トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 アムネマチンと黄河源流の花 11日目 2013年7月12日(金) 阿坝 → 黄河九曲第一湾
→ 花湖 → 若爾盖 七時に起床。空はいつものように曇っています(写真下)。 八時から朝飯をホテルの近くの店でとりました。 店では饅頭を作っている最中です。 饅頭と汁物で朝食です。では出来立てのホカホカの饅頭をいただきましょう。壁にある張り紙は、「食べ物を無駄にしないで」とあります(写真下右)。 今日は、阿坝(アバ)を出発して、蛇行する黄河が見られる黄河九曲第一湾に行き、その後、若爾盖(ゾルゲ)を通過して、北にある花湖を訪れ、そのまま引き返して、若爾盖に一泊します。距離はけっこう長いが、中国にしては道は良い。 道の両側には、昨日と同じような黄土色の建物が並んでいます。 写真下の看板の「阿坝民居」とは写真上のような作りをいうのでしょう。「A
Ba residece」のresideceはresidenceのスペルミスです。中国はこういう公共の看板の記述ミスがとても多い。 我々は黄河九曲第一湾を目指し、209省道を真っ直ぐ行かず、途中から左に折れます(写真下)。 坊さんたちのテント村 道の脇に広がる平原に忽然とテント村が出現しました(10:12)。しかも、お坊さんたちです。このあたりで高度3500mほどです。 写真下は後で丘の上から見たテント村の様子で、軽く五十くらいのテントがありそうです。 お坊さんがこれだけ集まっているのですから、何か法要などが行われるのでしょう。大半は白いテントなのに、真ん中に黒い大きなテントがあります(写真下右)。ヤクの毛で作られたテントで、これが法要の会場なのでしょう。 あちらこちらで小中学生くらいの坊さんたちがコートを作って、バレーボールのような遊びをしています。 遊びたい年頃ですから、騒ぐなというほうが無理です。 大草原のど真ん中に坊さんが二人ポツンと座っています。日本ではまず不可能な光景です。内緒話をするのにはこういう所が一番でしょう。 お坊さんのテント村を後にして(10:36)、北東方向に車は進みます。 草原が広がっているところに唐突に新しい街が作られています。たぶんこれも遊牧民族の定住化の住宅でしょう。 毎日のようにお目にかかるのが草原の中にこれまた唐突に現れる寺院です(写真下)。こんな人の少ない所でどうやってあんな大きなお寺を建てて、維持できるのだろうと不思議になります。 一カ所目の花 道は北に向かって少し上りはじめ、3700mを超えたあたりで道端にデルフィニウムを見つけて車を停めてもらいました(11:25~)。日本でも店で見かける花だが、これが自然に生えているのは感激です。 写真上下 Delphinium sutchuenense (『世界の山草・野草ポケット事典』p.172) 写真上は紫だが、写真下はちょっとだけ青が濃い。 ツリガネソウです。姿は愛らしいが、花が小さく撮りにくい。同じ植物と思われるのに図鑑で名前が違っていますので、併記します。 写真上 Adenophora capillaries (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.124) 写真上 Adenophora gracillis (Guide to the Flowers of Western China,
p.470) ラベンダーのような花です。 青海省よりもいくぶん標高が低く3500~3600mくらいなので、少し植層が違います。 写真上 Aster souliei (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.88) チベットにはたくさんのシオガマギクがあります。写真下のシオガマギクは黄色で、1本の枝の周囲に花を咲かせ、しかも花からゾウの鼻みたいな突起物が出ていますから、これだけ特徴があれば簡単に判定できそうですが、わかりません。 同じようなシオガマギクでも、写真下は一本の茎から一個の花を咲かせています。こちらは良く見かける。 写真上 Pedicularis cranolopha (Guide to the Flowers of Western China,
