トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 雪ふるキルギスに初夏の花 2日目 2019年6月10日(月) (モスクワ) → ビシュケク → チトカン キルギスに到着 機内のアナウンスで目が覚めました(モスクワ時間1:42)。外はまだ真っ暗で(写真下左)、やがて眼下に街の灯りが見えてきました(写真下右)。
ほぼ予定どおりにキルギスの首都・ビシュケクにあるマナス国際空港に到着(キルギス時間4:57、ロシア時間1:57)。キルギスは日本との時差は3時間ですから、ロシアよりも3時間進めて、今は朝の五時頃で、空が明るくなり始めています。
早朝ですから、空港の中は閑散としています(写真下)。
空港には現地ガイドのアイピリさんが迎えに来てくれました。写真下左の真ん中の女性で、皆さんからはアイチャンの愛称で呼ばれました。 左側の緑色の服を着た男性が今回の植物ガイドの竹野さん(仮名)です。イギリス在住で、私たちとはたまたまモスクワから同じ飛行機でした。このツアーの植物ガイドは当初、今年のトルコのツアーでも担当してくれたガードナー(Gardner)さんの予定でした。ところが、どうしても彼の日程と合わず、そこで彼の弟子である竹野さんが担当してくれることになったのです。
写真下が私たちの車で、4台に客が乗り、5台目の青い車が荷物の専用車です。荷物車がベンツで、あとはすべて右ハンドルの三菱のデリカで、日本から輸入された中古車です。深緑色のデリカはエンジンに問題があり、黒い排気ガスを出しますから、日本だったら車検が通りません。 客が16人にガイドなどを加えると19人、さらに車の運転手が5人加わり、24人のキャラバンです。まず朝食のためにビシュケク市内にあるホテルに向かいます。
飛行場はビシュケクの北にあり、車で30分ほどです。国土の半分近くが標高3000mを越えるというキルギスらしく、周囲には雪山が見えます(写真下)。 道の周囲に見える家がたぶんこの国の平均的な家なのでしょう(写真下)。
イスラム教の国かと思ったら、最初に目についたのがキリスト教の教会で、キリスト教徒が人口の2割ほどいるそうです(写真下左)。モスクのドームがねじり飴みたいでおもしろい(写真下右)。
早速、目についたのが写真下左の中国語です。中国が推し進める「一帯一路」の中に隣国であるキルギスはもろにはいっており、中国経済が怒涛のようにこの国に押し寄せています。横綱と小学生が相撲をとるようなもので、ひとたまりもないでしょう。
ビシュケク市内に入ってきました(写真下)。
早朝のせいかあまり人もおらず、日本で言えば地方都市という雰囲気です。
ホテルで朝食 Asia Mountains 2 Hotelという奇妙な名前のホテルに到着(6:57)。ここは旅行後半の16日にビシュケクに戻った時に宿泊する予定のホテルで、今日はここで朝食を取るだけです(写真下)。 食堂の北側にある庭は良く整備されてきれいです(写真下)。
食堂はこざっぱりした雰囲気で、朝食はオバサン一人が頑張って準備してくれたらしい(写真下)。
街の風景 食事を終えて、ここから今日の宿泊地であるチトカンまで、二つの3000m級の峠を越えて、途中、何カ所か車を停めて花の観察をする予定です。 写真下はキルギスでは道端で良く売られている飲み物です。ただし、ガイドのアイピリさんはあまり勧めないというので飲んではいません。中身については旅行の途中でご紹介しましょう。
露店で良く目につくのはスイカで、気候が合うのでしょう(写真下)。
写真下はパンのようなナンです。写真下右など煙突があるから、ここで焼いているのかもしれません。
写真下は洗濯物ではなく、道端で売られている衣類のようで、どうやら中古品です。
ちょうど出勤の時間ですから、道端にはバスの来る方向を見て、待つ人たちがいます(写真下)。しかし、その周囲にはバス停らしいものはありません。
バス停がないわけではなく、むしろ、今回の旅行では写真下のようなバス停をたくさん見ました。 写真下は、この国にしては珍しい人混みで、いったい何の人混みなのだろう?店はあるが入ってる人は少なく、人が集まる場所にしては露店がない。何かイベントが行われるのを待っているのだろうか?
