下)。車に張り付けられたマーク「Ε.Μ.Α.Κ. (Ειδική Μονάδα Αντιμετώπισης Καταστροφών)」を翻訳機にかけると「特別災害対応部隊」となります。おそらく川で水難者を助ける訓練などをしているのでしょう。

 

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イワタバコ

 ガードナーさんが案内してくれた岩が露出した斜面にはイワタバコの仲間が群生しています(写真下)。昨日、「岩の森」でたった1株花を咲かせていたのと同じイワタバコの仲間で、ここは花盛りです。

 

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写真上下 Ramonda serbica

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 こんなきれいな花にイワタバコ(Gesneriaceae)と名前を付けるとは、どういう感性、神経なのかと、タバコが大嫌いな私はいつも腹を立てる。植物のタバコはナス科で、イワタバコはシソ科ですから、全然関係ない。葉が似ているから付けたそうだが、ニコチン星人に脳味噌を乗っ取られた学者の目には、タバコの大きな葉とイワタバコの小さな葉が同じに見えたらしい。

 

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 岩のある陽当たりの悪い斜面に生えているから、湿気を好むのかと思ったら、意外にも乾燥に強く、干からびた状態から水をかけると生き返るそうです。

 

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 写真下左が普通の花弁で5枚あります。ところが、写真下右の上の花の花弁は4枚です。しかも、3つの花は同じ株から生えているように見えますから、花弁の数が遺伝的に完全に決まっているのではないのでしょう。

 

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 さらに、写真下左は花弁が6枚、写真下右はたぶん8枚あります。また、花の色も赤味を帯びています。

 

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モウズイカの花の色

 野原にモウズイカの仲間が群生しています(写真下)。ここのモウズイカは、日本に来ているのとはかなり外見が違うので、モウズイカだと言われるまで、わかりませんでした。日本のモウズイカは背丈と葉がとても立派なのに、ここのは大きな葉は地面に広がっているので、ほとんど目立たない。

 

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写真上下 Verbascum phoeniceum

 

 この奇妙な花の色は何なのでしょう。前にブルガリアでこれを見た時、独特な色が印象に残りました。良く言えば淡い水彩画みたい、普通に言えば地味、悪く言えば絵具が足りなくなり、塗るのを適当にごまかした。

 

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 花の色を〇〇色と表現するのが難しい。色の濃さで見ると、写真下左の茶色から、ヤや薄い茶色が写真下右です。

 

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 さらに薄れて、明るい黄土色が写真下で、これが数も多い。

 

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 さらに色が薄れて緑が混ざったようなのが写真下で、これは少数派です。これらは赤い色素がだんだん減っている順序なのでしょう。

 

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 曖昧な色のモウズイカを見た後で、写真下などを見ると、花だ!と感動します。地中海の真ん中から東側では珍しくなく、色がきれいなので栽培されています。

 

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写真上 Crepis rubra

 

 写真下左はシジミの仲間、写真下右はセセリチョウの仲間です。

 

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写真上 Lycaena virgaureae          写真上 Pyrgus sidae

 

 写真下左は昨日も出てきたトラゴポゴンで、姿は印象深いのに、私は名前を発音も記憶もできません。写真下右はせっかくケシが生えているのにたった1本です。群落で出て来てくれるとうれしいのだが。

 

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写真上 Tragopogon porrifolius       写真上 Papaver apulum

 

 天気が良いと気持ちも晴れます(写真下)。牛君たちも元気そう。

 

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赤いシャクヤク

 車を降りて平坦な山道を行きます(写真下左)。車も通れる道なのにわざわざ歩いた理由はすぐにわかりました。写真下右の真っ赤なシャクヤクです。珍しく先を歩いていた私はさらにシャクヤクを見つけて、踊り出す前に、皆さんを呼びました。

 

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 このシャクヤクは、イタリアからギリシャをへてブルガリア、ルーマニア、さらにトルコまで分布します。

 

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写真上下 Paeonia peregrina

 

