トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 アムネマチンと黄河源流の花 4日目 2013年7月5日(金) 甘孜 → 石渠 六時頃から騒音で何度も目が覚め、七時に起きました。窓を開けると、何日かぶりの晴れです。天気が良いと気分も良い。 今日は甘孜から馬尼干戈(マニカンコ)を通り石渠(セルシュ)まで行きます。地図で見ると、まっすぐな道だから、よさそうですが、今回の旅行では、一番の悪路と道路工事の連続でした。 ホテルの前には植えたのか雑草なのか、濃いピンク色のきれいなタチアオイが咲いています(写真下)。 ホテルの向かいにある食堂で朝食です(写真下)。朝食を取る人たちで店は賑わっています。 辛くはないが、スープと麺のどちらもおいしくはない。野菜くらい入れればいいと思うのだが、よくこれで店が流行るものだ。 街中の散歩 パンクしたタイヤを修理するので、出発は十時だという。烏里さんが「街中を散歩しましょう」というので、案内してくれるのかと期待していたら、食後「あっちに市場がある」と指さす。私は『全チベット文化圏完全ガイド』に載っていたこの街の地図をコピーして持ってきたので、困りませんが、そうでなかったどうするのでしょう。 大通りのほうに行くと、けっこう人が賑わっています。 写真下がチベット女性のファッションのようです。この街の女性たちは比較的伝統的なチベットの服装をしています。 道端で大音量のお経を流しています。写真下左は坊さんの格好をしていますから、托鉢に見せた物乞のようです。もう一人は有髪でジャージ姿です(写真下右)。お金をくれというなら、せめて坊さんの格好くらいすればいいのに。どちらも、うるさいだけで有り難みはありません。 仏教の本当の托鉢とは、日本のように虚無僧の格好をしたり、尺八を吹いたり、お経を唱えるのはすべて間違いで、黙って立っているのが正しい。 市場のブタの頭 「菜市街」という看板が出ています。市場です。 その看板の前で男性たちが集まって何か品定めをしています。絨毯のようです(写真下)。 市場はこの街の規模に合った程度でそれほど広くはありません。建物の中の店と、路上の露天売りとが混ざっているのは他の市場と同じです。 朝のせいかそれなりに人がいます。ここは常設の市場なので、写真上のような生鮮食品の他に乾物なども並んでいます(写真下)。 ここは3300mをこす高地なのに野菜や果物も豊富です。中国ではしっかりと農薬がかけてありますから、虫食いなどあろうはずもなく、見事な野菜と果物ばかりです。先日、中国で農薬を落とすとして水につけた野菜にオゾン入りの泡を吹きかけているのがテレビで放送されました。農薬の多くは浸透性ですから、何もしないよりは良い程度です。 こちらの肉売り場です。鳥インフルエンザが恐いので、ニワトリのそばにだけは行きたくない。幸い、生きたニワトリは売っていません。 写真下左をごらんください。これも売り物なのでしょう。残酷なような気にするが、これが現実です。チベット人の偉いところは、余すことなく食べることです。オバサンが豚足をバーナーで焼いている(写真下右)。 写真下左はコンニャク、右はバターです。日本のコンニャクのルーツとは中国なのに、中国ではあまりコンニャクは一般的ではないと聞きました。しかし、これまでの旅行ではしばしば市場で売られているのを見かけます。 市場で時間が取られてしまい、私は急いでホテルに戻ることしました。来た道を引き返すのでは芸がないので、北にのびる道路を行くことにしました。 市場のある通りから少し離れると、あたりは急に静かになり、人通りも少なくなります(写真下)。 甘孜広場という公園を横切ろうとすると、写真下左をごらんください、ヤシの木です。もちろん、三千メートルのチベットにヤシの木があるはずもなく、ビニール製です。前に、理塘という四千メートルの街中にもビニール製のヤシの木がありました。いつ見ても、風景に合わない。 芝生の上で坊さんが気持ちよさそうに寝ていて、こちらは風景に合います(写真下右)。 公園の通路で野菜を売っています(写真下右)。こんな人通りの少ない所で売れるのかな。野菜がけっこう採れるのがわかります。公園を横切り、私の市内一周の旅も終わりです。 ようやく出発 タイヤの修理も終わり、ホテルを出発(9:55)。晴れて気持ちの良いドライブです。 甘孜の南側を流れる雅砻江に沿って、西に向かいます。 317国道(217省道)は良くもないが、悪路というほどでもありません。 写真上は麦畑で農作業をしているのでしょう。ところが、写真下はいずれも作業しているのではありません。休憩ともとれるが、こういうぼんやりと畑の中にたたずむ人や、ピクニックをしている人たちの姿は頻繁に見かけます。何か生活のゆとりを感じさせます。 甘孜の草花 道の両側にはたくさん花が咲いています。こんなに天気が良いのに通過する手はありません。車を停めてもらい、花の撮影です。 写真上 Pedicularis cranolopha (Guide to the Flowers of Western China,
