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2日目 201264()

成都 麗江 香格里拉

 

早朝、五時にロビー集合して、空港に向かいました(5:04)。ホテル前はさすがに車もほとんど通りません(写真下)

 

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 三十分ほどで成都双流国際空港に到着(5:28)。街中と違い、こちらはすでに大勢の客が並んでいます(写真下)

 

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 写真下左は空港内にあったちょっとおもしろい広告です。

 

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我々の乗る中国国際空港のCA4451便はエアバスA320で、早朝の飛行機になのに満席です(写真下)

 

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7時ちょうどに、霧雨の空港を離陸しました。麗江まで一時間ほどの飛行です。

 

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オバサンに睨まれた

 空港は霧雨でうっとうしい雰囲気だったが、雲の上に出ると青空が広がっています。

 

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 機内は、中国ではいつものことで、ほぼ満席です。離陸して三十分ほどして朝食のサンドイッチと水が配られました(写真下、7:31)

 

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私が機内食を配っている様子を写真に撮っていると、写真下の中央の乗務員がこちらを見ています。彼女はこの後も、私のほうを厳しい目で睨みつけていました。そして、私の所に来ると、何か中国語で文句を言います。烏里さんに通訳を頼むと、私が彼女の写真を撮ったという抗議でした・・・はあ?

 

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 「おいおい、オバサン、自惚れんじゃないよ」というのが私の率直な感想でした。写真のように確かに彼女が写っているが、もちろん、彼女を狙ったわけではなく、四人の乗務員が並んで配膳しているのを写しているのです。こんな程度で抗議されたら、私は何十人もの乗務員から抗議されることになる。「中国では自分の肖像権を極端に主張する人が時々いるんだよ」というのが烏里さんのコメントでした。

 

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 飛行機は高度を下げ始めた頃、雲の切れ間から、雲南の山々が見えてきました。

 

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 白い壁で統一された街並みと田んぼが見えます(写真上右)。きれいな田園風景と、立派な高架道も見えて、この地域の経済発展を示しています。

 

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恐いオバサンのいる飛行を終えて、麗江三義空港(麗江空港)に到着(7:57)。ここは海抜が二千メートルを越える高地にある空港です(高度計では2325m)

外は14℃だというアナウンスがありました。いくら高地の朝とはいえ、14℃はちょっと低い。雲南省の多くは亜熱帯だが、我々の旅行先は東チベットなので、私はいつのもようにセーターも準備してきました。幸い、この後、高山地帯に行っても気温が下がることは少なく、セーターの出番はありませんでした。

 

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三台のパジェロで出発

 今日はこれから車に分乗して、本日の目的地である香格里拉(シャングリラ)まで行きます。香格里拉は三千メートルの高地にあるチベットの街で、途中、いくつか峠を越しますから、花が期待できます。

 

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 今回の旅行は舗装されていない道路も走るので、三台のパジェロに分乗します。私が乗ったのは、すでに34万キロを走行した白い3号車です(写真下左)。間もなくお月様まで行ける距離です。

 写真下右の1号車を良く見てください。ナンバープレートがない。盗まれたというのです。ナンバープレートを盗んで商売になるというのも奇妙なら、ないままでも走行できるのも奇妙です。中国では店で車を買うと、ナンバープレートがないまま家まで乗って帰るのが普通だそうです。中国はわからん!

 

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 ドライバーは、1号車を運転する中年のアウンさんがチーフで、2号車と3号車は24歳と27歳のチベット族の若者です(写真下)27歳にしてすでに三回の離婚歴を持つというのだから、なかなかすごい。アウンさんはこの若者たちにいろいろと手を焼いているようでした。私の乗った3号車のドライバーには少々ウンザリさせられました。それは後で話すことにしましょう。

 

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8:20に空港を出発。いったん麗江の街に向かいます。道路は大変よく整備されています。目立つのは太陽電池を用いた外灯です(写真下)。中国は必ずしも電力事情は良くないから太陽電池にしたのか、あるいは中国は太陽電池の販売では世界のトップを行っているから、国策として太陽電池の需要を増やそうというのかもしれません。この太陽電池外灯は空港から麗江までで、他の地域ではほとんど見られませんでした。そこから推測すると、後のほうの理由ではないかと思います。

 

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 麗江の街のはずれを通過すると、どこもここも建設ラッシュです(写真下)。道そのものが新しいから、その両側に新しい街を作っているのでしょう。多くはマンション様式です。

 

