トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 アムネマチンと黄河源流の花 12日目 2013年7月13日(土) 若爾盖 →
武都 七時起床。外は曇っており、小雨で道路は濡れています。室温が17.6℃で肌寒い。この時期、日本では猛暑だったそうです。 昨日の夕飯と同じように、商店街のアーケードを通って(写真下左)、昨夜とは別なレストランで朝食です(写真下右)。
なかなか小ぎれいなレストランです(写真下)。昨夜はあんなに客がいたのに、朝食にはほとんど客がいません。我々が食べている間にぼちぼち来た客の数も多くありません。
四つ星ホテルらしく、食べ物の品数が多いので、辛くない食べ物を選ぶことができるのは助かる。
本来の予定では若爾盖(ゾルゲ)から南に下がり、黄龍などを訪れるつもりでした。ところが、これらの道が洪水で寸断されているというので、予定を変えて、北に迂回することにしました。若爾盖から北に上がり、白龍河を下り、舟曲などを通過して、今日は武都まで行きます。 予定どおりにホテルを出発し、昨日行った花湖の方向に213国道を北上します(9:04)。小雨です。
今でこそ若爾盖の湿原はのどかな風景が広がっていますが、昨日もお話した長征で、中国共産党軍がここを越えようとして沼地にはばまれ、多数の犠牲者を出したと言います。沼地だけでなく、地元のチベット族からの猛烈な攻撃があったようです。その戦いは八十年後の今でも影響して、この地域のチベット仏教のお坊さんが焼身自殺をするという悲惨な結果につながっています。
昨日と同じように、蜂蜜売りのさえないテントと(写真下左)、旅行者用のきれいなテントを見ながら(写真下右)、北上します。
昨日見たヒツジさんたちが今日も草を食べています。放牧は今日も全部道路の左側だけです。 ヒツジを集めて、毛を刈っているらしい。
足を縛られ、地面に座っているヒツジの隣には刈られたらしい毛が積まれています(写真下左,
10:06)。
花がたくさん咲いている草原で車を停めました(10:18-10:37)。
写真上 Genstiana depressa (Guide to the Flowers of Western China,
p.393)
名前のわからないシオガマギクが見事に咲いています。
写真上 Ligularia lankongensis (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.121)
写真上 Aconitum gymnandrum (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.117)
写真上 Delphinium sutchuenense (『世界の山草・野草ポケット事典』p.172)
写真上 Gentianopsis paludosa (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.92)
写真上 Cynoglossum amabile (Guide to the Flowers of Western China,
p.426)
写真下のシソの仲間は亜丁の山の斜面に生えていました。もっとも、図鑑を見ると、畑や道路脇に生えているというのだから、チベットではありふれた花のようです。
写真上 Elsholtzia densa (『ヒマヤラ植物大図鑑』p.206)
写真上 Pedicularis plicata Maxim. subsp. plicata (『ヒマラヤ植物大図鑑』p.163)
写真上 Pachypleurum xizangense (『ヒマラヤ植物大図鑑』p.344) 我々が花の写真を撮っているのをみた他の旅行客たちが車を停めました。これだけ広いのだから、同じ所に停めなくてもよさそうですが、道路と草原との間は有刺鉄線などが張られているので、入れる場所は限られているのです。そして、彼らのお得意のポーズをとって記念撮影です(写真下右)。中国人はみんなあれをやるが、何か由来があるんでしょうかねえ。
騒いでいる観光客を残して、我々はもうさらに北に走ります。 若爾盖湿原を後に 若爾盖湿原が終わる頃に料金所があります(10:44)。上の地図を見てもわかるように、料金所のあたりまでが平地で、大湿原です。ただし、平地といっても高度3500mもあります。
料金所から少し北にある日尔郎山トンネルが大湿原の終わりで、ここを通過すると、周囲に山が迫ってきます。集落は山と平野の間、つまり山の麓に作られています。水源の関係か、それともここも平地は湿地が多いからでしょうか。
紅星郷で右に曲がり、313省道を東に進みます(10:59、写真下)。ここから先、山道に入り、高度を少しずつ下げていきます。
山の中を走り始めると、さきほどの湿原とは咲いている花も違ってきました。まず目についたのがアザミです(11:04-11:11)。日本でも春に咲くノアザミのような見慣れたアザミです。
写真上 Cirsium falconeri (Guide to the Flowers of Western China,
p.493)
写真上 Adenophora capillaries (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.124) 写真上 Adenophora gracillis (Guide to the Flowers of Western China,