p.453) 写真上 Cynoglossum amabile (Guide to the Flowers of Western China,
p.426) 写真上 Genstiana depressa (Guide to the Flowers of Western China,
p.393) 写真下は毎度お馴染みで、私が「道端アザミ」と名付けた名前のわからないアザミです。 写真下は外見からして上とは別種のアザミなのでしょう。葉が地面に傘状に開き、茎がのびないまま花が咲いています。特徴ある姿ですが、図鑑を見てもわかりません。 写真下のスイバはありふれすぎて、名前がわからない。 これまたどこにでもある、でも名前がわからないタンポポとノコンギクの仲間です。 写真下も花が小さく、つい写真を撮るのを忘れてしまうくら目立たない花ですが、これも3400mの高地に生えているのですから、高山植物です。 写真上と下は姿形は良く似ていますが、背丈と色が違います。 写真下のカマエヤスメはジンチョウゲの仲間です。ただし、草花でジンチョウゲほどの香りはありません。 写真上 Stellera chamaejasme (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.125) 写真下も良く道端で見かけるトリカブトの仲間です。 写真上 Aconitum gymnandrum (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.117) 道の左側(南西)には五千メートル級の雪山が連なっています。今日は雲が多くて山頂が見えませんが、晴れれば甘孜からも雪山が見えます。 6時間の通行止め?! 比較的順調に走って来たのに、一時間ほどで渋滞です(10:50~、写真下左)。しかも、烏里さんから、「これから6時間ほど通行止めになるそうだ」というショッキングなニュースが伝えられました。6時間て、夕方までここにいろってこと!?皆さん慣れているのか、道端には店まで出ています(写真下右)。 6時間という数字に、そうでなくても暑いのに、頭がクラクラしました(笑)。車の中にいてもしかたないので、私は外に出て花の写真でも撮ることにしました。 交通止めされた所はすぐそばに川が流れ、南には牧草地が広がった場所です(写真上下)。六時間もあるなら、写真上の向こうに見える山あたりまでハイキングをするのも一つの手です。下の衛星写真で見るとわかるように、道路の東側には樹木の生えた山もあり、たぶん植相が違うから、六時間くらいはすごせそうです。衛星写真で白く写っているのが、写真上の川です。 烏里さんの判断を待つしかないので、私は川の近くの牧草地で花の写真を撮りました。牧草地は牛が草を食べてしまうせいか、緑が多いわりには花は少ないし、良い被写体はもっと少ない。 写真上 Clematis rehderiana (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.91) 牧場に良く生えているタガラシのようなキンポウゲの仲間が花を咲かせています。普通は群落するのだが、ここは家畜に踏まれてしまうのか、少ししかありません。 写真上 Ranunculus brotherusii (『ヒマラヤ植物大図鑑』p.630) 花の写真を撮っていると、烏里さんが呼んでいます。戻ってみると、他の車の人たちは相変わらず暇そうに待っていますし、他の車は動きそうもありません。我々の車だけが、通行止めの先頭に行き、そこで烏里さんが何か交渉しています(写真下)。 なんと、我々だけが通行を許されました(11:11)。どうなっているのか理由はわからないが、警察官の気分が変わらないうちに行きましょう。 山は花だらけ 検問所のすぐ先に工事現場など、通行止めの理由があるのだろうと見ても、何もありません。車は順調に走ります。 途中、烏里さんがキキョウのような花を見つけて車を停めました。キキョウではなく、サルビアの仲間でした。 写真上 Salvia swardii (Guide to the Flowers of Western China,