p.453) 写真下のシオガマギクもツルが羽を広げたような特徴ある姿をしているのに名前はわかりません。 写真下の三つのウスユキソウはたぶん別々の種類です。 写真上中 Leontopodium dedekensii (Guide to the Flowers of Western China,
p.501) 写真上左 Bistorta viviparum (『ヒマヤラ植物大図鑑』p.660) 写真上右 Nardostachys jatamarisi (『ヒマラヤ植物大図鑑』p.128) チベットはサクラソウがたくさんあるはずなのに、今回の旅行ではあまり見かけませんでした。 写真上 Primula involucrata (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.84) 高度が下がり始めると、と言っても3500mほどありますが、山が遠のき、再び周囲は広大な草原が広がり始めました。いよいよ、若爾盖の湿原に入ってきました。 馬がたくさん放牧されています(写真下)。ヤクとヒツジの放牧ばかりで、馬の放牧は今回初めてみました。 写真下の看板には「若爾盖唐克河曲馬之郷」とあり、馬が疾走するレリーフが彫られています。たぶん「若爾盖の唐克は曲がりくねった河と馬の郷である」くらいの意味でしょう。平原が広がっているから馬を飼うのにちょうど良いのかもしれません。 唐克で昼食 黄河の支流の白河を渡り(写真下左)、小雨の降る唐克に入りました(12:24~)。 唐克の街の中心部は電柱もなく、小奇麗な印象です。高い建物がないのがおもしろい。規制があるのか、あるいは、土地が広いからわざわざ高くする必要がないのかもしれません。 街中の食堂「九曲魚庄」で昼食を取ります(写真下)。 九曲魚庄という店の名前があるくらいだから、黄河の魚料理が出てくるかと思ったら、ありません。もっとも、魚や肉料理はたいてい辛くて私は食べられないから、同じです。 食事を終えて外に出ると、雨も上がり、晴れ間が見えるようになりました(13:36)。 我々が食べた食堂の名前もそうだが、「魚庄」という名前のついた赤い看板の店がたくさんあります。魚庄は直訳すると魚の村というくらいの意味です。河で捕れる魚が売り物のようです。 黄河九曲第一湾 唐克から北8kmにある黄河九曲第一湾に行きます。この名前どおりに、黄河がくねくねと曲がっている様子が見られる観光地です。 街を出るとチベットらしい広々とした風景が広がっています。青空があるのでなおさら雄大に見える。「馬の郷」という看板どおりに馬が自由に走り回っています。 展望台までの入り口は工事中のようで、迂回します(写真下,
13:49)。 入口が工事中でもタダではありません。裏道を行くと、展望台への登り口に赤いパラソルをさした二人の男性がいて、これが展望台の料金所です。彼らは坊さんの格好をしています。お寺のサイドビジネス? 展望台といっても、ただの山の上で、小さな東屋のような建物がポツンとあるだけです(写真下右)。地元のチベット人らしい人たちと、中国人らしい観光客など、それなりに人がいます。 入場料を取るにしては、写真下のようにあまり眺めは良くない。ここから黄河が九つ曲がっているのが見えるはずだというのだが、皆さん、見えますか? 実は、写真下の手前の河は黄河ではなく白河という支流で、向こうに蛇行する河が黄河です。 こういう時は衛星写真が一番で、展望台の手前(右側)に流れているのは白河という黄河の支流で、先ほど食事した唐克から流れて来た河です。衛星写真だとはっきりと色が違うのがわかります。西から蛇行しながら流れて来た黄河に、ここで白河が合流して、さらに黄河は北西に向かって流れていきます。 「九曲なんて言うけど、九つもないじゃないか」とおっしゃるでしょう。たしかに展望台からはいくら数えても九つはありません。しかし、地図で見ると、いっぱい曲がっているのがわかります。このあたりの黄河は地図で見ると、まっすぐに流れるなんてほとんどない。だから、九十曲でもかまわないのではないか(笑)。 我々は車で展望台の上まで来ましたが、普通は眼下にある集落から馬などを使って登ってくるようです。鞍を付けた馬が暇そうにしているのも、また地元のチベット人たちがいるのも、そのためのようです。今回の旅行では馬に乗れなかったので、ちょっと残念です。 黄河よりも花 黄河がどのくらい曲がっているかはあまり興味がないのでほどほどにして、斜面に生えている花の写真を撮ります。日差しもあり、撮影には良い条件です。 写真上 Acanthocalyx chinensis (Guide to the Flowers of Western China,
