インド・ヒマラヤ西端に咲く青いケシ 1日目 2024年7月14日(日) 成田 → ニューデリー インド北部に青いケシなどヒマラヤの花を見に行きます。インドに行くのは2018年にクリンジを見に行って以来6年ぶり、西遊旅行を利用するのは2017年にサハリンに行って以来で7年ぶりです。 ビザが違う! 成田空港集合が、飛行機の出発時間13:50の3時間前の10:50と早い。集合場所で全員集合はせずに、すぐに各人が出国の手続きを取りました。2時間以上も前なので、11:40の出発ゲートには誰もおらず、私が一番乗りです(写真下左)。折り返しで乗る予定の飛行機は成田着12:00ですから、影も形もない(写真下右)。時間がなくて焦って走るよりも良しとしましょう。 参加者は添乗員の林田さん(仮名)を含めて男性4人、女性3人で、募集型旅行には珍しく男性が多い。
林田さんからインドのビザを渡されて、私は驚きました。私の持っているビザと違う! インドは入国ビザが必要で、前回の2018年にもネットで手続きをしたから、今回も自分で手続きをして、印刷したビザを旅券にもはさみ、リュックやスーツケースにもコピーを準備し、旅行会社にも送りました。これで万全だ。だが、林田さんから渡されたビザは私が送ったのと違う! 私がビザだと思っていたのは申請書だったらしい(笑)。帰国後、林田さんにやり方を教えてもらい、ようやく手に入れました。今のインドのビザは5年間有効なので、5年以内の旅行なら、25ドルという料金もさることながら、あの煩雑な手続きに悩まされないで済みます。 出発早々の大ショックでした(笑)。
飛行機はエア・インディアのAI307便で、機体はボーイング787です。成田を13:50に出発して、9時間の飛行の後に、ニューデリーに19:20に到着予定です。インド人の若者の団体が帰国するので混んでいるらしいという話がありましたが、実際には私の隣が空いているように、7割くらいの乗車率でしょうか。 写真下左が私の座席で、最初は33Cで通路側でした。チェックインで窓側を希望したが、無いという。ところが、写真下右の窓側33Aに座っていたインド人の若者(写真下右)が離陸前から何度も席を立つので、彼のほうから「席を交換しませんか」と申し出てくれて、私にしてみれば渡りに舟です。こんなふうに今回の旅行ではヒマラヤの女神様がインドに行く前から微笑んでくれたような気がします(笑)。
曇り空の成田を予定どおりに離陸(14:02)。成田の景色で、写真下左が薄黄色なのは曇り空だからではなく、飛行機の窓のせいで、この飛行機にはいくつか問題があるので、まとめて後で説明します。写真下右はホワイトバランスを修正した現実に近い色です。
この時期ですから、日本上空は雲が多く、あまり下の景色は見えません(写真下)。
この飛行機の経路を「flightaware」で見ると、日本を西に横切り、東シナ海を渡り、上海で中国に上陸したようです(下左図)。
最初に飲み物とスナックが出て(14:37、写真下左)、しばらくして食事が出ました(15:33、写真下右)。
窓の色がおかしい 普通の飛行機は光を遮るためには窓のシェード(ブラインド)を下します。ボーイング787の窓は、電子シェードと言って、窓の内部にある電子ジェルに電流を流すことで、青くなり、外光を遮断する方式になっています(写真下左)。
窓の下に操作スイッチがあり、透明から濃い青まで5段階に切り替えられます(写真下)。客室乗務員が強制的にすべての窓をいっせいにコントロールできるので、彼らからは人気があるとのことですが、客である私には大迷惑です。 今回、窓の色は客の選択に任せてくれたので、私は写真を撮る時だけ透明の状態にしました。ところが、写真下左は透明にしても、薄黄色に色が付いています。つまり、窓の間にある電子ジェルが劣化してしまい、完全には透明にならなくなったのです。
電子ジェルは十数年前にボーイング787で初めて使われたばかりだから、長期間の経年劣化を試験したはずがなく、これが試験結果で、不合格です。
窓に色がついてしまうのは、単に景色が見えにくいという問題だけではありません。離着陸時に窓を開けるように指示されるのは安全のためで、事故が起きた時、客室乗務員が窓から機体の様子を見て、機長に報告するためです。だが、窓が黄色になっていたら、煙など見えにくい。