p.442) 写真上 Scutellaria hypericifolia (Guide to the Flowers of Western China,
p.445) 写真上 Aster souliei (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.88) 写真上 Hedysarum alpinum (Guide to the Flowers of Western China,
p.333) ウサギギクにスジグロチョウが停まっています。 写真上 Pyrethrum tatsinense (『ヒマヤラ植物大図鑑』p.100) 写真上 Morina coultherina (『ヒマヤラ植物大図鑑』p.125) 山の斜面がどこもここも黄色に染まっています。お花畑です。 二時間の通行止め 前の通行止めから三十分ほど走った所にある橋の上でまた通行止めです(11:51~、写真下)。川岸に砕石所のような大きな工場があり、粉塵なのか煤煙なのか、煙が上がっていて、とてもあれが身体に良いようには見えません(写真下)。 工事の看板が出ていて、5月15日~8月15日、朝7時~夕方18時まで通行禁止とあります。先ほどの最初の通行止めで六時間待たされるとは、ここの事を言っていたのでしょう。日本で全面通行止めなら、車の少ない夜間に行うのだろうが、中国ではそうではありません。 日本と違い、どのくらい待たされるのか、さっぱりわかりません。なにせ朝7時~夕方18時と掲示されているのだから、夕方六時まで待たされても文句は言えない。 どのくらい待たされるかわからない、これがもう一つの中国での苦痛で、他人の時間をロスすることを何とも思っていない。お上がこの調子なので、一般の中国人にも時間にいい加減な人を見かけます。 川辺や斜面に、時間つぶしをするお坊さんたちの姿が見えます(写真下)。私もあそこに行ってみることにしました。橋の上の車から私の姿が見えるだろうし、クラクションを鳴らしてもらえば、すぐに戻れます。 大きなスイバがたくさん生えているそばにお坊さんが成仏されて・・・いや、ただ寝ているだけですから、お線香をあげてはいけません(笑)。 ここは高度が3800mくらいありますから、山の斜面にはたくさんの花が咲いています。これだけ花があれば2~3時間は充分に時間がつぶせます。 これまで停まった所でも白いタンポポを見かけました。ここは白いタンポポが特に多い。 写真上 Anemone demissa (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.90) 写真下の黄色い花はたくさん咲いているが、撮りにくい。花が小さく、黄色というカメラが苦手とする色だからです。 これもオミナエシのような花で撮りにくい。名前はなおさらわからない。 写真上 Bistorta viviparum (『ヒマヤラ植物大図鑑』p.660) おっ、蝶がいる・・・いや蛾のようです。似ているのに、どうして蛾だとわかるとがっかりするのでしょう(笑)。 写真下はこれで花が咲いている状態です。 写真上 Acanthocalyx chinensis (Guide to the Flowers of Western China,
p.490) フデリンドウは、日が差しているせいか、青が強く出ています。 写真上下 Genstiana depressa (Guide to the Flowers of Western China,
p.393) 日が当たると透明感があってきれいです。 写真下の花は今回の旅行ではしばしば見かけました。ちょうどタツナミソウを大きくしたような花です。 写真上 Scutellaria hypericifolia (Guide to the Flowers of Western China,
p.445) 写真下のマメの仲間は、写真に撮ってしまうとそれほどでもないが、草むらでは強烈な紫が目を引きます。濃い紫では一見目立たないようだが、人間でさえ目が行くのだから、虫を引き付けるのに良い色なのでしょう。紫外線を強烈に反射しているのではあるまいか。 写真上下 Tibetia tongolensis (Guide to the Flowers of Western China,
