トルコ北西部の早春の花 2日目 2019年3月30日(土) → イスタンブール → イズミル → サリフリ イスタンブール到着 6時少し前に目を覚まし、7時近くに機内の灯りが付きました(写真下)。昨夜は最後に時計を見たのが二時半頃で、いつものように寝苦しく、何度も目を覚ましました。 モニターを見ると、飛行機はロシアを横断して、間もなく黒海に入ろうとしています(写真上右、写真下)。 朝食が出ました(7:03、写真下右)。トルコ航空の機内食はうまいという書き込みがあったが、特にそのような印象でもなく、普通です。 食事をしている間に、飛行機は黒海を縦断して、トルコに入ってきました(写真下)。 窓の外にイスタンブールの灯りが見えてきました(写真下)。 無事、イスタンブール・アタテュルク空港(Istanbul Atatürk
Airport)に着陸(トルコ時間2:47、日本時間8:47)。ここで時計を6時間戻し、今は夜中の三時少し前です。外は7℃だという。この時期の夜中としては日本に比べてそれほど低いというほどではありません。 人影も少なく、空港の通路は寒い(写真下)。まだ夜中のせいか、空港には警備員の数が少ないのは移転の予定だからだろうか。移転ならば、なおさらテロへの警戒は厳重しなければならないような気もします。 ここアタチュクル空港は間もなくイスタンブール空港に移転することがトルコ航空のホームページでお知らせがありました(下)。2018年10月にイスタンブール空港の開港式をしたものの、本格運用が12月に延期なり、さらに2019年3月に延期の後、三度目の延期をして、4月6日の開港となりました。そのせいで私たちの帰国は一日延期になりました。 (https://www.turkishairlines.com/ja-jp/) 地中海の街イズミルへ ここで飛行機を乗り換えて、イスタンブールから地中海に面したイズミルに向かいます。 税関のエックス線のチェックの時、パソコンを開けろと言われました。普通の空港検査では、パソコンは荷物から出していれば通過なのに、開けて見せろ、というのです。初めてです。係員はじっとパソコンを見た後、OKのサインを出したので通過です。他のお客さんはタブレットを起動するように言われたそうです。パソコンが本物かどうか確認するためなのでしょう。 飛行機はトルコ航空2310便(TK2310)で、イスタンブールを6:45に出発して、1時間20分後の8:05にイズミルに到着の予定です。早朝の便なので、仕事で行く人たちか、それなりに混んでいます(写真下右)。 機体はエアバスA330-300で、私の座席は進行方向右の窓側37Kで、後ろから二番目です(写真上右、下図)。これは昨日、自宅からネットでチェックインする時、成田からの便と同時に確定したもので、一週間前には座席の予約そのものができませんでした。 ほぼ予定どおりの時刻に、太陽が昇ったばかりのイスタンブールのアタチュクル空港を離陸しました(7:03、写真下)。 緊急時などのおしらせは、先ほどの飛行機と同じアニメで、ワンダーウーマンやバットマンなどのキャラクターを使った騒々しい内容です(写真下)。内容がわかっているからいいものの、知らずに見たら、私の英語力では、客を楽しませるためのアニメかと勘違いするかもしれません(笑)。 チーズサンドイッチの朝食が出ました(7:15、写真下)。軽食だが、それなりのボリュームがあります。四時間ほど前に食事を取ったので、あまりお腹は空いていませんが、せっかくですから、いただきましょう。 私がサンドイッチを食べ終える前に飛行機は下降を始めました。あわただしいが、乗っている時間が短いのは、長距離飛行をした後なのでうれしい。 イズミル到着 眼下に湾と街が見えてきました(写真下左)。右のgoogleの衛星写真と比較すると、イズミルの街です。 イズミル(Izmir)のアドナン・メンデレス空港(Adnan Menderes Airport)に着陸(7:48)。 地方空港にしてはかなり施設が大きく、まだ新しいようです。国際便で届いた私たちの荷物は別の所から出てくるらしく、かなりの距離を歩かされました(写真下)。 ここで植物ガイドのガードナー(Gardner)さん、助手のケレム(Kerem)さん、運転手のジャビット(Cavit)さんたちと合流しました。ガードナーさんはイギリス人でトルコの花が好きで、今ではトルコ人の奥さんと結婚してトルコに移住しています。 ケレムさんはガードナーさんの奥さんと大学で同級生だった人で、山岳ガイドをしています。花の事も詳しく知りたいとガードナーさんについて学んでいるようです。