この飛行機は故障している 写真左では前の席のお客さん全員が写真下右の画面を出しています。実は、モニターがこの画面しか出ない。私の座席だけの不良かと思ったら、周囲はすべてそうで、グループの他のお客さんの座席もそうでした。モニターにガムテープを貼った席もあったそうです。 座席の上からの灯りも使えません。自分の座席だけなら個別の故障だが、あたり一帯が使えないのですから、これは飛行機の故障です。灯りとモニターは別系統なはずで、その両方が故障しているということは、かなり根本的な部分に故障が起きているのでしょう。
ボーイング787は2009年に初飛行、2011年商業飛行が始まったばかりの新しい飛行機です。それなのに故障して、しかも今回突然故障したのではない証拠に、モニターの一部にガムテープが貼ってあった。10日後の帰りの便も、たぶん同じ機体で、モニターや灯りが使えませんでした。 ネットで検索すると、エア・インディアの座席のモニターが映らないという苦情は昔からあります。私自身も前にもありました。ただ、その多くが、その席だけとか、その列だけなど一部なのに、今回は一帯がそうです。 つまり、エア・インディアは故障を百も承知で、整備不良の飛行機を、金儲けを優先して飛ばしている。利益率をあげるために、飛行機はすべて効率良く飛ばすように運行が決められていて、予定外の修理など入れたら、運行に支障が出て利益が減るからでしょう。問題の兆候が見られるのに無視して飛行機を飛ばすなど、安全の立場からはあってはならない。 モニターが故障しているので、映画も見られず、音楽も聞けず、時間をつぶす手段がありません。実質の飛行時間は8時間少しで、海外旅行の飛行時間としてはそれほど長くないのに、とても長く感じました。また、モニターが使えないと飛行経路もわからないので、自分がどこを飛んでいるかもわからない。個人的にはこれが苦手で、山の中で自分の位置がわからなくなった時のような不安にかられます。 この飛行機に対する評価は五段階評価の最低であるEです。この場合のEとは飛ばしてはならない飛行機という意味です。航空会社のあまりにお粗末な対応にEを付けたことはあったが、飛行機の安全を理由にEを付けたのは初めてでしょう。昔乗った、座席が前に倒れるプロペラ機でさえDでした。 モニターや灯りが座席の多数で故障しているということは、何か機体そのものに問題が生じている可能性があるからです。直していないということは、その原因を調べる気もない証拠です。ネットに同様の苦情があるところを見ると、常態化していて、直すつもりもないらしいのは、安全性以前に、そもそも客をなめている。 なかなか決まらなかった旅行 今回の旅行が催行決定するまでにずいぶん時間がかかり、決まったのが5月末の、出発前の二カ月を切ってからでした。下図はこの旅行の5月15日の様子で、2つのコースの内、後のコースは中止して、一つのコースに集中させたが、それでも客が集まらなかった。この旅行は2016年以降、毎年のように催行されているので、興味を持つようなお客さんたちはすでに参加しているのでしょう。 私は西遊旅行の他の旅行に申し込んでいて、それが中止になったので、第二希望のこの旅行を申し込むと、10日ほど後にようやく催行決定になりました。5月20日に、本当に参加するのか確認の連絡が来たくらいですから、この段階でもぎりぎりの人数しか集まらなかったようです。数日後、2カ月前を切って、ようやく催行決定の表示が出ました(下図)。 円高と世界的な物価高で海外旅行の値段が1.5倍~2倍になって、旅行する客の数が減っているのでしょう。2019年の1ドルが110円前後だった時代には海外にでる日本人は2000万人いたのに、2023年には1000万人を切っています。 これに加えて国内の物価高です。こういう募集型旅行の参加者は、今回も全員が老人なのが典型で、老人が多く、老人が海外旅行を支えています。6人の客の内、仕事をしているのは1人だけです。年金暮らしの老人は、日常の物価が高騰すれば、旅行にまわす余裕はなくなります。日本人の海外旅行客の数字は、海外旅行をしない老人も同様に日常の支出を控えていることを示しているのでしょう。 日本の景気が浮上しない理由は、「女性と老人が働ける環境にない」からです。特に女性には「年収の壁」など差別的な縛りを未だに続けている。夫婦別姓を認めないなど、家族を単位とする時代錯誤の政治家たちを国民が選んでいるのだから、これで経済が発展したら奇跡です。女性と老人が働き、家計ではなく、個々人の財布が豊かになって消費をすれば、黙っていても景気は良くなります。 男性よりも女性のほうが購買意欲が高いのだから、女性の財布を豊かにすれば、景気は自然に回復します。しかし、政府も日銀も円安を本音では歓迎して、元凶である10年も続けてしまったアベノミクスを反省する気配はないから、同じ間違いを繰り返すでしょう。