p.334) 写真下のキキョウの仲間はチベットでは良く見られます。下段の一本だけは白花で、私は初めて見ました。 写真上 Gentianopsis paludosa (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.92) 写真下もチベットでは良くみかけるシオガマギクの仲間です。 写真上 Pedicularis cranolopha (Guide to the Flowers of Western China,
p.453) 写真下のマメの仲間は、花そのものの色はそれほど冴えないが、光を通すと薄紫がとてもきれいです。白い岩とのコントラストが良い。 ウスユキソウは他の植物に圧倒されているのか、数が少ない。 写真上 Leontopodium dedekensii (Guide to the Flowers of Western China,
p.501) 写真上は下のアスターと同じ仲間かと思われます。しかし、上は花びらがクシャクシャで、花は小さく、開き方もイマイチです。それなりに数があるところを見ると、こういう個体なのか、それとも写真上右のように開花そのものに失敗したのか、よくわかりません。写真下は一見、アズマギクのように見えますが、茎に葉がついていますから、たぶん別種です。 写真上 Lancea tibetica (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.71) 葉の下に緑色の玉のようものがぶらさがっています。これは花のなのか、実なのか。 写真上:Potentilla anserina (『ヒマヤラ植物大図鑑』p.442) 写真を撮っているとお坊さんがやってきました。言葉が通じないのが残念です。彼には花の写真を撮っている変な人に見えるのでしょう・・・変な人というのは事実だが(笑)。 一時間ほどして、橋の上から烏里さんの呼び声が聞こえて、ようやく車が動き始めました(12:52)。 また渋滞 数百メートルも進まないのに、また渋滞です(13:05~14:13)。写真下右の先を見ればわかるように、渋滞の理由はアスファルトの舗装をしているからです。しかし、それなら片側ずつとか、迂回路を作るとか、何か方法がありそうなものだろうと考えるのは、やはり日本人だけのようで、中国では通用しません。 道路の脇を馬とバイクでヤクを追う一団が通り過ぎたので、あわてて車を降りて撮りました。 強烈な日差しと炎天下、ひたすら待つしかありません。私は、もちろん、車を降りて周囲の花を写真を撮ることにしました。 花の写真を撮っていると、子供が二人好奇心満面で寄ってきました。近くに子供たちの家族らしい人たちがいます。しかし、私はこういう時の交流は上手ではありません。ごらんのように、彼らの顔から緊張が取れていません。せっかくのチャンスなのに、写真としては失敗です。うまい人がいると、言葉は通じなくても、彼らを笑わせることができるのですが、残念です。 そういう点、花は緊張しないので、撮りやすい(笑)。子供が持っていた花が写真下です。 写真上 Stellera chamaejasme (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.125) 写真下のアズマギクは一見先ほどの橋の下で撮ったアスターに似ていますが、ここのは茎に葉がついていないので区別できます。 写真上 Aster souliei (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.88) 写真下のシシウドは橋の所にはありませんでした。わずか数百メートルしか離れていないのに、植相に違いがあります。 こちらも先ほどの橋の所にはなかったカラマツソウで、斜面にたくさん生えています。 写真上 Thalictrum macrorhychum (Guide to the Flowers of Western China,