 何も言われずこの花だけ見せられたら、品種改良した栽培品だと思ってしまうでしょう。そのくらい見事な大きさと強烈な赤で、しかも花弁には光沢があります。花の部分だけに光が当たると浮かび上がり、灯りのようです。

 

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 なにもない薄暗い森の中にポツンと咲いていると、あまりの場違いさにドキッとする光景で、私の写真では表現しきれません。例えるなら、道もなく誰もいない薄暗い森の中に、唐突に着飾った美女がいて、こちらを振り返って微笑んでいるような、現実離れした、ありえない光景です。

 

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 写真下のような赤は表現が難しい。写真の色加工はしていません。肉眼では、ビロードの布に光を当てて反射させたような強い赤です。

 

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 もちろん、この赤は虫を集めるための色で、人間など関係ないのを知っていても、シャクヤクに歓迎されているようで、うれしい。

 

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 私はこのシャクヤクと初対面ではありません。2016年にブルガリアに花を見に行った時、海岸近くの海に突き出た野原に大群落を作り、一面に咲いていました。保護してあるが、ほぼ自然のままでした。ブルガリアで見たのが51日で、今日は430日ですから、ちょうどこの時期に花を咲かせるのでしょう。

 

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 ブルガリアでこのシャクヤクを見てから、量販店の草花の売り場でシャクヤクを見るようになりました。それまではボタンとシャクヤクは品種改良され、あのような豪華な花を咲かせるようになったのだろうと決めつけていたからで、この決めつけも半分は正しい。

 

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 ところが、いくら量販店で一重で毒々しいほど真っ赤な花を探しても、ありません。たいてい八重で、色ももっとおとなしい。品種改良などせずに、ここのを増やして売ってくれれば買いたいのに、探せません。

 

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 森の中にも生えているが、良く見られるのが写真下のような道端です。人間が作った道路のほうが樹木が少ないので陽当たりが良いのでしょう。

 

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 写真下では森の中の陽当たりのよい空き地に群生しています。

 

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 樹木が途切れて、草原になっている斜面に到着しました(写真下左)。大きなセイヨウハナズオウがピンク色のきれいな花を咲かせています(写真下)。こんなに大きくなるんだ。遠目には桃や梅に見えるが、花を見るとマメ科です。

 

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写真上 Cercis siliquastrum

 

 斜面には樹木がないのでシャクヤクが群生しています(写真下)

 

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 やはり薄暗い森の中ではなく、陽が当たるほうが好きなのでしょう。でも、薄暗い森の中に真っ赤なシャクヤクを見つけた時のほうがドキッとします。

 

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 シャクヤクの群落を見おえて、同じ道を引き返します(写真下)。シャクヤクばかりではなく、他にもたくさん花が咲いています。

 

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写真上 Papaver apulum    写真上 Melittis melissophyllum 写真上 Onopordum acanthium

 

 写真下の緑色に光るシジミチョウの和名はミドリコツバメで、鳥みたいで紛らわしい名前です。ユーラシア大陸からアフリカ北部まで生息していて、日本にはいません。空飛ぶ宝石です。

 

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写真上 Callophrys rubi

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写真上 Hippocrepis emerus

 

 ちょっとした空き地には、昨日も見たヒナギクとフウロソウがお花畑を作っています。

 

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写真上 Bellis perennis ,  Geranium pyrenaicum

 

 昨日も道端でたくさん見たフウロソウは、珍しいことに白花があります(写真下)

 

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写真上 Geranium pyrenaicum

 

 428日も見た、私のお気に入りのキキョウです(写真下)

 

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写真上 Campanula  ramosissima

 

 トカゲです(写真下)。昨日、ヴィコス渓谷で見たのと同じトカゲで、今回も名前がはっきりしません。生成AIは、エーゲ海地域にいるカナヘピの仲間のPodarcis erhardiiだろうと提案してきたが、それにしては黒っぽくて地味です。昨日見たのが例外的に地味なのではなく、離れた場所の二匹が地味トカゲですから、この地域ではこの地味が普通なのでしょう。