p.490) 写真上 Dianthus superbus (Guide to the Flowers of Western China,
p.153) 写真下のジンチョウゲの仲間のカマエヤスメは遠くからは白と赤の花のように見えますが、良く見ると、花の根元が赤く、花そのものは白なのがわかります。他にも黄色い花もありますが、ここは白だけです。 写真上 Stellera chamaejasme (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.125) 午前中に見たツリガネソウがここにもあります。日本のそれよりも少し花が大きい。 写真上 Adenophora capillaries (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.124) 写真上 Adenophora gracillis (Guide to the Flowers of Western China,
p.470) 写真上 Anemone demissa (『世界のワイルドフラワー Ⅱ』p.90) 写真上 Geranium pratense (Guide to the Flowers of Western China,
p.369) 青海省のオカトラノオは丸いのがあったのに、ここのはほぼすべてひょろ長く、また色も白だけです。 写真上 Bistorta viviparum (『ヒマヤラ植物大図鑑』p.660) 黄色い小さな花たくさん花が咲いています。だいたいこういう花は名前がわかりません。 こちらも小さい黄色い花で、同様に名前がわかりません。 写真上 Oxytropis kansuensis (『ヒマラヤ植物大図鑑』p.419) 写真上 Astragalus strictus (『ヒマラヤ植物大図鑑』p.410) アヤメをかろうじて一株見つけました(写真下)。もう終わりかけているらしい。下記の名前のアヤメの棲息地域は植物図鑑によれば高度2500mくらいまでとあり、ここは3500mmを越えていますから、違うかもしれません。ただ、細い花弁と細い葉はそっくりです。 写真上 Iris songarica (Guide to the Flowers of Western China,
p.539) タツナミソウを大きくしたような花です。黄河を見下ろせる斜面にたくさん咲いています。 写真上下 Scutellaria hypericifolia (Guide to the Flowers of Western China,
p.445) 今回の旅行で初めてお目にかかるノコンギクです(写真下)。と言っても珍しい花ではありません。四千メートルを超えるとノコンギクは見当たらず、アズマギクが大半になります。 写真上 Pachypleurum xizangense (『ヒマラヤ植物大図鑑』p.344) 写真上 Dracocephalum heterophyllum (『ヒマラヤ植物大図鑑』p.192) 花湖まで百キロ 花の写真も撮り終えて、次は花湖に向かいます。 下の写真は、昼食をした食堂に貼ってあった観光案内図です。食事をした唐克は左下にあり、その少し上に、今いる黄河九曲第一湾があります。この後、右上にある花湖に行くのだから、本当はこのまま北上したほうが、合計が71kmで近道です。ところが、さきほどの料金所でねそべっていた人に聞くと、昼食を取った唐克に戻り、若爾盖を経由して行ったほうが確実だとのことでしたので、来た道を戻ることにしました(14:31)。 