p.109) 先ほどの橋の所と違い、ここは低い樹木が生えて花を咲かせています。 判断が難しいのが、写真下のキンポウゲの仲間です。山の斜面の木陰に咲いています。牧草などで良くみかけるタガラシのようなキンポウゲに比べて花が大きい。葉がシュンギクのようにギザギザになっていますから、一般に葉の丸いリュウキンカではなく、キンバイソウの仲間にようにも見えます。ところが、花の茎は地面から立っており、葉がついていないから、イチリンソウにも見える。で、結論として、わかりません(笑)。チベットでは良く見かけますから、珍しい花ではありません。 写真上 Geranium moupinense (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.106) 車が動き始めたのは2時すぎですから、先ほどの橋の所を含めて、かれこれ二時間もこの近くで待たされたことになります(14:13)。 道路の周囲で目立つのはお寺や斜面にかざられたタルチョです。タルチョは経典や呪文、馬の絵などが描かれており、経典などは風に吹かれると読経したことになるのだそうです。つまり、読む労力は風に任せて、御利益だけいただくというご都合な信仰です。 道は写真下のように一部舗装された所もあるが、大半はホコリ高い道です。 ホコリ高い道端にあるガソリンスタンドで給油です(14:44)。このあたりは馬尼干戈(マニカンコ)の街の入り口です。 7.59元(132円)ですから、二郎山峠よりも少し高い。ここのガソリンが旅行中の最高値でした。 馬尼干戈の美少女 馬尼干戈(マニカンコ、中国四川省甘孜自治州徳格県馬尼干戈郷)に到着(14:48)。馬尼干戈は317国道と217省道とが交わる所にできた街です。街というよりも、街道沿いに店が並んでいるという感じです。 街は小さいが、通りはそれなりに賑わっています。水を買うと1.5Lで 5元(87円)でした。やや高い印象だが、輸送費を考えるとそれほどではないのでしょう。 街で目立つのは、チベットの街で良く見かけるレリーフの入った鉄の赤い扉です(写真下)。 国道沿いの馬尼干戈酒店で昼食です(14:51、写真下)。さきほど工事で渋滞した時にいた他のお客さんたちもこの店に来ています。 どこで食べても卵入りのスープは辛くない。写真下右は、毎食ごとの烏里さんのお酒です。どこでもこういう小瓶の酒を売っています。ハエがたくさんいます。不潔と見るか、農薬の使用料が少ない証拠と見るか、難しいところです。 この食堂のウエイトレスの一人が可愛いので、写真を撮らせてもらいました(写真下)。彼女もチベット人ですが、色白で、日に焼けないと皮膚の色は日本人と変わりありません。馬尼干戈の美少女です。 ようやく青いケシ 馬尼干戈から317国道を南に進むと湖のある新路海自然保護区があり、白唇鹿やユキヒョウなどが生息しています。 我々は自然保護区には行かず、馬尼干戈から317国道と分かれ、217省道を走ります(15:46)。国道から省道ですから、道はこれまで以上に悪くなる。写真下左のような舗装なしで、所々で工事中の道路です・・・先が思いやられる。 走るにつれ、進行方向の左側(南)に荒々しい印象の山々が見えて来ました。雀儿山のある山脈で、車はその北側を走ります。 周囲はいかにもチベットらしい風景が花で黄色くなっています。 大柄なサクラソウを見つけて車を停めてもらいました。 写真上 Primula secundiflora (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.84) 写真上 Ajuga ovalifolia (『ヒマラヤ植物大図鑑』p.104) 写真上 Salvia swardii (Guide to the Flowers of Western China,
p.442) 写真上 Hedysarum alpinum (Guide to the Flowers of Western China,
p.333) 写真上 Astragalus floridus (『ヒマラヤ植物大図鑑』p.414) 峠に向かって登り始めると、ブルーポピーがありました(4090m
,16:38)。四千メートルを越えたという証拠のようなものです。折多山の薄紫と違い、こちらはきれいな青です。 写真上 Meconopsis racemosa (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.98) 写真上 Corydalis pachycentra (Guide to the Flowers of Western China,
