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3日目 19981119()

ブッダ・ガヤ ガヤー

 

 

6:00 起床。

7:00 ホテルのレストランで朝食。

8:10 出発。今日はムチャリンダ池を訪問した後、河を渡り、苦行林からスジャーターの村まで訪ねる予定です。

8:18 ホテルから南に歩いて十分ほどのチベット寺を訪問しました(写真下左)。ここは隊長が前に泊めてもらった寺で、僧侶のツェガさんとも知り合いです。中を案内してもらい、庭でお茶をいただきました(写真下右)

 

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ゴミだらけのムチャリンダ池

8:38 ツェガさんに頼んでムチャリンダ池を案内してもらうことになりました。

 ムチャリンダ池とは、経典に出てくるムチャリンダ龍王が現れた場所にある池です。お釈迦様が悟りを開いた後、ムチャリンダ樹の下で瞑想していた時、突然、大嵐になりました。するとムチャリンダ龍王が現れて、お釈迦様の身体をとぐろ巻にして守ったというのです。

 当時のムチャリンダ樹が残っているはずもないが、龍王は水と関係することから、ムチャリンダ龍王の棲んでいたムチャリンダ池があるというのです。百年近く前の日本人が訪れて写真を残していますが、いくらガイドブックを読んでも、大菩提寺の南側にあるというだけで、場所がはっきりしませんでした。普通の仏跡のパックツアーではまず行かない所です。

チベット寺の南に向かい、田んぼや畑のあぜ道を通り、いくつも村を通り抜けました(写真下)

 

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ツェガさんがあちこちの村人で聞くが、どうも彼自身もあまり場所をはっきりとはわかっていないようです(写真下右)。私は地図で見ただけで、具体的な場所はわからないが、それにしてもこんなに遠くはないはずだと思っていたら、行き過ぎたようで、少し引き返しました。

 

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9:30 迷いながら、ムチャリンダ池に到着。そのころには近隣の村の子供たちがお供について大行列です(写真下)。観光客がこんな所まで来るのは珍しいからでしょう。

 

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 村人に聞くと、ここがムチャリンダ村だといいます。その村の入口にあるのがどうやらムチャリンダ池らしい。ま、ムチャリンダ村の池なんだから、ムチャリンダ池なのは当たり前ですが・・・。

 

 

 仏跡巡礼の古い本の写真や位置から推測して、これが彼らの言っていたムチャリンダ池にまちがいないでしょう。下の写真は三枚が横に続きの写真です。

 

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これが経典にも出てくるあのムチャリンダ龍王が棲んでいたという池です!と感動を込めて言いたいところですが、もちろんどう見てもただのため池で、ムチャリンダ龍王が手を振ってくれるわけではありません。

 

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乾季で池は干上がり始めているので、直径が50m程度です。インドではよくあることで、池の周囲はゴミだらけです。

 

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皆さんはごらんになって、少々ガッカリしたかもしれません。お釈迦様がここで悟りの後の瞑想をして、そこにムチャリンダ龍王が現れるなんて、神秘的で美しい場所を想像してしまうが、現実は、ゴミだらけのアオミドロの浮いた汚いため池にすぎません。

しかし、よく考えてみれば、お釈迦様の時代にはおそらくこういう光景だったのです。大菩提寺はじめ、立派な施設の建っている仏跡こそは原型を留めていない。ここは、まったく観光化されていないために、かろうじてお釈迦様時代の雰囲気が保たれているのです。

 この写真や場所をネットで公開するのが良いことかどうか、少々迷いました。観光客がおしかければ、四角いコンクリート製の池に変わり、真ん中にムチャリンダに守られる極彩色のお釈迦様の像を飾り、周囲には大きい賽銭箱のある寺院が建てられ、インド人たちがしつこくムチャリンダ龍王の絵を売る。この村の子供たちは今は好奇心だけで集まっているが、その頃には手を差し出すようになります。

 だから、ここはゴミのある汚いため池のままで、物好きな人がたまに訪れるくらいが一番良いのでしょう。

 

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9:57 ムチャリンダ池を後に、対岸にある苦行林とスジャーター村に行くことにしました。

 

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10:29 ネーランジャラー河にそって大塔のほうに向かい、途中から東側に河を渡りました。と言っても、橋はもっと下流にあるので、靴を脱いで裸足で渡ります(写真下左)。乾季で河は浅いし、流れも強くなく、地元の人たちも渡っていますから、危険はありません。危険なのは、河川はトイレである点です。

 

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 河を渡り、振り返ると、対岸には昨日夕方訪れた大菩提寺の大塔が見えます(写真下)

 