道路の東側の斜面に遊牧民の定住促進用の家が並んでいます。 定住住宅の前にテントが張られ「遊牧之家」とあります。観光客目当ての宿泊所です。 写真下は二階建ての立派な家ばかりで、大規模な宅地開発をして売り出し中のように見えます。 ところが、この団地の門には「民族団結新村」とありますから(写真下左)、これも遊牧民の定着用の住宅のようです。 唐克に戻り、そこからまず六十キロほど東にある若爾盖(ゾルゲ)に向かいます。 若爾盖(ゾルゲ)の大湿原 この当たり数百キロの範囲は若爾盖湿原と言われ、広大な湿原が広がっています。この地域は雨がたいへん多い上に高低差が少ないので、大規模な湿原ができて、いたるところぬかるみだといわれています。 言われています、というのは、車で走り、道端で花の写真を撮っている分にはここがそれほどの湿原には見えないからです。たしかに所々に川が流れ、沼など見えるが、それほど恐ろしい所には見えません。だが、1985年のNHKの取材班でさえも、湿原の中を進もうとして馬がある場所では前に進もうとせず断念したとあります(『大黄河1 遥かなる河源に立つ』p.260)。 歴史的には悲惨な記録が残っています。中国共産党が国民党の戦いで長征と呼ばれる行軍をした時、この若爾盖湿原で多くの死者を出したというのです。NHKの取材班はこの長征に参加し、この地に残った人の証言を紹介しています。 過去の人間の悲惨な歴史はどうあれ、目の前には広々とした緑豊かな湿原がどこまでも広がっています。 若爾盖に近づくにつれて、先ほどまでの青空は消えて、雲が広がって来ました。 写真下の看板を見てください。草原国家公園、湿地国家公園と中国語の表記も違うだけでなく、表記の英文名も違います。さらにまたしてもスペルが間違っている。WatlandではなくWetlandでしょう。たったこれだけの文字なのだから、看板に描く時くらい辞書を引けばいいのに、という日本人的な考えはこの国では通用しない。 ヒツジかヤギか 若爾盖のガソリンスタンドで給油です(15:47~)。7.43元(129円)と7月5日の馬尼干戈の7.59元に次ぐ高値です。でも、昼食を取った唐克の近くのガソリンスタンドではガソリンそのものがないと断られたので、あっただけでもホッとしました。 烏里さんによれば、四川省で大雨が降り、洪水によって道が寸断され、ガソリンの供給にも問題があるというのです。こんなところでガソリンがなくなって帰国が遅れたら、大変です。中国はビザ無しが15日までですから、それをすぎたら、不法滞在になってしまいます。 道の両側は広々とした草原が広がっています。写真下は観光客目当ての宿泊用のテントです。 宿泊だけでなく、乗馬など遊牧民の体験を売り物にしているようです(写真下)。 道路脇でもう一つ目立つのが、蜂蜜売りです。 道路の両側の牧場は花がたくさん咲いていますから、蜂蜜がたくさん採れるのでしょう。私はクマのプーさんと知り合いなので、蜂蜜が好きです。こんな所でわざわざ混ぜ物は売っていないだろうから、一瓶買いたいが、日本に持って帰るのは難しいので、ツバを飲み込んで、あきらめます。 道路の左側(西側)の平原にのみヤクやヒツジがいます。右側にいないのは何か規則があるのでしょう。 ここで目につくのは圧倒的にヒツジです。 近くによって見るとヒツジというよりもヤギのような顔をしています。私の実家ではヤギもヒツジもいたことがあるので、ヒツジの顔も覚えています。たしか顔の周囲に毛が生えていた。でも、ここのヒツジはヤギのように首から上は長い毛がありません。それで「ヤギ顔」に見えるようです。 写真上右のヒツジなどは毛が刈り取られた後らしく、外見はまるっきりヤギです。 色のついているのは、もちろんこういう図柄のヒツジではなく、所有者が他と区別するために付けたマークで、焼印よりは良い。写真下は赤と青です。 写真下は青の縦縞ヒツジ。 写真下は赤組です。良く見ると、毛を刈り取る時に色をつけるらしく、刈り取られたヒツジのほうが色が新しい。 でも、やはりヒツジは白いほうが良い。ヒツジとヤギは外見が似ているが、交配はしないそうです。 車から降りて近づくと、それまで座っていたヒツジも立ち上がり、移動します。