p.138) 遊牧民を訪問 峠の山頂の少し手前で、斜面でヤクを放牧している遊牧民を見つけ、車を停めて撮影です(16:52~17:03, 4117m)。 ヤクもこんなところで放牧されたら、のびのびして気分が良いでしょうね。 日本などで家畜小屋に飼われている牛はたいてい汚物に汚れている。でも、放牧されているヤクで汚れているヤクは見かけません。 家族は父親らしい男性一人と、乳搾りをしている女性二人です。 ここは4400mほどの高地ですから、日焼けを防ぐために帽子をかぶり、顔も覆っています。 乳搾りの手を休めて、烏里さんが頼むとかぶり物を取ってくれました。 たぶん写真下左がお母さん、写真下右が娘さんでしょう。お母さんの頭についている飾り物がおもしろい。 4500mほどの峠の山頂を通過(17:13)。南側には雀儿山(雀児山、6168m)とその山脈があります(写真下)。5500mを越える山が十座あるといいます。しかし、ここからは雀儿山は見えないようです。 衛星写真を見てもわかるように、馬尼干戈(マニカンコ)からこの峠まで30kmほどで、ようやく本日の全行程の半分近く進んだことになります。まだ半分も行かないのに、すでに五時をすぎています。日没まで三時間半といったところです。 烏里さんが斜面に咲く黄色いコリダリスを見つけて車を停めました(4220m,
17:21)。 写真上下 Corydalis scaberula (Guide to the Flowers of Western China,
p.133) 斜面は細かい瓦礫でできており、登ろうにも足をかけただけで、崩れてしまいます。 崩れた斜面に真っ先に生えることで他の植物との競争に勝っているのでしょう。花のつきから見て、今が一番の盛りのようです。今回の旅行ではここでしか見つかりませんでした。 写真上 Allium macranthum (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.78) 写真上 Aconitum gymnandrum (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.117) 斜面には次々とブルーポピーが現れるので、再び車を停めてもらいました。青いケシのおもしろいところは、花が上から順番に咲いていきます。つまり、写真下右を除き、大半の花は二番咲きです。最初の花は上の部分ですでに終わっています。 写真上 Meconopsis racemosa (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.98) このツアーは当初一週間前に出発する予定でした。私がそれを一週間遅らせてもらったのです。一週間前なら一番咲きが見られたかもしれません。もっともそれだと私は仕事の都合で参加できませんでした。 美人三姉妹 道の近くに黒いテントを張っている遊牧民を見つけて、写真を撮らせてもらおうとテントに近づきました(3800mm,
18:04~18:18)。犬が猛烈に吠えます。恐いから、いつでも逃げられるようにしながら、テントに声をかけると女性が三人出てきました。 推測ですが、写真下左が長女、中央が次女、右が三女ではないかと思います。他に五歳くらいの子供がいましたから、たぶん長女の子供でしょう。 三女に帽子を取ってもらいました。興味深いのは頭につけた飾りです。先ほどの峠にいた親子のうち、母親が同じような飾りを付けていましたから、この地方のチベット俗の習俗のようです。 長女(写真下左)と三女(写真下中と右)が付けています。三女の後ろを見ると(写真下右)、髪の毛の後ろにもう一つ似たような飾りをつけています。黄色の土台に赤い玉を乗せており、赤いのはたぶん紅サンゴでしょう。問題は黄色い土台で、長女の飾りが不定形なところをみると自然の材料のようです。いずれにしろ、頭に乗せているのだから、紅サンゴ同様に、財産的な価値のある宝石や貴石なのでしょう。 馬尼干戈の美少女といい、今日は美人の当たり日です。 南に雀儿山(6168m)の白い峰を見ながら(写真上、下左)、竹慶郷(竹庆乡)を通過(18:25、写真下右)。これでようやく予定の半分を過ぎました。どう見ても、到着は夜中です。 相変わらず道はすさまじいというか、ますますひどくなっています。前に車が走っている時は、窓を閉めるしかないが、すると暑い。開け閉めを頻繁に繰り返すしかありません。 下の地図に記入した数字は甘孜から石渠までの通過した時刻です。