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 建物に特徴的なのは屋根がついている点です(写真下)。日本でも、中国の都市部でも、こういうマンションのような集合住宅には屋根はついていません。ここは新築のマンションのほとんどすべてに屋根がついています。これはこの地方の伝統的な家屋の様式を取り入れたのでしょう。たしかに景観に統一性が出てきます。

 

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 道の途中でおもしろい看板を見つけました(写真下)。「雷峰の精神に学べ」と書いてあるのでしょう。雷峰は貧しい家庭に育ちながら人民解放軍の兵士となり、人々に食料を分け、貯金を災害地に送るなど、非常に自己犠牲と奉仕の精神にとんだ人で、1962年に22歳で電柱の下敷きになり殉職しています。「大公無私」のシンボルです。

 清廉潔癖、滅私奉公のシンボルである雷峰が半世紀も後に何で出てくるのか。温家宝首相が雷峰の名前を出したくらい、幹部の腐敗があるからです。中国で雷峰が出て来る時は、雷峰とは逆の私利私欲が蔓延していることを意味します。

 

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 幹部による腐敗は今に始まったことではないので、私がこの看板を見て気になるのは、貼り方が下手でシワが寄っていることです。素人のふすま貼りみたいです。

 車は麗江を離れ、農村地帯を西に進みます。畑の真ん中に建築中の高架は、道路にしては奇妙ですから、鉄道でしょうか(写真下右)

 

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 農村地帯を通り抜け、やがて道は峠の上り坂になります(写真下左)。自転車で旅行している若者は中国のあちらこちらで見かけます(写真下右)

 

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金沙江の展望台

 峠を少し下りたあたりにある展望台でトイレ休憩です(9:59)。ここは眼下に流れる金沙江を見る場所として、客集めに作られた一種のドライブインです。先に展望台らしい建物も見えます(写真下左)。天気も良くなく、絶景というほどでもないので、行きませんでした。

 

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駐車場の周囲には店らしいものがあり、すべて閉じています(写真下)。我々が来た時には、それなりに人がいたから、流行らないということでもなさそうですが、何で店が開いていないのか良くわかりません。

 

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 もっと意味がわからないのが、この石でできた門のような物です(写真下)。河を展望するのに、ここを通るようにできています。表面がざらざらの特殊な石で積み上げてあります。この門をくぐらないと、河の雄大な風景が見られないところを見ると、わざと石を積み上げて視界を遮っているのか、あるいはドライバーの目に付くようにということかしれません。いずれにしろ、この蟻塚のような石積みは風景を壊している。

 

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 周囲には雑草が少し花を咲かせています。

 

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 車はそのまま峠を下り、展望台から見た金沙江まで降りて、河の流れに沿って北上します。

 

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 道が悪い所はたいてい工事中だからです。写真下などは一年後は立派な道路になっているでしょう。

 

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 金沙江に沿って下流を目指します。金沙江はここではおとなしく流れていますが、これから先の下流に行くと逆に川幅が狭くなり、激流に変わります。

 

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虎跳峡で昼食

 虎跳峡の菊華飯店で昼食です(11:38, 2026m)

金沙江の激流を売り物にしている観光地が虎跳峡です。哈巴雪山と玉龍雪山の間にあり、落差二千メートル近い断崖絶壁が迫っています。普通のツアーならここで虎跳峡の観光をするのでしょう。しかし、激流よりも花を見たい私にはあまり関心がありません。ちょっと見るだけでも一〜二時間はつぶれてしまい、その分、香格里拉での花が見られない。烏里さんに聞いてみると、虎跳峡の観光はしないとのことだったので、一安心です。

 

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 写真下左は「春芽」というこのあたりで採れる山菜で、写真下右がそれを料理したものです。卵とじにしたというところでしょうか。特にうまいもまずいもありません。

 

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 取り皿と箸はきちんと殺菌され、ビニールで包装されています(写真下左)。しかし、写真下右のように、料理を盛った皿を屋外で洗っている様子を見ると、取り皿だけ殺菌してもあまり意味がなさそうです。

 

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 食事を終えて、虎跳峡から金沙江の支流に入り、高度を上げていきます。

 

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 道路の両側は切り立った山です。下の写真をごらんください。なんか木が枯れたような茶色になっているのがわかります。

 

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 最初は茶色の葉の樹木かとも思いましたが、明らかに枯れた樹木です。これが山のあちらこちらで見られる。葉がついた状態で立ち枯れを起こしていますから、水不足でしょう。