出勤で忙しそうな人たちの一方で、写真下のように老人でもないのに、暇そうにしている男性たちもいます。
写真下の男性二人が、特徴ある白い帽子をかぶっています。カルパックというキルギス人男性の正装の時の帽子です。ただ、二人とも正装には見えない(笑)。
写真下の二人は同じような白い帽子のイスラム教徒の帽子で、メッカ(正しくはマッカ)を巡礼したことがある人だけがかぶることができます。
しかし、これらの伝統的の帽子をかぶっているのは老人が多く、若い人たちがかぶっているのは見かけません。
写真下の三人の男の子は円柱形の帽子をかぶっています。たぶん、彼らはこれから学校に行くからでしょう。だから上段の女の子たちもスカーフをかぶっています。つまり、学校の制服です。これに対して、下段右の写真では、アイスキャンディーを持った子供たちは遊んでいるところなので、何もかぶっていません。
お手伝いや遊んでいる女の子たちも何もかぶっていません(写真下)。
若い人とやや若い人は何もかぶっていません(写真下)。
中年期以降と思われる女性たちの大半はスカーフをかぶっています。どうやら、イスラム教徒が多いとはいいながら、あまり服装についてはうるさくはないようです。スカーフをかぶる人は完全に髪の毛を隠し、逆にそうでない人はスカーフもかぶらない。
写真下右のオバサンは頭に座布団のようなものを乗せている。たぶん民族衣装なのでしょう。ネットで調べてみたのですが、該当するような民族衣装は探せませんでした。
道から見える庶民の家の多くが一階建てです。日本の人口密度は347人/km2に対して、キルギスは26人/km2ですから、十分の一以下です。この数字一つだけでも、二階建てを作る必要がない理由が良くわかります。
庶民の家で目を引いたのが写真下で、白っぽい壁に窓枠が青く染めてあり、なかなかおしゃれです。
イスラム教の国ですから、モスクはあちらこちらにあります。しかし、あまり大きな、御立派で威圧的なモスクは少なく、大半が庶民的な村のモスク、街のモスクです。ドームは表面が凹凸をつけたような模様が目立ちます。
そして、それらをさらにねじり飴のようにしたドームもあります。
ガソリンスタンドの花 ガソリンスタンドでトイレ休憩です(写真下, 9:29)。
ガソリンスタンドはかなりの頻度で目につきます。四種類から六種類のガソリンや石油を売っているらしい。トップか二番目にある95という番号のガソリンで比較すると41~42ソム(約82~84円)です。ネット上での日本のレギュラーガソリン価格が2019年6月で137円ですから、日本の六割ほどです。
ガソリンスタンドの駐車場のそばの空き地には花が咲いていますので、本日というよりも、この旅行初の花の観察です。写真下は日本でもシベナガムラサキという名前で外来種として入って来ています。欧州北部が原産で、世界中に広がっているらしい。
写真上 Echium
vulgale 写真下のヒルガオは、日本ではセイヨウヒルガオとしてすでにあちこちで見られます。これも欧州原産というから、ここでも外来種です。
写真上 Convolvulus
arvensis
写真下は地中海をはさんで北アフリカからヨーロッパに分布するとありますから、これも外来種のようです。
写真上 Anacyclus
clavatus 写真下は中央アジアから中国の内モンゴルまで分布しますから、外来種ではなさそうです。つまり、キルギスに来て、四つ目にしてキルギスの在来種にようやくお目にかかりました。ずいぶん面白い形の花です。
写真上 Dodartia
orientalis ガソリンスタンドをすぎると、急に人家はまばらになり、広々とした畑や牧草地が広がってきました(写真下)。
料金所です(写真下)。これから峠を越えるので山岳道路は有料らしい。
当然、料金所には物売りの人たちがいます(写真下)。