ケレムさんは囲碁を習いに日本に5回滞在したことがあるので日本語が話せます。 バスはフォルクスワーゲン社の車で、運転手を含めて15人ほど乗れます(写真下)。 現地通貨の両替は植物ガイドのガードナーさんにお願いして50ユーロを300トルコリラに交換してもらいました。私の購入したユーロから計算すると、「1トルコリラ=21.4円」でした。これはネットでの相場の19.7円よりもいくぶん高いが、成田空港よりもはるかに安い。成田空港はなんと29.81円でした(写真下左)。1.5倍です。いくらマイナーな通過でも50%の手数料は暴利です。トルコまで直行便があるのに、写真下右の業者は取り扱ってさえもいません。毎回、思うのは、成田空港の換金率はとにかく悪い。 これからイズミルを出発して、あちらこちらで花を観察しながら、宿泊予定地のサリフリまで行きます。 トイレ休憩で、ガソリンスタンドに立ち寄りました(写真下, 09:53)。海外では良くあることで、店が併設されていて、トイレも使えるようになっています。ガソリンを詰めず、トイレだけ使わせてもらうこともできます。とても便利なのに、日本では一般的ではありません。ガソリンの販売だけでは経営が難しいから、コンビニとの併用は誰でも考えそうなのに、面積など何か問題があるのでしょうか。 店の前の空き地には春の花が咲いています。写真下左のエロデウムはコイルをバネにして種を弾丸のように発射して広がります。 写真上左 Erodium cicutarium 写真上右 Crepis sancta アネモネの丘 山道に入り、少しずつ高度を上げています。周囲には時々集落などもあり、周囲の山にもオリーブなどが植えられた畑が見られます(写真下)。 トルコで最初の野生の花の観察です(10:43)。 斜面に色とりどりのアネモネが咲いています。 写真上下:Anemone coronaria 地中海に面した国では良く見られる花です。私が前に見たのはイスラエルで、公園だったので完全な自然ではないものの、大群落に驚かされました。 自然の草花で同じ場所にこれだけ色の違う花が咲いているというのも驚きです。 花は昆虫に来てもらうために派手な色に発展したのだろうが、結果的に人間の保護が加わることになりました。人間が耕作してしまうのはマイナスでもあり、同時に周囲の背の高い樹木などなくするから、プラスの面もあります。 写真下の二輪は「今日はほんとうにいい天気だ」「そうだね」と会話をしている・・・私の妄想です(笑)。 野山の春の花 向こうで、ランがある、と呼んでいます(写真下)。このランは花の真ん中にHという文字が書いてあるのが特徴で、欧州に広く分布するOphrys sphegodesの数多くある亜種の一つです。欧州の東側のトルコやバルカン半島などに分布します。 写真上下:Ophrys sphegodes mammosa カモミールのような花が咲いています(写真下)。イタリアから東側の地中海に面した国、トルコや中東に分布して、春にかけて咲きます。 写真上下:Anthemis chia 誰が見てもわかるタンポポで、数も少なくない(写真下)。 写真上 Taraxacum hellenicum 薄紫色のエンゴサクで、日本のそれと似ています(写真下)。 写真上下 Corydalis wendelboi ここのスミレは日本のスミレと大きさや雰囲気もそのままです(写真下)。 写真上 Viola alba 写真下のスミレもちょっと色が違うだけで同じ種類でしょう。 写真下はキバナノアマナです。この写真ではちょっとわかりにくいが、大きさも雰囲気も日本のキバナノアマナそのまんまです。今回の旅行中、あちらこちらで見かけました。 写真上 Gagea granatellii 日本でも野生で見られるような花と、写真下のシラーのように見られない花もあります。 写真上 Scilla bifolia 写真下は日本のキジムシロの仲間だが、花の雰囲気は色も形も日本のそれとはだいぶん違う。 写真上 Potentilla micrantha 写真下はオオイヌフグリの仲間で白花です。他のお客さんによれば、日本と同じような青い花もあったそうです。 写真上 Veronica syriaca 写真下は花は小さいが強烈な紫色で雑草の中にはえていても目立ちます。 写真上 Anchusa undulata 日本の野山と決定的に違うのが写真下のクロッカスで、ここは標高が200~300mほどの低山なので数が少なく、終わりかけていましたが、後日、もっと高地で群落を観ました。 写真上 Crocus chrysanthus 写真下もクロッカスかと思ったら、ロムレアですから、ちょっと違います。 