でも、立ち止まって、こちらを見ている。近づくとまた移動する。 花のない花湖 どこまでも続くヒツジの群れを見ながら、花湖に到着(16:47)。 213国道に面して花湖の料金所があります(写真下左)。 駐車場もそなえ、観光客が大量におしかけても大丈夫なように作られています。写真下右の料金所で入場料を払います。 もらったチケットの写真では、湖のそばに一面に黄色い花が咲いています。天気はイマイチだが、湖と花の組み合わせの構図を、私はあれこれ頭の中で期待と一緒に膨らませていました。 下の地図にあるように、入口の「游客中心」でバスに乗り、「服務区」でバスを降りて、後は点線で示された遊歩道を歩きます。 看板にはエコロジカル・ツーリングとあるのに(写真上右)、服務区までのバスは意外にも電気自動車ではありません(写真下)。 ほぼ満員のバスに乗り、湿原に作られた車道を南に4キロほど走ります。窓ガラスが曇っているせいか、天気が悪いせいか、周囲の湿原には花らしい姿は見えません・・・私は一抹の不安を感じて来ました。バスを降りて、遊歩道に沿って、湖のほうに歩き始めても、周囲は湿原が広がっているだけです。 写真下左の看板には「たくさんのかわいい草花を踏まないように」と書いてあるように読めるが、草はたしかにたくさんあるが、踏むほどの花はいったいどこにあるのか。 花がまったくないわけではなく、写真下のように水生植物が花を咲かせていますし、イネ科の植物も花を咲かせていますから、その意味ではここには花があることはある。だが、こんな程度です。 今が花の時期だろうに、入場券にある写真の風景はどこにあるのだ?花湖という名前とはまったく逆に、花のない湖に私はショックすらも受けていました。「花のない花湖」、これが私の率直な感想です。 午前中、烏里さんが「花が見たいというあなたのために、花湖に行くから急いでいる」と言ったので、私はたくさんの花が咲き乱れている光景を期待していたのです。 中国人の観光客はポーズを取って記念撮影をしています・・・元気だなあ。 中国人の観光客と違い、花が目的の私にはここはまったくおもしろくないし、曇っていて風景の写真としても絵にならず、いるだけ時間の無駄です。湖には黄色い花が咲いているようだが、近くまで行けません。 遊歩道を歩き回ってもやはり花はありません。烏里さんが先に進んでいきましたが、私はもう身体から力と興味が流れ出してしまったので、途中からバスの発着所(服務区)に戻りました(17:50)。 若爾盖(ゾルゲ)の牧場ホテル 花湖から来た道を引き返しました。若爾盖市内に到着し(18:57)、ホテルを探します。 若爾盖市内も金色の馬が飛び跳ね(写真下左)、馬に乗ったケサル大王らしいレリーフが壁面を飾っています(写真下右)。 街の中心部を回った後、目的のホテルが中心部から離れた花湖への分岐点の近くであることがわかり、ようやく19:19に大藏圣地大酒店(Dazang
Holy Land Hotel)に到着。 ここは普通のホテルと違い、広い敷地の中に建物が点在し、西部旅游牧场という名前でレジャーランドの施設のようです。 下の衛星写真を見てのとおり、かなり広い敷地です。 カウンターにあるパンフレットには中国、英語、日本語で書いてありますから、日本人も客として考えているようです。 ホテルの敷地には様々な花が咲いていて、先ほどの花湖よりもはるかに花が多い。たぶん、これらは自然の花です。花湖なんかに行くよりも、ここで撮っていたほうが正解です。 ホテルの建物は敷地内にいくつも分散しています。その一つが我々の今日の宿泊所です(写真下)。 夕飯は、ホテルの敷地内にあるレストランです。宿泊している建物からいったん出て、写真下の商店街のアーケードを通り抜けます。 この商店街を私の泊まった部屋から見たのが写真下です。地味な外観からはこのような商店街があるなど想像もつきません。たぶん治安上からもこのような構造にしたのでしょう。商店街の門を閉めてしまえば、窓がないから外部から侵入することはほぼできません。ただし、火災など災害時は怖いような気がします。 商店街の土産物屋はどれも値段が高そう(写真下)。入口にきれいなお姉さんが立っていて、シャイな私は誘われるとかえって入りにくい(笑)。