料金所をすぎたあたりから、道は山の中に入りました(写真下)。
川に沿って上って行くと、テントで暮らす人や(写真下左)、養蜂家がいます(写真下右)。
キルギスらしく、牛を連れた親子らしい牧童に遭遇(写真下)。山には放牧された馬がいます。
交通事故です(写真下)。山道とは言え、まだそれほど高い山でもなく、道は険しくもないから、おそらくスピードの出しすぎで、車の壊れ具合から見ると、死者はいないでしょう。この国では、酒が禁止されているイスラム教徒に飲酒運転をするヤカラがいるというから、あきれます。
やがて進行方向に雪山が見えて来ました(写真下)。
ABLA川の花 トイレ休憩をかねてABLA川のそばで花の観察です(10:46)。ここは標高2600mで、ごらんのように雪山が目の前にあります。
売店もあります(写真下)。
写真下左の看板にriv.ABLAとあるから、写真下右の水のない沢がABLA川というのでしょう。
斜面に登り、花を探します。 写真下の黄色い花は車の中からもしばしば山の斜面でみかけました。カザフスタン、キルギスタン、パキスタン、タジキスタンなどに分布します。
写真上 Eremurus
fuscus 写真下は日本ではヒヨスと呼ばれるナスの仲間で、道端で良くみかける植物です。幻覚を引き起こすなどの強い毒性があることが昔から知られています。 写真上 Hyociamus
niger マメ科の花は名前の特定が難しい中、写真下はユーラシアの高山や亜高山に広く分布しているので、判断できます。
写真上 Astragalus
alpinus 写真下はバラ科の仲間(Potentila)らしい。花と葉の色の組み合わせがきれいです。
斜面にわりと背の高いサクラソウが咲いています(写真下)。丸い葉もサクラソウにしてはかなり大きい。
写真上下 Primula
matthioli
分布が良くわかりません。ネットで見ると、ヨーロッパの北東部や南東部が出てきますが、ここは中央アジアです。仲間というなら、ロシアのシベリアや中国にもあります。さらに驚くことに、このサクラソウの古い分類であるCortusa matthioliで検索すると、北海道にもこの仲間が生えています(Cortusa matthioli ssp.
pekinensis var. sachalinensis) 。つまり大雑把に言うなら、ヨーロッパから東アジアまでの高山地域に分布するのでしょう。
写真下は何とも印象的な濃い紫色のオダマキで、Dark Columbineという名前で市販もされています。カザフスタンや中国などの天山山脈に分布して、キルギスはその天山山脈の中にある国です。
写真上 Aquilegia
atrovinosa 写真下のフウロソウはヨーロッパからアジアにかけた広く分布します。また園芸品種にもなっています。要するに、ありふれたフウロソウだ。
写真上 Geranium
pratense 山の上のほうから馬に乗った人が降りて来ました(写真下)。こういう光景はいかにも遊牧民の住むキルギスです。
峠は雪 トウ峠(Töö Ashuu)に向かって登っていくと、やがて道の周囲には雪が見られるようになりました。
道路に雪がないし、乾いているので恐くはないが、かなり寒そうです。
たぶん写真下が峠の展望台なのでしょう。こんな所に花などないから、頼むから、停車しないでくれ、という祈りが通じたのか、無事に通過(笑)。
写真下左の2.7kmのトンネルがトウ峠(Töö Ashuu)峠の一番高いどころで標高3130~3180mです。トンネルができる前の旧道は標高3,586 mだったというから、高山病になるのには十分な高度です(笑)。ここでも馬に乗った人が悠々と歩いているのは、やはりキルギスです(写真下右)。
峠の反対側に出ても、周囲は雪だらけなのに、ここで花を探すという!