p.470) 烏里さんがピンク色のナデシコを崖の上に見つけて車を停めました(11:17-11:26)。風が強いこともあって花がうなだれており、終わりかけなのかと思いましたが、どれもこれもこういう姿であるところを見ると、これが最盛期の姿のようです。
写真上 Dianthus superbus (Guide to the Flowers of Western China,
p.153) 白いフウロソウが道端に咲いています。黄河九曲第一湾で見た薄紫のフウロソウとは色を除けばそっくりです。図鑑を見ると、「・・sometimes
paler and white」(Guide to the Flowers of Western China,
p.368)とありますから、白い花もあるようです。これはこれでなかなかきれいです。
写真上 Geranium pratense (Guide to the Flowers of Western China,
p.369)
写真下のシオガマギクの図鑑の写真では、真ん中の紫の嘴の部分の色が濃い。
写真上 Pedicularis monbeigiana (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.105) 数は多くないが、所々で崖崩れなどがあり、また川は水量がやや減り始めているものの、かなりの濁流となって流れ下っています(写真下)。このあたりも大雨が降ったようです。
ユリだ! オレンジ色のユリを見つけて車を停めました(11:37-11:55、2845m )。今回の旅行では初めて見る野生のユリです。高度が下がるのにつれて姿を見せました。中国では川百合と呼ばれています。
写真上下 Lilium davidii (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.101) このユリを見るのは旅行では初めてだが、私自身は初めてではありません。前にネットで購入して庭に植えていたことがあります。三千メートル近い高地に咲いている花ですから、平地は合わないらしく、数が減っていきました。日本のユリのイメージでいくとコオニユリに近いでしょうか。花は川百合のほうが小ぶりです。
この後、高度が千メートルくらいまで、道の崖の上などに咲いているのが見られました。群落はないが、道端に所々で見かけます。
何度も見慣れたトリカブトが咲いています(写真下左)。写真下中もトリカブトかとカメラを向けたのですが、良く見ると違います。花はシソの仲間のようです。崖の上でこれ以上寄れません。
集落を通りかかるたびに目にするのが、立派な仏塔と寺院です。
また昼食抜き 昼過ぎなので子供たちは下校するようです。
甘南蔵族自治州の迭部県(テウォ県)に到着(標高2300m)。この周辺では大きな街です。
迭部県は下の地図のように、白龍江に沿った繁華街が数キロほどの小さな街です。 河に沿った道は泥だらけで、これは舗装していないだけでなく、河が氾濫したからではないかと思われます。
女性たちが青い上着に赤い腰帯を巻き、黒いズボンをはくのがこのチベット族の特徴のようです。
路上で子供が喧嘩をしています。写真下の左端がそうで、男の子(写真下の左から三番目)が小さい女の子(写真下の左から二番目)を押さえつけたところに、赤い服を着た女の子(写真下の左端)がやってきて、小さい女の子のカバンから本のようなものを取り出し、持ち去りました。 小さい女の子が泣き出したので、私は見かねて「おいおい、イジメはよしなよ」と日本語で言いました。すると男の子が私に強く抗議しました。「僕が悪いんじゃない。こいつが悪いことをしたから、捕まえたのだ」とでも言っているような雰囲気でした。言葉も事情もわからないし、喧嘩はもう終わったようなので、それ以上は口出しするのはやめました。 昼食です(12:53~13:23)。見た目に騙されて一口食べたら辛い(写真下右)。またしても私は昼食抜きです。
街を出た所でガソリンを詰めました。洪水で道路が寸断されているので、ガソリンがあるだけでも朗報です。7.36元(125円)ですから、昨日の7.43元(129円)よりも安い。
道を間違えた 写真下は2008年に起きた四川大地震(5·12汶川地震)についての記念碑のようです。このあたりの村もかなり被害があったのでしょう。震源地の汶川からここまで直線で約300kmほどですから、かなり揺れたはずです。
道の両側には石を積んで作った家があり、これまではあまり見かけませんでした。
石を丁寧に積み上げて壁にしています。石の組み方だけで強度を持たせているようなので、地震で大丈夫なのかちょっと心配になります。
石積みの壁を見かけるようになってから私はちょっと気になることがありました。車の進行方向です。烏里さんの地図を見せてもらうと、車は東から南東方向に進んでいるはずです。しかし、磁針で見ると、先ほどから西北の方向に進んでいますから、逆です。
間違っていることに周さんも気がついたらしく、引き返しました。写真下の大規模な道路工事をしていた地点が分かれ道になっていて、そこで間違えて、210省道に入り込んだのです。間違えるのも当然で、工事現場は日本のそれとは違い、案内もなければ、これが本当に道路なのかと言いたくなるような道が迂回路だったりします。夜だったら、訳がわからないでしょう。
元の313省道に戻り、ホッと一息入れてトイレ休憩です(15:46-15:55)。私はさっそく道端の花の写真を撮ります。
ノコンギクは大半が白だが、一部に薄紫が混じっています。雑草としてほとんど見向きもされない花ですが、私はこの花を見るとホッとします。
鬼城?