軽い夕飯と飲み物が出ました(19:49、写真下)。3時すぎに食事をしてから、まだ4時間しかたっていませんから、お腹は空いていません。ただ、今日の食事はこれで終わりなので、しっかりと食べておきます。
窓の外に積乱雲が目につくようになりました(写真下)。モニターが機能しないので、位置はわかりませんが、たぶんインドに入ったのでしょう。インドは3月~6月の最も暑い時期が終わり、温められたインド洋の水蒸気がインドとヒマラヤに膨大な雨をもたらす雨期です。
ニューデリーに到着 高度が下がるにつれて、霞の中からニューデリーの街が見えてきました(写真下)。
8時間14分の飛行の後、ほぼ予定どおり、インディラ・ガンディー国際空港(Indira Gandhi International
Airport)に着陸(インド時間18:13、日本時間21:43)。ここで時計を3時間30分遅らせます。この「30分」がとても面倒で、誰がこんなバカな決め方をしたのかと腹立たしい(笑)。 上図 Flight Awareから転載 印象的な壁から出た手の前を通るたびに、インドに来たと実感します(写真下左)。
空港で日本円をインドのルピーに両替します(写真下)。5000円を出すと、手数料を引かれて、2350ルピーが返ってきました。この換金では「1ルピー=2.12円」ですから、この旅行記では1ルピーを2円として計算しています。ネット上での為替相場は1ルピーが1.9円ほどでしたから、こんなものでしょう。 私は金額にだけ気を取られ、札を丁寧に点検するのを忘れていたら、後で50ルピー札に破れ目が入っているのを見つけました。こういう札は店で使うと受け取りを拒絶されることがあります。釣り銭などでこっそり混ぜられるから気を付けろとは言われていたが、空港の両替所にしてこの有様で、初日からインド人には勝てない(笑)。 現地ガイドのキーラナンドさんに出迎えてもらいました(写真下左)。ただ、彼の担当は、私たちが明日の朝に飛行機に乗るまでと、9日目の朝からインドを発つまでの案内です。
下の地図では、ホテルは空港のすぐそばなのに、実際には車で迂回するので20分以上もかかりました。
ガネーシャの干物 今日のホテルのLemon Tree Premierに到着(19:51、写真下)。
受付のあるホールには天井や壁に様々な芸術作品が飾ってあります(写真下)。
その中で気になったのが、ほぼ真ん中に設置されたブロンズの像です(写真下左と中)。ヒンドゥー教のガネーシャという象の頭をした神様で、写真下右のように、子供なのでお菓子が大好きで太っており、また商売の神様でもあるので、ホテルにあるのはおかしくありません。だが、ホテルの像は平べったく、ガリガリに痩せて、服の模様が浮き出たあばら骨みたいです。これではガネーシャの干物で、私の印象を言わせてもらうなら不気味で、挨拶をしようという気にもならない。
ガネーシャの左隣に座っているネズミも痩せて毛並みが悪い(写真下左)。ネズミはガネーシャの聖獣で、象頭の太ったガネーシャが小さいネズミを従えるという笑える設定なのに(下図右)、これは笑えない。 像の作者は従来とは違うイメージのガネーシャを作ろうとしたのでしょう。ただ、このホテルは四つ星のチェーン・ホテルなのに、不気味に見えるガネーシャの干物を客が必ず通るホールの真ん中に置いた意図がわからない。
上図 Wikipediaから転載 写真下が私の部屋で、見た目は良い。だがトイレの水が流れにくいし、壁が薄いらしく、隣の部屋など外の声が丸聞こえで、これは夜中までそうでした。空港のそばだから、ネット上での今日の予約代金は17,846円と安くありません。たぶん今回の旅行では一番高いホテルでしょう。費用対効果を考えると、私のこの部屋への評価は五段階の3.5と低い。この低い評価にはガネーシャのミイラは入っていません。
飛行機のモニターと青い窓のストレスがあったので、エアコンの効いた清潔な部屋でゆっくりしたいが、明日は夜中の2時にモーニングコールで、2時30分にホテル出発なので、ゆっくり眠る時間もありません。私はシャワーを浴びて、出かける時の服を着たまま仮眠をとることにしました。 |