写真上右 Romulea tempskyana トルコ山桜? 山の斜面に白い花が咲いているのが見えます(写真下)。日本で言えば、ヤマザクラの雰囲気で、実際、バラ科の樹木でしょう。 写真上 Prunus spinose 写真上が梅のように枝に花がついているのに、写真下はサクラように花に茎がありますから、別種らしい。また、すでに葉が開いている点も違います。 崖に紫の花が咲いています(写真下)。菜の花の仲間で、園芸用にもライラックブッシュなどの名前で販売されているようです。この花を見た時、真っ先に連想したのがハナダイコンです。背丈が違うが、花の色と形が良く似ている。 写真上下 Aubrita deltoidea 岩場のわずかな土に生えることで他の植物との競争を避け、陽ざしを独占できる。岩場に生えてくれるので絵になります。 近くにはムスカリなどが咲いています。 写真上右 Muscari neglectum 写真下は、日本にも園芸用に輸入された後、野生化しているヒメリュウキンカです。もちろん、ここのは野生です。 写真上 Ranunculus ficaria アブラナなど白い花がいくつかあります(写真下)。この種の花の分類にはいつも悩まされ、たいていあきらめる(笑)。 写真上下 Calepina irregularis 写真下はTordyliumの仲間と思われるが、わかりません。 写真下も、特徴ある葉をしているのに、名前がわかりません。 日本にもあるホトケノザで、日本のよりも少し大きく、存在感があります(写真下)。後日も良く見かけました。 写真上 Lamium garganicum 水飲み場で昼食 道端の水飲み場の近くで昼食です(12:57、写真下左)。今回の旅行中、こういう水飲み場を道路のあちこちで見かけました。写真下右は別な所の水飲み場です。どちらも蛇口から水が流れたままになっていますから、自然の水を利用したのでしょう。 晴れている山の中で、皆んなで食事をするのは、ピクニック気分でなかなか楽しい(写真下)。 食事をしている水飲み場の後ろの山には古木がたくさんあります。写真下だとその迫力が伝わりにくいが、単に大きいというだけでなく、風雪に耐えて来た雰囲気があります。木材として役立ちませんから、おそらく地元の人たちも大事にしているのでしょう。 少しですが、花も咲いています。写真下の花はハンニチバナのように花弁にシワが付いています。 土手の斜面に小さな桜色の花が咲いています(写真下)。 同じ土手の斜面に少し紫の入ったマメの仲間が咲いています(写真下)。この種のマメの仲間も判別が難しい。 写真下は先ほどのスミレと違い、こちらは紫と白の二色で、いわゆるサンシキスミレです。 写真上 Viola tricolor トカゲ君です(写真下)。中東を中心に広く分布しています。英語名は「蛇の目トカゲ(snake-eyed lizard)」という変な名前ですが、学名はエレガンスとありますから、こちらは素敵な名前をもらいました。 写真上 Ophisops
elegans 山村で休憩 ボズダフという街でトイレ休憩です(写真下)。周囲を雪山に囲まれた標高1100mにある人口1000人ほど小さな街です。 果物や野菜の産地で、冬はスキー場に、夏はリゾート地になっています。 スキーのシーズンも終わり、避暑にはまだ早いせいか、街は静かというか、ほとんど人も見かけません。いかにもトルコの山村という雰囲気で、散歩するのにはちょうど良い。 街外れに植林用の樹木が栽培されていて、ガードナーさんはその土手に花を見つけました(写真下)。 写真下の花がこれだけまとまって咲いているのは珍しいという。花弁の形がかなり特徴的です。 写真上下 Hypecoum pseudograndiflorum 私には道端の雑草に見えたが(笑)、ガードナーさんも熱心に撮影していますから、群落しているのは珍しいらしい。トルコ、バルカン半島、ブルガリア、黒海や地中海などの沿岸にも分布しています。 陽当たりの良い土手ですから、当然、いろいろな花が咲いています。 写真上 Myosotis incrassate 近くを通りかかった若者たちが話しかけて来て、雪山を背景に一同で記念撮影をしました(写真下)。 雪山の黄金クロッカス その雪山にクロッカスを探しに行きます。 ガードナーさんはこのあたりに黄色いクロッカスがあるというが、山は残雪まである岩だらけの斜面で、花などありそうもない(写真下)。ここは標高が1600mを越えて、空気も薄いから、探し出すまで待っていたほうが楽です(笑)。 しかし、さすがはプロ、雪山に咲くクロッカスを見つけました(写真下)。 