雪と花 雪はずっと積もっていたのではなく、昨夜あたりに雪が降っただけだから、花があるはずだという。雪は良い被写体になるか、花が埋もれてしまい、役立たずになるか、たいていどちらかです(笑)。幸い、雪が多くないので、雪と花の写真が撮れそうです。
写真下はハルザキヤマガラシという名前で日本にも帰化しているアブラナの仲間です。日本にも来ているのを見てもわかるように、世界中に広がっている強烈な植物らしい。
写真上 Barbarea vulgaris 写真下のキクの仲間は天山山脈を中心として中央アジアから、アフガニスタンやパキスタンの北部に分布します。
写真上 Ligularia
alpigena 写真下はシオガマギクの仲間で、ちょっと盛りをすぎているようです。
写真上 Pedicularis alatauica
写真下はワスレナグサで、ピンク色のがあります。花弁にピンク色が混ざっているのは良くあるが、こんなふうにピンク色そのものはあまり見かけません。 写真上 Myosotis
alpestris
数の多さでは写真下のシソが良く目につきます。中央アジアから北はロシア、南はインドやパキスタンの北部にまで分布します。
写真上 Dracocephalum
nutans
写真下のデージーは、北がロシア、そしてカザフスタン、ウズベキスタン、キルギスの中央アジアから南は北インドまで分布しています。真ん中の黄色が周囲の雪で良く目立ちます。
写真上 Richteria
pyrethroides 写真下はミミナグサの仲間で、雪に白い花はどうかと思ったが、悪くありません。分布は広く、東はモンゴルや中国のチベット、中央アジア、南はインドやネパール北部、パキスタン、北はロシア(シベリア)さらに北アフリカ、ヨーロッパ、北アメリカにも分布しています。
写真上 Cerastium
cerastoides 日本の高山で見かけるハクサンイチゲのような花が咲いています(写真下)。キルギスの北のカザフスタン、南のタジキスタン、アフガニスタン、パキスタンに分布します。 写真上 Anemone
narcissiflora protracta 岩陰に一株だけ黄色いケシが咲いています(写真下)。シベリア南部、中央アジア、中国北部に分布します。
写真上 Papaver
croceum 雪の残る斜面に放牧の人たちのテントがあります。煙突の煙が暖かそう。
山を下りるにつれて雪もなくなり、遠くまで視界が広がってきました(写真下)。
黄色いセリの群落 車が走っている周囲の斜面に大きな黄色い花が群生しています(写真下)。
セリの仲間で、人間と比べてもわかるように大きい(写真下)。 写真上 Ferula
akitschkensis
このセリは馬が放牧されている所にも残っているから、まずくて食えないらしい(写真下)。
白い毛についたシソの仲間が赤紫の花を咲かせています。 写真上下 Phlomoides
oreophila
写真下のシオガマギクは一本、二本、三本、四本、いっぱいです(笑)。
写真上下 Pedicularis amoena
シオガマギクの仲間がもう一種類あります。 写真上下 Pedicularis rhinanthoides
写真下のオミナエシの仲間は、キルギスと中国の新疆ウイグルなどかなり限られた範囲にしかありません。
写真上 Valeriana
turkestanica 写真下左のタデの仲間は日本でも高山では良くみられます。中央アジア、モンゴル、ロシアなどに分布します。写真下中は見たとおりのオドリコソウで、欧州からアジアまでの広い範囲に分布します。写真下右はセリの仲間で、欧州の地中海、北アフリカから西アジアまでの広い範囲に分布します。
写真上左 Polygonum
ellipticum、写真上中 Lamium
album、写真上右 Anthriscus
sylvestris 写真下のキンバイソウの仲間は中央アジアからモンゴル、中国にかけて分布します。
写真上 Trollius altaicus
赤いシャクヤク ここの目的の一つであるシャクヤクを探しに、小川を渡り、道のない斜面を登ります(写真下)。
写真下左の茶色の羊クンにも「シャクヤクを見なかった?」と声をかけながら、探します。
ありました(写真下)・・・でも、花が傷んでいる。盛りをすぎているのではなく、雨や雪が降ったため、せっかく開いたのに、出鼻(出花)をくじかれたようです。 写真上下 Paeonia
intermedia
写真下のように、地面にたたきつけられたような花もあるから、雪が上から覆いかぶさったのかもしれません。
ネット上の解説では、ここのように標高900〜3250 mの牧草地、草原などの草が茂った斜面に生え、中国の新疆ウイグル、モンゴル、中央アジア、そしてロシアのアルタイなども分布するとあります。