 

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 本来雨が多いはずの雲南省の雨不足は三十年以上も前から警告されています。原因は、もちろん、伐採で森が減っているからです。樹木は水瓶そのものです。南米では乾ききったサバンナに植樹して森を作ったら、雲が発生して雨が降るようになり、熱帯雨林が復活したといいます。

 

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 枯れた樹木の真下には大量の水が流れているのだから、なんとも奇妙な光景です。

 

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 電力も必要だからダムも作る(写真下左)。でも、これもまた自然の水系を破壊しますから、難しい問題です。

 

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 道はやがて谷を登り、三千メートル以上の高原地帯に入りました(写真下)。私は、高山病の初期症状の一つである軽い頭痛が始まり、日本から持ってきた薬剤の酸素発生器を用いて、酸素を吸いました。初期手当のおかげで、高山病にはなりませんでした。

 

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観光牧場の花

 観光牧場でトイレ休憩です(13:21)。周囲を見ても、何がここの売り物なのかよくわかりません(写真下)。馬に乗るように誘うところを見ると、馬でこの周囲を散策するのが目玉なのでしょう。

 

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牧場にもそれなりに花がありますから、遠くに見える山までいければ、お花畑があるのでしょう。しかし、時間がありませんから、牧場に生えている花を撮影します。まずは黒ブタ君の記念写真です。

 

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 牧場で目立つのがブタ君と写真下のノウゼンカツラの仲間です。地面から唐突に大きな目立つ花が咲いています。

 

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写真上下 Incarvillea zhongsianensia

(『雲南花紀行』p.170Guide to the Flowers of Western China,p.466)

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 チベットの牧場などで良く見かけるフデリンドウの仲間がここにもあります。数はそんなに多くありません。青がきれいです。

 

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写真上 Gentiana pubigera

(『雲南花紀行』p.119)

 

 写真下の濃い紫の花をつけたマメの仲間も草原にかなり生えていて、今が盛りのようです。今回の旅行でこの花を見たのはこの牧場だけでした。

 

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写真上下 Thermopsis Barbata

 (『雲南花紀行』p.159Guide to the Flowers of Western China,p.333)

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 写真下もチベット高原ではしばしば見かけるジンチョウゲの仲間です。ここでは黄色しかありませんが、他にも白、薄紫など同じ植物とは思えないほど花の色が違います。

 

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写真上 Stellera chamaejsame

(『雲南花紀行』p.161Guide to the Flowers of Western China,p.341)

 

 写真下の黄色い花は草原にたくさん咲いています。ところが、図鑑で調べても、名前がわかりません。

 

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写真上 Erigeron breviscapus

(『雲南花紀行』p.177Guide to the Flowers of Western China, p.510)

 

 写真下のアネモネは、牧場に生えている程度の一般的なもので、葉に毛が生えているので簡単に名前がわかるだろうと図鑑を見たのですが、見つかりません。

 

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シャクナゲ公園

 観光牧場をあとに、車で少し行った所にシャクナゲ()が一面に咲いている所がありました(14:12)。特に看板や店があるわけでもなく、花の咲くこの時期を観光用に牧場を開放しているのでしょう。シャクナゲ公園1と名付けましょう。

 

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 シャクナゲが一面に咲いてはいるが、ちょっと盛りをすぎていて、花そのものが被写体になるのは少ない。

 

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写真上下 Rhododendron racemosum

(『雲南のシャクナゲ』p.96、『雲南花紀行』p.113)

 

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 シャクナゲは上のピンクがもっとも多く、その間に下の紫の花が混ざっています。見た範囲では、この二種類しかわかりませんでした。

 

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写真上 Rhododendron rupicola

(『雲南のシャクナゲ』p.86)

 

 

二つ目のシャクナゲ公園

 さらに車で少し走った所にある二つ目のシャクナゲ公園です(シャクナゲ公園2、14:36)

 

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 向こうに見える山の麓まで、この平原一面にシャクナゲが咲いているようです。数キロ四方がシャクナゲだらけということになります。

 

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 写真下のように、観光客が多く、シャクナゲの写真を撮るのには不便です。自分は邪魔にならないが、他人は邪魔です。

 

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 私はシャクナゲを撮るのはあきらめて、観光客のいないシャクナゲが生えていない牧草地に行きました。ここも多少は花があるが、家畜に荒らされているせいか、特に変わった花はありません。写真下の名前のわからない花が花束を地面に立てたようにたくさん咲いています。