 

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 途中の道の水溜まりでのんびりしているカエル君を発見!和名はキバラヒキガエルで、危険を感じるとひっくり返って黄色い腹を見せて敵を脅かします。黄色い腹を見せてもらい、ビックリしたいが、せっかくのんびりしているのに邪魔しては悪い(写真下)

 生成AIの推察によれば、写真のカエルは手足をのばし身体を大きく見せて威嚇しているのだという・・・そうかなあ?カエル君は「ボクは水に浮かぶ枯れ枝で、うまそうなカエルなんかじゃ、ありませんよ~」と言っているように見えます。

 

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写真上 Bombina variegata

 

昼食とイモムシ

 トカゲとヒキガエルを見た後で、景色の良い道端の木陰で昼食です(13:29、写真下)

 

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 私のズボンに緑色のイモムシ君がくっついています(写真下)。ご一緒に旅するのは無理なので、近くの葉の上に乗せようとしたら、ご機嫌を損ねたらしく、ヤブに落ちました。自分で好きな場所を探すでしょう。

 『はらぺこあおむし(The Very Hungry Caterpillar)(Eric Carle)の絵本はイモムシへの嫌悪を和らげる役割をしたでしょう(写真下右)。個人的にはイモムシや毛虫はとてもおもしろい。

 

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 食後の最初の花はランで、写真下のお客さんの足元にランが一面に生えています(14:11)。これだけたくさん生えているのに、全体も花もランにしては地味なので、老眼で咲いている花を探すのは意外に難しい。

 

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 このランのおもしろいのは、甲虫や蜂たちに蜜ではなく、夜や雨天の休息所を提供することで受粉を助けてもらっていることです。それなら蜜を製造し花を派手にする大きな労力はいりません。写真上の多さを見ると、この作戦は成功しているらしい。ランの外見や作戦の多様性にはいつも驚かされます。脳がないのに、頭はやわらかい。

 

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写真上 Serapias vomeracea

 

アルバニア国境

 アルバニアとの国境近くの教会(Church of the Holy Apostles)に到着(14:41、写真下)。展望台からアルバニアが見えるという。

 アルバニアは第二次世界大戦後、長年、共産主義の独裁国家で、今の北朝鮮のような鎖国状態の貧しい国でした。ソ連邦の崩壊で1990年代にようやく改革開放で資本主義が入り込むと、今度はネズミ講で国民の多くが財産を失い、経済は大混乱に陥りました。

 現代のアルバニアについて、ユーチューバーのBappa Shota氏の「世界と40年間鎖国状態の独裁国家を訪れてみた」(2024)という取材を見ると、自然が残っていて、一度は花を探しに訪れてみたいような国です。

 アルバニアでは、ディエラという名前のAI(人工知能)が汚職をなくすために公共調達担当の大臣になったという話が伝わって来ました(読売新聞オンライン、2025919)。医者、裁判官、弁護士、大学教授など、高度な知的職業とされている分野はAIの得意分野で、いずれAIが主体になり、人間が助けてもらうようになるし、またそうするべきです。

 

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 私は川が国境だろうと思い込んでいたら、写真下で手書きした赤線のように、国境は展望台の西側100mくらいにあり、そのまま写真下に見える川の右側にのびているようです。

 

 

 

 展望台に先ほどシャクヤクの近くでも見たキキョウが生えていて、こちらはピンクの他に紫があります (写真下)。広場のコンクリートの割れた隙間に生えている雑草です。ピンクもきれいだが、この紫も清楚な雰囲気で、私はこの色も気に入ったので、園芸業者が増やして売ってくれないだろうか。

 

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写真上下 Campanula ramosissima

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 国境が本日の一番北で、ここから戻ります。途中、ガードナーさんが車を停めて、斜面を登って行く(写真下左)。見つけたのは立派なランで(写真下右)、私は毎度、ランよりも、これを走っている車の中から見つける彼の眼力のすごさに驚かされます(15:02)