対岸の集落の写真を撮るために烏里さんが車を停めました(16:52-16:58)。
風景はイマイチで私はどうでもよくなり、土手に生えている花を撮りました。
道路脇の急斜面の土手を登ると、ここに一本だけあったデルフィニウムは青がきれいです(写真下)。これまでのように紫が混ざっておらず、きれいな空色です。 舟曲(ドゥクチュ)県の十キロほど手前にある峰迭郷の川岸に、大規模な建物群が忽然と出現しました(17:05~)。
昼食を取った迭部県からほとんど大きな街はなく、あっても小さな集落の民家ばかりだったので、大都市に来たように錯覚します。建物はすべて新しく、道路も整備されています。
しかし、奇妙なことにこれだけの都市なのに人がほとんどいない。写真下左など、中に店舗が入っていない。高層のアパートらしい建物も外から見る限り、大半が空き室です。中国では「鬼城」と呼ばれ、大規模開発はしたが、人が住まない街やマンションなどがあちらこちらに出現しています。中国語の「鬼」とは幽霊くらいの意味で、鬼城とは幽霊街、つまりゴーストタウンのことです。
人のいない新しい街を通過し、車は白龍江に沿って、舟曲に行きます。
舟曲(甘肃省舟曲县、ドゥクチュ県)の城関鎮を通過しました(17:20、1300m)。ここは2010年にこの街のそばを流れている白龍江の土石流による大被害があり、死者と行方不明者が1800人近くにのぼっています。しかし、災害から3年経過していることもあり、車の窓から見た範囲では爪痕は何も残っていません。
周囲は山が迫っていますし、衛星写真を見ると、白龍江の他にも北から川が流れ込んでいるので、素人が見ても、大雨が降ったら洪水が起きそうです。 写真下の看板に出ている武都は我々が行く予定の陇南市武都区のことです。「市」「県」などの概念は日本とちょうど逆になっています。陇南市というと一つの街のように思ってしまいますが、これは日本の県に相当します。
家の作り 武都に入ってから目につくのが特徴ある建物の外壁です(写真下)。見てのとおりで、外壁の下を黒いレンガで、その上に白壁を塗り、ドアは茶色に染めるのがこの地方の伝統のようです。翌日も、通過した地域でこの様式が見られました。
写真下は7月3日に、成都から康定に行く途中の二郎山峠の手前あたりで撮った写真で、上と下は同じ様式なのがわかります。 下の地図はこれらの家を見た二カ所を赤丸で示したもので、直線で五百キロも離れています。これだけ離れた地域で似たような建物があるのはおもしろい。両者に共通しているのは、チベット高原に至る山岳地帯だという点です。 武都は料理に使うサンショウで有名で、実際、車で走っている時、サンショウの匂いが時々しました。ところが、写真下左の看板にはオリーブオイルの古里と書いてありますから、オリーブも売り物にしているようです。
今日の宿泊地である武都に到着し、ホテルを探します(18:49)。
錦龍賓館に到着(18:56)。車から降りてまず感じるのは暑い。ここは標高が千メートルほどですから、高原の涼しい街です。でも、これまでいた三千メートルの高地と比べたら、暑いのは当然です。
ホテルの脇道にある店で夕食です(19:28~)。店の前に盆栽が置いてあります。
店はテーブルが6つほどの普通の食堂です。
周さんと張さんが近くの店でスイカを買ってきて、それをご馳走になりました。暑いからおいしい。
いつものように酒を飲んでいる三人を残して、私は一人でホテルに戻ります。 写真下が今日の私の部屋です。部屋に入ってみて、まず困ったのが電気です。スイッチをいくら押しても、ベッドルームは壁の明かり以外はつかない。烏里さんも灯りがつかないので、従業員を呼んで付けてもらったと言っていましたから、何か相当な技がないと電気は付かないようです(笑)。
写真下を御覧ください。トイレの右上に固定式のシャワーがついていて、シャワーヘッドはほんのわずかしか角度を変えられません。左端に黒く見えているのは洗面台ですから、この状態でシャワーを浴びたら、トイレはもちろんのこと、洗面台の上まで水浸しになることは十分に予想できますし、実際にそのようになりました。 これでは便座の右側についているトイレットペーパーなども水浸しになってしまいます。しかし、その心配だけはいりませんでした。なぜなら、トイレットペーパーは最初からなかったからです。 都市の中心部にあり、外面は立派なホテルでありながら、ネットは最初からありません。灯りはつかない、トイレットペーパーはない、シャワーヘッドは固定でろくにお湯が出ない、シャワーカーテンもない、おまけに部屋の中にかなりの臭気がこもっている。これだけの悪条件がそろえば、私のホテルの評価は2.5、つまりとりあえず泊まれるが、続けては泊まりたくはありません。 トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 |