 

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 写真上と下は花の色が違うだけで、葉などは同じなので、同じ花ではないかと思います。

 

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香格里拉に到着

さらに北上して香格里拉(シャングリラ)に到着しました。建物や仏塔を見るとチベットだと実感します。広々とした道路と新しい建物が整然と並び、ここが三千メートルの高地とは思えません(3178m)

 

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今日のホテル・雲南環太酒店に到着(15:19、写真下)。ホテルは香格里拉の繁華街から少し外れた東にあります。

 

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酸素を買う

 夕食まで二時間ほどあるので私は街の散策に出かけました。雲南環太酒店の周囲は新しく作られた街なので、あまりおもしろくはないと他の人の旅行記で読んでいました。たしかに、次の日に行った旧市街地(古城)に比べると、普通の街並みです。しかし、私の目的は観光よりも、酸素と水を調達することです。

 

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 すでに峠で四千メートルを越え、ここも三千メートルを越す高度ですから、私は軽い頭痛など高山病の初期症状が出ています。初期症状が出たらできるだけ早く酸素を吸うのが最良です。日本から持ってきた薬剤よりもボンベのほうが簡単なので、買い求めたい。

 

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ホテルのすぐ近くの薬局で簡単に見つかりました。カセットコンロ用のボンベよりも少し大きい(写真上)。1本30元だというので4本買いました。どうやら、普通の店でも売られているらしい。雑貨屋に行くと同じ酸素ボンベが並んでいます。値段を聞くと35元だという。私は笑って去ろうとすると、たちまち25元に下がりましたので、ここでも4本買いました。

 

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 今回の旅行はこの8本の酸素ボンベを持ち歩きました。後で2本を他の人に譲り、最終日には1本が開封しないまま残りましたから、5本使ったことになります。余るのは無駄のようですが、高山病で苦しむよりは良い。

 

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 今回、大半の人に高山病の初期症状が出て、その中でも一人はかなりつらい思いをして、この日の夕飯には出てきませんでした。読者の皆さんも、高度計を持ち、おおよそ3千メートルを越えたら、酸素を吸うことです。ホテルの酸素ボンベは50元でしたが、700円くらいで苦しい思いをしないで済むなら、何と安いことでしょう。

 

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高山病は酸素不足です。お腹が空いて、力が抜け気力が落ち身体が動かなくなるのと同じです。空腹が病気でないのと同じで、酸素不足そのものは病気でありません。酸素を少し身体に入れてやると、高山に適応する時間をかせげます。空腹でも飴をなめれば、しのげるのと同じです。ところが、こういう簡単なことが医者でもわかっていないのには驚かされます。

 

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高山病の初期症状である頭痛などを軽く見て放置すると、身体はストライキを起こし、本物の高山病になります。ストライキを起こした身体を元に戻すのには時間がかかり、楽しいはずの旅行も台無しです。これを読んでいる方たちだけでも、「我慢すれば治る」という馬鹿げた精神論や、「寝ていれば治る」という間違った方法を捨てて、酸素を吸いましょう。

 

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 私は買ったばかりの酸素を吸いながら、街を散策しました。街で良くみかけるのが写真下のオートバイの三輪車です。今回の旅行では大変良くみかけました。エンジンではなく、電気三輪車もあります。こうやって並べてみると、さすが中国だけあって赤が多い。

 

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 もう一つ、この街で良く見かけるタクシーが写真下左の緑色の三輪車です。日本の360ccだった頃の軽四輪くらいの大きさです。いったいどのくらい狭いのか乗ってみたかったのですが、今回は二度タクシーを利用したのに、残念ながら、二度とも写真下右の普通乗用車のタクシーでした。

 

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 装飾用のレリーフを作っている店です。チベット圏では家などをレリーフで飾る習慣があるので、時々、こういう店を見かけます。

 

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 街には犬がたくさんいます。チベット犬らしい風貌は少なく、あまり吠えません。大半はつながれていませんから、たぶんこの街の人は犬は食べないのでしょう。

 

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 犬がいるくらいですから、牛も街の中を散歩しています(写真下)。

 

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龍澤公園の散策

 酸素と水を調達してまだ時間があるので、私はホテルの前を通りすぎ、南側にある龍澤公園を目指しました。地図にはかなり大きな池があることになっていて、それなら周囲には花が咲いているかもしれないと期待したからです。

 