 

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 今回の旅行では初めてお目にかかるランですが、これと良く似たランを昨年マルタで見ました。マルタのランは前は変種や亜種とみなされていたが、今はマルタの固有種とされています。

 

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写真上 Anacamptis pyramidalis

 

 写真下はシソの仲間で、日本でもエルサレム・セージという名前で販売されています。

 

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写真上 Phlomis fruticosa

 

 街路樹のように道に沿ってマメ科の黄色い花がたくさん咲いています(写真下)

 

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写真上 Spartium junceum

 

 写真下は本日、二種類目のモウズイカで、こちらは1mくらいで背が高く、私が日本で見かけるモウズイカに近い。

 

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写真上 Verbascum mallophorum

 

 写真下も背が高いのでモウズイカかと近くで見たら、トウダイグサでした。

 

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写真上 Euphorbia characias

 

 写真下は昨日29日に修道院の近くでも見かけたマメの仲間で、日本にも帰化しているという。

 

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写真上 Vicia sativa

 

 ここで私が一番好きなのが写真下のバラです。426日のメテオラにもあったのに、皆さんはあまり関心を持たない。欧州ではありふれた野生のバラで、接ぎ木の台木に用いられているそうです。念のためにガードナーさんに名前を確認すると、やはりロサ・カニーナだという。

 

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写真上 Rosa canina

 

オフィリス

 別な谷の奥に進むと、ここでもセイヨウハナズオウ(Cercis siliquastrum)がピンク色のきれいな花を咲かせて、春らしい雰囲気です(15:38、写真下)

 

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 ここには、ランの中でも唇弁が茶色のオフィリス(Ophrys)が何種類かあります。オフィリスの中には茶色の唇弁がハチのメスに擬態することから「蜂のラン(bee-orchid)」とも呼ばれています。昨年、地中海のマルタでハチと花にお目にかかりました。

 一つ目は今日の朝一番でも見た、唇弁に模様のないオフィリスで、ここは数が多い(写真下)

 

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写真上 Ophrys helenae

 

 2番目は、これも朝見た、唇弁に模様のついているオフィリスで、欧州ではこちらのほうが一般的です。それだけに変種や亜種も多く、Wikipediaを見ると18もあります。

 

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写真上下 Ophrys sphegodes

 

 写真下は唇弁の上の二カ所が盛り上がっている特徴的な姿をしていますから、写真上とは別種ではないかと思いますが、変種かもしれません。

 

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 写真下は後ろの花弁とガクがピンク色なので、区別がつきます。ここまではすでに見たことがあるランです。

 

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写真上 Ophrys reinholdii

 

 写真下は初めてで、しかも1本しかありません。花の背後の5枚の花弁とガクの色が黄緑です。ここのランが色をさぼっているだけで、本当は黄緑ではなくはっきりした黄色らしい。写真下右ではハチが停まっています。生成AIによれば、このハチはAndrena barbilabrisではないかという提案で、北半球では珍しくもなく、日本にもこの仲間がいます。

 

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写真上 Ophrys lutea

 

 オフィリス以外のランがあります。写真下はたった1本見つかったランです。南欧を中心に高山地帯にも分布するランで、ここは標高600mくらいですから、高山というほどではありません。

 

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写真上下 Orchis ustulata

 

 このランは、赤い水玉模様のある白い服を着た妖精が、ツバの広い赤紫の帽子をかぶって踊っています(写真下)

 

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 写真下も妖精が躍っているランで、これまで見たのとは別種です。

 

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写真上 Neotinea tridentate

 

 写真下も踊る妖精で、上と違うのは赤い手袋とソックスを付けています。

 

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写真上 Orchis militaris

 

 春の山は天気が良いとただ歩くだけでも気持ちが良い。

 

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写真上 Trifolium grandiflorum

 