入口に誰もいない店に入ってみると、やはり値段は相当なものです。私の財布は「もう帰ろうよ」と言っています。 店員が話しかけてきましたが、もちろん私は言葉がわからない。彼は私の外見を見た後、話しかけるのをやめました。貧乏な日本人に売ろうとしても無駄です。彼は人の足元を見る目がある。 レストランは商店街の一番奥にあります(写真下)。つまり、食事に来た客は嫌でも商店街を通過する仕組みになっています。 入口から入ってすぐの広間は混んでいるが(写真上右)、奥の部屋が空いていて、ほとんど客がいません。天井は外からの明かりをそのまま取り入れているので、まだ明るい(写真下)。 辛くない物も何品かあるので私は選んで食べました。ホテルの高級レストランでありながら、使っている容器は欠けている(写真下右)。丼を食うわけではないからかまわないというのでしょう。日本ではありえない話です。 ホテルの従業員の若者たちは平服のままなので、烏里さんに聞いてみると、腰に巻いたスカートが制服だそうです(写真下)。普段着にスカートを巻けば、従業員に早変わりです。明らかに従業員なのに巻いていない人いますから、そうとうにアバウトです。 まだ飲み足りない三人を残して、私は先ほどの商店街をのぞきながら、自分の部屋に戻りました。 これで四つ星ホテル?! 写真下が私の部屋です。見た目は良さそうですが、いろいろと問題があります。たとえば、窓のカーテンは、カーテン用のランナーがついていないので、引っ張っても開かない。 部屋の外の廊下では先ほどから警告音(ピー音)が鳴り止みません。火災警報かと急いで外に出るが、どうもそうではないらしい。服務員が気がつくだろうと放置していたが、二十分近くたっても誰も来ないので、階下の服務員を呼びに行きました。他の部屋のドアが開けたままになっていて、その警告音だったのです。 シャワー室はガラスで仕切られているので、水浸しになる心配はありません(写真下左中)。洗面用具はこのホテルのロゴの入った箱に入っていいます(写真下右)。しかし、チェックをしていいないのか、古いのをそのまま置いているのか、いくつも重複しています。洗面台は、御覧のように置く場所が狭く、不便です。 写真下左のテッシュボックスは便利です。私も旅行にはテッシュボックスを一つ持ち歩きますが、この程度の大きさがちょうど良い。 写真下右の窓のそばにある椅子は、ごらんのように、後ろにベッドがあるために引き出せず、しかも椅子の手すりがあるので、座れません。邪魔なので机の奥に入れようにも、手すりが邪魔になって入らない。椅子を動かすことができないのでテーブルをパソコンなどの作業台にすることもできない。椅子もテーブルも無用の長物です。逆に言うなら、この机のあたりは掃除機をかけたことがないということになります。 写真下左は洗面所内の壁から突き出た配線です。水が飛び跳ねる洗面所の床近くに、切断された電線がむき出しになっているのは大変危険です。写真下右は入口のスイッチで、ここも配線がむき出しです。 ネットで見ると、このホテルの料金は一泊6003~8665円(498元)とされていますから、中国では安ホテルではありません。またネット上の五段階評価では平均3.6または3.3という比較的高い評価を受けています。 しかし、私の評価は2.5、つまり値段に見合わず、次回は泊まりたくないホテルです。 ここはトイレットペーパーがない、フェイスタオルがないなど基本的な品物がありませんから、部屋として落第です。他の安いホテルにもたいてい付いている湯沸かし器もありません。部屋はそれほど狭くはないのに、椅子が動かせないなど、使いにくい。電線が露出しているなど安全上も問題がある。 ネット接続できないのはホテルの問題ではないから、加味していません。大きなマイナス点は、音楽会をしているらしく、大きな騒音が九時近くまで続いたことです。建物が別なのにあれだけ音がするのは、建物自体が安普請だからです。 ネットでは四つ星ホテルとあるが、いくらなんでもそれは冗談でしょう。中国の赤い四つ星は世界標準とは違うらしい。 トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 |