本当は石渠まで行かずに、馬尼干戈で一泊したほうが時間的には余裕があります。 日の入りまでまだ二時間ほどあります。日差しが斜めになると風景に影ができて、陰影がはっきりしてきて、山並みがきれいに見えます。 天気が良いこともあり、ここが四千メートルの高地だとは思えないほど、のんびりした風景が広がっています。 最後に写真を撮ったのが九時少し前で、あたりは暗くなり、周囲の風景も見えなくなり、その後の約三時間の写真はありません。 石渠(セルシュ)に到着するまで道路はすさまじい状態でした。何十キロにもわたり、どこもここも工事中で、舗装された道路は皆無。それでも道だとわかる道はまだ良い。車のヘッドライトから見える道は、道というよりも、どこかの畑の裏道に迷い込んだか、崖崩れを起こした工事現場の中を走っているような感じで、道とは思えないほどです。真っ暗な中、ホコリのたつ猛烈な悪路を、後どのくらい走れば到着するのかわからないまま走っていくのは、とても疲れる。 車にGPSがついており、烏里さんもスマートフォンのアプリのGPSで確認しているのに、前の車に付いていったら幹線道路から外れたらしく、数キロも引き返すことになりました。 石渠に到着する少し前の11時頃には雨まで降り始めました。 掃除されていないホテルの部屋 クタクタになって、夜十一時半頃に石渠(セルシュ)に到着(3785m)。さらに街の中のホテルをあちらこちらと探し、ようやく幹線道路から少し離れた石刻王国酒店にたどり着きました(23:44、写真下)。こんな時間ですので従業員も寝ていたようです。 夕飯は取っていませんが、私は車の中で乾燥果物などを食べているので、遅いし、食欲もありませんから、いらないと断りました。 エレベータがないのに4階の部屋だというので、私はスーツケースを持ち上げるのは無理だというと、寝ていたホテルの従業員を呼んで、運び上げてくれました。なにせここ四千メートルの高地です。自分で階段を上るのでもかなり気をつけないといけない。 疲れ切って部屋に入っていくと、悪くなさそう・・・と思ったが、実はこの部屋は掃除されていない(写真下)。 洗面所には丸められたタオルが置いたままで、しかも、他人が使ったままのタオルがかけてある(写真下)。これらは私が動かしたのではなく、このとおりだったのです。 トイレには歯磨き粉のチューブのような物が浮いており、湯沸かしポットにはお茶が入ったままです(写真下)。つまり、掃除をしていない。でも、ベッドは使った様子がないし、お茶葉は二つあるし、歯ブラシなどの洗面用具もそろっています。客がシャワーだけ浴びて帰ったとは考えにくいから、我々の到着に合わせてベッドだけ直したのかもしれません。前の客は午前中にホテルを出ただろうから、丸一日放置されていたことになります。 部屋が掃除もしていない様子なので、私は部屋を変えてもらおうと烏里さんに交渉して、隣の部屋を開けてもらいました。だが、結果は同じで、そこも掃除がしていない。どうやら掃除された部屋がない。もう夜も遅く、疲れて中国人と戦う気力もないので、あきらめました。 洗面所は使いにくい。ここにもシャワーカーテンがないので、シャワーを浴びると、洗面台までお湯が飛びちります。不思議に思うのは、これが二人ならどうするのか、という点です。シャワー室に入る前に裸になるしかない。あるいはシャワー室には服を着たまま入って、そこで脱いだ服をビニール袋に入れるという手があるが、実は、このシャワー室では意味がありません。 写真下を見てください。ベッドルームから見たシャワー室です。下半分の曇りガラスもほとんど役にたたず、ほぼ丸見えです。つまり、シャワー室で服を脱ごうが、脱いでから行こうが同じ事です。もちろん、トイレなのだから、しゃがんでいる姿も丸見えです。 中国のホテルにはしばしばこの種の丸見えのバスルームがあるが、いったいどういう趣味なのだろう。 机の上に奇妙なレリーフが置いてあります(写真下)。値段がついているから、買ってくれということのようです。壊したら恐いので、片付けました。 この段階でのホテルの評価は2.5でした。部屋の掃除がされていないなど、最低限の事が行われていないのだから2.0にしたいのだが、設備は元々はそんなに悪くないことから0.5をおまけに加えました。 しかし、翌朝の事件で点数を結局2.0に下げました。つまり、ここは二度と泊まりたくないホテルという意味です。 トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 |