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 周囲は農家が点在する農村です。

 

 

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11:30。チベット寺があったので、参拝しました(写真下左)。チベット寺の門の脇の建物の一室を借りて学校があります(写真下右)

 

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先生が誘うので、中に入ると、二十~三十人の子供たちが一室の中にいて、何か勉強しています。我々のために歌ってくれたようです。もちろん無料参観ではありません。どこから見ても公立ではなく、おそらくはここの先生が個人的に開いている学校で、日本で言えば塾のようなものです。

子供たちにとって教育は必要だし、こんな所では観光客も来ないから、経営が大変です。少額を寄付するのはやぶさかではありません。だが、我々の一人が持っていたTシャツを先生にプレゼントとすると、後ろから追いかけてきて、「先生はもう一人いるから、もう一枚くれ」と言われたのにはあきれました。

 

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苦行林(ダルマーランニャ)のお釈迦様は井戸の中

11:20 灌木の林を通り抜けて、ようやく苦行林(ダルマーランニャ)に到着(写真下左)。苦行林とは、お釈迦様が悟りを開く前に六年間、断食(麻麦の行)や呼吸を止めるなどの激しい苦行をした場所とされています。もちろん、ここがそうだという証拠は何もありません。ただ、この近辺だったことは間違いありません。

 

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遺跡としては菩提樹がたっており、その前にコンクリートのたたきと、隣に建物があります(写真下)。建物と言ってもふきさらしで、どうやら中にある井戸のために作ったようです。つまり、この井戸こそがこの遺跡なのです。

お釈迦様と井戸?日本人には馴染みのない組み合わせです。話はこうでした。お釈迦様はこの井戸の中で断食の行をやって、六年たってから掘り出したら、生きたまま出てきたというのです・・・うーむ、お釈迦様ってカエルだったんだ、なんて失礼なことを言ってはいけません。

ちょうど前正覚山の話が中国や日本など玄奘三蔵の影響を受けた地域にしかないように、伝承は国によってかなり違います。仏典には断食の苦行をしたことは述べられているが、井戸の中の話はありません。

 

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敷地の中では2つの学校を開かれています(写真下)。帰ろうとすると、先生が寄付をした人の一覧表の本をもってきて寄付を迫ってきました。もちろんその間、授業は中断です。Buddha Schoolという名前の学校だったが、先生はヒンドゥー教徒です。ブッダはヒンドゥー教のビシュヌの変化身の一つとされていますから、彼らにはさほど違和感がありません。インド仏跡にはたいていヒンドゥー教の寺院などがあり、ここにもあります。

 

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苦行林を出て、次はスジャーター寺院に向かいます。風景は農村が広がり、北東の方角には昨日訪れた前正覚山が見えるなど、のどかです(写真下)。だが、のどかなのは風景だけで、人もろくにいない場所なのに、どこから湧いてきたのか降ってきたのか、物乞だけはいます。ばあさんたち(若いのかもしれない)の物乞につきまとわれます。カモは我々しかいないので、年季の入ったしつこさで付いてきます。手をさしだしながら「バブ、バブ、バブ、バブ・・・」と言う。後でわかったのですが、「旦那様」くらいの意味のようです。

 

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スジャーター寺院でインド人に供養

スジャーター寺院が目の前に見えるので、畑のあぜ道を通って近道をしようとすると、間に幅2メートルほどの川が流れていて、渡れません。白人の息子と母親らしい二人連れの巡礼者は、川に入って渡ってしまいました。仕方ないので川に沿って、数百メートル上流まで行き(写真下右)、バブバブ物乞に追いかけられた道に戻りました。しかし、そこも橋がなくので、石を川に入れて、なんとかジャンプして渡り、川沿いにまた戻り、ようやくスジャーター寺院にたどりつきました。(12:06)

 

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スジャーター寺院は、寺院と言っても、ヒンドゥーの寺院の裏手に簡単な祠があるだけです(写真下)。スジャーターは、お釈迦様が苦行をやめる決心をした後、初めて乳粥を供養した人です。供養した場所がこの寺院のある所だということのようですが、もちろん、何の根拠も証拠もありません。ここは明らかにヒンドゥー教の寺院の敷地の一部を借りて作られたものだからです。

 ただ、ヒンドゥー教の寺院がこんな村から離れた所にあるということは、逆にここが本当にスジャーターが供養した場所であった可能性が出てきます。建物は周囲の田畑よりも少し高い所にあるから、案外この下に供養を記念したストゥーパが埋まっているのかもしれません。

 