パピゴの石橋

 ボウラザニでの花の観察を終えて、パピゴに戻りました(17:55)。ここに来てまだ3日目なのに、村の東側の岩山を見ると、「戻ってきた」という奇妙な安堵を覚えるからおもしろい(写真下)。私は山のそばで生まれ育ったからで、猫が狭い所に入って安心していると同じです。

 

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 夕飯は19:101時間あるので、私はパピゴの石橋を見に行くことにしました。下の地図のように、パピゴの石橋は昨日行ったミクロパピゴやロックプールの近くにあります。ロックプールの手前にあるのだから、昨日、立ち寄ってくれるように頼めば良かったのに、ロックプールに花がないことにがっかりして、頼む気持ちも失せました。

 

 

 石橋まではホテルから直線で1kmもないのに迂回しなければならないので、近道の山道を通っても倍以上かかります(写真下)。山道の入口は朝の散歩で確認できたが、山道そのものは整備されていないので、わかりにくく、迷いました。

 

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                    写真上 Geranium pyrenaicum

 

 山道を下りて幹線道路に出ると、反対側に昨日訪問したミクロパピゴの村が見えます(写真下左)。道路脇には昨日、車で通る時に確認した石橋の看板がありました(写真下右)。ここから谷に下りて行きます。

 

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 これまで見た石橋は真ん中の部分が高く盛り上がっていたが、ここは設置場所が川よりも元々高いので、わりと平らです。この橋がパピゴとミクロパピゴを結んでいたのだから、私が歩いて来た山道とこの橋が2つの村を結ぶ主要道路だったのでしょう。

 

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 掲示板によれば、この橋はラコス橋(Lakkos)と呼ばれ、1850年につくられたという。これもまた、午前中見た石橋と同じで、ギリシャ独立後の1800年代半ばに造られた橋です。橋の欄干に相当する部分が、一部は石を並べただけなのに、片側は小さな石を積み重ねて上に平らな石を乗せているのは観光客用に追加工事をしたのでしょう。

 

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パピゴ蜂蜜

 いつものレストランでの夕飯に向かう途中で、おしゃれな雰囲気の蜂蜜専門店に案内されました(写真下、19:15)。こんな小さな観光村で蜂蜜だけで商売ができる需要があるのだ。

 

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 蜂蜜とそれを使った商品のみを扱う店です(写真下)。蜂蜜は甘さで5段階に分けてあり、試食してから買うように店の奥さんが言います。甘さの違いを示した蜂蜜屋は初めてです。

 

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 私が買ったのは5段階の真ん中の3で、オークから採ったとあり、普通の蜂蜜に比べて粘度が高い(写真下)350g8.5ユーロ(1360)で、1kgあたり4000円弱ですから、日本産の蜂蜜とあまり変わりないのは、自家生産の自社製品だからです。店と対応してくれた妊娠中の奥さんの雰囲気はとても良い。

 

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 Papigiotikoがブランド名のようで、蜂蜜の瓶には、ブランド名と村の東側にある岩山の絵も入れて、パピゴの蜂蜜であることを強調しています(写真上)。蜂蜜を小さな紙の手提げ袋に入れてくれました(写真下右)

 

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 大事な蜂蜜をリュックに背負って、いつものレストランAstraで夕飯です・・・おや?客が少ない(写真下右、19:31)。もう一軒のレストランの兄弟喧嘩が終わって、そちらに客が流れたのかもしれない。パピゴを紹介しvisitpapigo.com”によれば、飲食ができる店は3軒しかないようですから、早く終わらせないと観光に影響が出そうです。

 

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 昨日も好評だったマイタケの油いためと川魚は、どちらもおいしい(写真下)

 

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 3日泊したパピゴも今日が最後です。

 パピゴやメツォヴォは、昔のギリシャの田舎を彷彿させるような村で、お勧めです。日本では、ギリシャ観光はアテネのパルテノン神殿など地中海のイメージが強く、北部のギリシャはあまり知られておらず、ここは穴場です。パピゴは、観光地はロックプールと石橋しかない村だが、石でできた素朴な雰囲気の集落は滞在自体を楽しむことができます。

 

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