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 ホテルから南に数百メートルも行った所に池がありました(写真下)。池というよりも、川が淀んでいるような感じです。

 

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 写真で見るときれいな公園のようですが、あまり良い雰囲気ではありません。幹線道路から池までの道の周囲は写真下のような状態で、建築廃材などが捨ててあり、ゴミだらけです。

 

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 それでも池の近くに行くと、緑地が広がり、池では魚釣りをしている人たちもいます。

 

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 目的の花はイマイチでした。牛に食い荒らされているので、大きな植物はなく、牛糞だらけの地面をはうように小さなキンポウゲやタンポポなどが花を咲かせています。

 

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写真上 Ranunculus Potanini

(『ヒマラヤ植物大図鑑』p.633)

 

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 だいぶん風が強く冷たくなってきたので、ホテルに戻ることにしましょう。

 

 

干肉食堂

 六時から夕飯で、市内の食堂に行きました。

 

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 入り口から食堂に入って、まずびっくりするのが写真下の光景です。地元の人たちが宴会で盛り上がっているその周囲を良く見てください。

 

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 なんか奇妙なものが天井や壁にぶらさげてある。良く見ると肉です。写真下は動物のあばら骨です。

 

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 天井にも所狭しと、なぜか提灯と一緒に干肉がぶら下がっています。

 

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 写真下は足などの部分肉でしょうか。私は最初、これらは飾りかと思いました。そうではなく、これから食べるために干してあるのです。さすがは遊牧民のチベット人だけのことはあります。

 

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 我々の席は二階で、こちらには干し肉はありません。真ん中に鉄板でできた四角いテーブルがあります。木のイスはすり切れたような感じで黒く、たぶん油が原因で黒光りしています。写真下右のように、イスと同じように古く黒い食器棚が、まるで蒸気機関車時代の駅舎みたいです。

 

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 写真下左は食べ物を乗せて出てきたホウロウの皿です。柄も古いが、ホウロウのあちらこちら欠けて、欠けた所は鉄が露出して錆びています。それでもしっかりと使われている。写真下右は部屋の窓で、割れたガラスの代わりに紙が貼ってあるのだが、その紙自体が日焼けし、破れています。つまり、ガラスが割れてからずいぶん時間がたつのに取り替えようとすらしない。部屋の中も窓も食べ物の油が付着しています。まるで昭和レトロのような雰囲気で、映画のロケにそのまま使えそうです。

 

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 写真下が今日の鍋料理です。この鍋の中に、写真下右の野菜や肉などの料理を次々と入れて食べます。

 

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鍋の真ん中に立っている煙突の中に火の付いた炭が入っており、鍋を暖めます。煙突は鍋の底あたりに金網があり、その下が空いているので、空気が入り、灰が下に落ちます(写真下左)。煙突は炭火で熱いので触れません。こんな仕掛けの鍋料理は初めてです。チベット人らしいワイルドな食事というか、食事風景です。

 私は鍋奉行になって、野菜を片端からぶち込みました。ちなみに、料金は野菜皿ごとになっており、残せばその分安くなるそうです。もちろん、私は断固としてすべてぶち込みました。

 

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 鍋料理なので、各人が味付けてして食べます。私は一階の干し肉に圧倒されて、肉には手が出ませんでしたから、肉の味はわかりません。

おそらくこの店は地元の人たちにとっては普通の食堂なのでしょう。これが烏里さんのツアーのおもしろいところで、普通の旅行会社のツアーならまず来ないような店に連れてきてくれます。

 

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 下のメモ用紙は店の主人が写真を送ってくれと渡された手書きの名刺です。たいへん面白い店ですから、香格里拉に行った時はぜひお寄りください。ただし、気の弱い方が干し肉を見て食欲をなくしても、責任は負いません。

 

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 衝撃的な干肉食堂をあとにして、車でホテルに戻りました(19:57)

 

 写真下が今夜と明日の私のホテルの部屋です。一流ホテルらしく部屋の設備は特に問題もなく、湯沸かし器があるので、水道の水を沸かして飲むことができます。室温は19.9℃と、暑くも寒くもありません。

 

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部屋からの眺めは良くない。写真下のように、ベランダがあり、目の前の建物が邪魔して、周囲の山が見えません。今日は曇っているが、周囲には雪山があるはずだから、このホテルも十階建てくらいにすれば眺めがよかったはずです。高山病対策で高くしなかったのでしょう。

 

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 今日は朝早かったので睡眠不足です。早く寝ましょう。

 

 

 

 

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