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訪れたとときには観光客はだれもおらず、数人の男性が周囲でネハンに入って・・・いや、昼寝をしていました。我々が行くと、起きだしました。昼寝を邪魔してしまってようで、申し訳ない。

一人は日本語が達者です(写真下左の右側の人物)。彼はこの周囲に住んで、農業をしていて、毎年ここに来る日本人に日本語を習ったとのことで、なかなかの習得力です。「寄付してくれると助かる。彼らの生活費だ」と彼は正直に他のインド人たちを指していいます。いういろいろと話をしたが、特にしつこく喜捨を迫るということはなかったので、スジャーターがお釈迦様に供養した場所で、我々はインド人に供養しました。

 

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 スジャーター寺院を後にして、畑のあぜ道を通って、スジャーター村に向かいました。

そのあぜ道に、子供たちの物乞軍団が待ちかまえていました。隊長によれば、軍団にいる子供を抱えた女の子は、前回来た時、お金をあげたらすぐにしまいこみ、また手を出した子供だという・・なかなか才能がある。先ほどのバブバフ乞食もしつこいが、こちらの子供たちもしつこい。こんなところまで来る観光客は少ないので、逃がしてなるものかということでしょうか。

足が不自由な子供が地面をはうように必死に追いかけてきます。昨日の裸で追いかけてきた少年や、身障者の物乞の姿を見ると、精神的にこちらがまいってしまいます。

 

スジャーターの村の物乞の縄張り

12:42 スジャーターの屋敷跡に建てられたというストゥーパに到着しました(写真下)。この村はセーナー村という名前のようです。ストゥーパが崩れたものらしく、丘になっています。発掘もされておらず、ストゥーパの上には木が生えています。

 

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ここにも案内人風のじいさん物乞が待っていて、子供となわばり争いをしています・・・みっともない、やめろ。こういう連中がいるので、ゆっくりと見物もできません。

 ストゥーパの上から見ると、北東の方向に前正覚山が見えます(写真下左)

 

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 物乞の軍団に追い立てられて、ストゥーパから退散しました。

ネーランジャラー河にかけられた橋を渡って、ブッダ・ガヤーの街のほうに戻ります。天気が回復していて暑い。この橋のおかげで、簡単にスジャーターの村まで観光客が行けるようになりました。それが良かったのかどうか、物乞軍団を見るとよくわかりません。

 

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13:00 橋を渡ってすぐのところにある「ポレポレ」という店で昼食をとりました。しかし、油がきつく、味はまずく、私には食えませんでした(Rs192)

14:20 夕方にはガヤーに出発するので、再度、大菩提寺を参拝しました。

 

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 大菩提寺の敷地の南側に蓮池があります(写真下左)。説明書きによれば、ここがムチャリンダ池であり、暴風からお釈迦様を守るためにムチャリンダ龍王が出てきたと書いてあります。午前中訪問したあの汚いため池がムチャリンダ池か、もはや誰にもわかりません。

 

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 蓮池の真ん中のブッダ像を見てください(写真下)。ムチャリンダ龍王がトグロを巻き、後ろからエラを広げてお釈迦様を守ろうとする姿です。ムチャリンダ龍王を四つ足の竜だと思っているお坊さんすらいることに驚きます。龍王とはナーガといい蛇王(Snake King)です。だから、ムチャリンダ龍王の姿は、四つ足の竜ではなく、キングコブラの姿で表されます。

 

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 大塔の周辺を散歩すると、チベットの僧侶たちが木陰で五体投地や勉強をしています。チベットの坊さんは熱心な人たちが多いことに感心します。

 

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金剛座のそばの菩提樹から、風が吹くと葉が落ちてきます。僧侶があわてて拾う。菩提樹の葉はとらないように、と看板があるから、取ることはできませんが、落ち葉は拾えます。おみやげにちょうど良いと、風が吹くのを待つとなかなか吹かない()。葉を拾っていると、韓国か台湾の尼僧が手にもっていた何枚かの葉をくれました。欲を捨てるように説いたお釈迦様が成道した場所で、葉っぱ拾いに夢中になるなんて、自分のさもしさを見られたようで、恥ずかしくなりました。

 

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16:15 タクシーRs300でブッダ・ガヤーを出発し、今日の宿泊地であるガヤーに向かいました。バスで来た道とは別な道で、途中でガソリンスタンドで給油しました(写真下左)

 

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17:01 ガヤー到着。最初に行ったホテルが気に入らず、隣にあるホテル・シッダールタにしました。エアコン付でお湯がでる高級ホテル()です($129)。しかし、ホテルからの風景はいまいちです(写真下)

 

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18:10 ホテルのレストランで食事(写真下、Rs574)

 

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