写真上下 Crocus chrysanthus このクロッカスは「雪のクロッカス(snow crocus)」「黄金のクロッカス(golden crocus)」とも言われています。見てのとおりで、雪の中に生えて、オレンジが混ざったような濃い黄色です。 細い葉に銀色の縦スジが入っているというが、私の写真では良くわかりません。 トルコとバルカン半島が原産だというから、このあたりが産地です。 残雪に咲くシラーです(写真下)。 写真上 Scilla bifolia 雪山を降りて、今日の宿泊地のサリフリに向かいます。車中からはのどかな風景が見られる(写真下)。 道路脇の斜面に大柄なトウダイグサの仲間が花を咲かせています(写真下)。トルコなど地中海周辺が原産で、この植物から燃料用の油を採る試みが行われているという。ただの雑草かと思ったのに、急に立派な植物に見えました(笑)。 写真上 Euphorbia rigida レリーフのあるホテル サリフリ(Salihli)のホテルHotel Lidya
Sardesに到着しました(17:18)。ホテルはサリフリから数キロ西の郊外にあります。ネットではLidya Sardes
Hotel Thermal & SPAという名前でも出ているように、温泉プールやトルコ式バスなどの設備があります。この日の宿泊金額を旅行サイトで一週間前に検索すると4,450~6,330円で、評価は5.0満点中3.75でした。日本もこのクラスのホテルがこの値段なら、もっと旅行しやすいのに、日本のホテルは設備のわりにはとにかく高い。 玄関前の人工芝のような赤い敷物の上にイヌ君が寝ています(写真下左)。翌日の朝、また犬が座り込んでいました(写真下右)。この犬はここが好きなのかと思ったら、他のお客さんから別な犬だと教えられました。たしかに毛の長さが違う。玄関前ですから、人間だけでなく車も頻繁に通るのに、よほどこのカーペットの上が好きらしい。 ホテルの外見は普通ですが、装飾が独特で、設計した人はかなり装飾に凝ったらしい。しかも装飾はいずれもイスラム風ではなく、ギリシャ風です。 写真下は玄関の両側に飾られたギリシャ風の姿をした女性のレリーフで、中に入ると、これもギリシャの王様のような男性の横顔のレリーフがあります(写真上右)。 写真下はロビーのカウンターで、キューピットらしいレリーフが貼りつけてあり、見やすいように照明されています。 写真下はロビーを上から見下ろした所で、右側に曲線を描いているのが写真上の受付のカウンターです。 写真上を下から見上げたのが写真下です。天井には金髪の女性の天使が描かれ、その下には二段にわたり彫刻が飾られ、さらにその下に赤毛の女神の絵が三枚飾られています。 廊下にも様々な絵やレリーフが飾られています(写真下)。トルコは今はイスラム文化圏ですが、元々はローマの一部でしたから、ギリシャ風の図像は伝統です。日本人には写真上の女神の絵の派手さに違和感があります。だが、ギリシャの彫刻や神殿が白いのはイギリス人が勝手にそのようにしただけで、元々は彩色されていたから、この絵のほうが元の姿に近いはずです。 一階(グランドフロア)の左奥にある広々としたレストランで7時から夕食です(写真下)。ワインはグラスで18リラで、約360円ほどですから、安い。 写真下左の食後のデザートがたくさんあって楽しみだったのに、甘いお菓子にさらにシロップをかけるなど激甘で、甘党の私の口でも無理でした。 写真下が私の部屋で、特に問題はありません。 部屋を探す時、私は2219号室だったので、2218号室を見つけて隣に行くと2220号室です。周囲を見渡しても2219号室がない。どうなっているのだ??建物の真ん中をはさんで奇数と偶数で部屋が分かれていました。私はスーツケースを引いたまま偶数側を一周して真ん中に戻り、奇数側で自分の部屋を見つけました。疲れている時にこういう奇妙な配置だと、腹が立つ(笑)。 浴槽もあるので、ゆっくりとお湯につかるつもりで湯船の中で目をつぶると眠ってしまい、すぐに出ました。湯船で寝てしまうのはかなり危険です。 このホテルの個人評価は、玄関前の赤い敷物に犬が寝そべっていたことと、少々違和感のあるレリーフや絵に加点して、五段階評価の4.0とします。 ここはサリフリの市街地からは2kmほど離れているので、部屋からの眺めは写真下のように自然豊かです。写真の右側に小さな街があり、日本にいた時、私は散歩するつもりでストリート・ビューで何度か歩き回り、店も見つけていましたが、翌日の出発も早かったので、あきらめました。 ホールからの音が筒抜けで、下で子供たちが騒いでいるのがうるさい。しかし、疲れ切っていたので、すぐに眠ってしまいました。長い一日だった。 |