このシャクヤクは、植物学者で有名なリンネ(1707年~1778年)によって最初に記述されたくらいで、古くから知られて、園芸品種にもなっています。栽培は、植え替えを嫌うことを除けば、比較的容易で、ここのような陽ざしの強い所から、半日陰でも育つようです。販売してくれれば、私の畑に植えたいくらいの鮮やかさだが、日本で販売されているシャクヤクの大半が八重で、この花のような一重はめったに見かけません。
写真下の黄色いシソの仲間は中央アジア一帯に分布します。
写真上 Eremostachys speciose ピンク色のランがあります(写真下)。トルコから中央アジアにかけて標高1000-3000mの湿地帯などに分布しています。
写真上下 Dactylorhiza
umbrosa
マメの仲間の樹木がきれいに咲いています(写真下)。ムレスズメ属(Caragana)のムレスズメとは「群雀」で、見てのとおりです。ムレスズメの仲間は欧州からアジアまで分布し、日本にも江戸時代に中国から入っているそうです。
写真下のフウロソウは、本日二度目の登場であるように、ヨーロッパでもアジアでも非常に一般的に見られます。品種改良され、園芸用に用いられています。
写真上 Geranium pratense 写真下はトリカブトで、花が咲いているのはこれしか見かけませんでした。
写真下のPolemoniumはハナシノブの仲間で、中央アジアからカスピ海をまたいでトルコやコーカサスにも分布します。
写真上 Polemonium
caucasicum 写真下のちょっとさえない花はアブラナの仲間です。 写真上 Malcolmia
turkestanica 写真下はキケマン(Corydalis)の仲間のように見えますが、名前は不明。
写真下はオオイヌノフグリの仲間で、欧州、北アフリカ、そして中央アジアまでの広い範囲に分布し、小川のそばなど湿った所に生育します。
写真上 Veronica
beccabunga 写真下のSolenanthusの仲間はトルコやイランから中央アジアにかけてかなり良く見られるので、花としては冴えないが、名前が「ソレナンデス」とも読めるので記憶に残ります(笑)。 写真下 Solenanthus circinatus 遊牧民のユルタ 少し遅めの昼食です(写真下、14:26)。
写真下はいかにも雄大なキルギスという雰囲気です。遠くに見える雪山は山頂付近がほぼ平らで、あれではスキーはしにくいでしょう(笑)。
草原では放牧がおこなわれています(写真下)。
ただ、昔、中国のチベットなどで見たのに比べて、それほど家畜は多くありません。
周囲で目につくのは馬です。乗るためだけでなく、馬乳酒(クムズ)を作るのに重要な家畜です。
キルギス人の作った馬をテーマにした映画『馬を放つ』(Aktan Arym Kubat主演・監督、2017年)が日本でも公開されています。遊牧民にとっての馬は、農耕民族の日本人には理解が難しいかもしれません。山に登るのに馬に何回か乗せてもらい、馬が汗をかきはじめ、お尻の下から伝わってくる馬の体温を感じた時には、人馬一体という言葉を実感したような気になりました。
道路の周囲には遊牧民のユルタ(テント)が点在していて、遊牧民の国に来たと実感します。
道路の周囲で、小川が流れているあたりにはたいていテントがあり、洗濯物が干してありますから、ここで生活しているのでしょう。
彼らは一年中ユルタに住んで遊牧をしているのではなく、4~5月になると居住地からこれらの高原に家畜を連れてやってきて放牧し、天候が変わる9月前に町に戻るようです(『キルギス再発見』111ページ)。
平原の向こうまでかなりの数のユルタが見えます(写真下)。集団で放牧しているのでしょうか。
ユルタの他に良く見られるのが、貨物列車のような移動式のトレーラーです(写真下)。車で移動できて、ユルタのように組み立てや折り畳みの必要もないから楽でしょう。ただし、車の入れるところに限定されます。
道路のすぐそばユルタがあることも多く、その多くは店です。写真下左は「商店街」です。
売っているものですぐにわかるのがペットボトルに入った白い液体です(写真下)。コカコーラのラベルなどが貼ってあるのは再利用だからで、中身は馬乳酒(クムズ)でしょう。イスラム教の国でもトルコのように酒を飲むのが普通の国もあります。アルコール度数が1%の馬乳酒はキルギスでは普通の飲み物であり、ビシュケク市内でも売られているようです。
写真上で、バケツに入られた山菜のような物が売られていて、拡大したのが写真下で、花芽らしいのが先についています。
よく目につく売り物はビニール袋や容器に入った白い玉のようなものです(写真下)。
拡大したのが写真下で、乳製品だろうから、たぶん保存用の乾燥チーズでしょう。これだけ積み上げても形が崩れないのだから、硬いはずです。
こんな所でヒッチハイク?!周囲には人家があるとはいえ、寒空ですから、車が拾えなかったら、大変だろうなあ(写真下)。
天気はいまいちで、山は見えるのに黒い雲がかかっています(写真下)。
小雨のお花畑 小雨の中、「晴れていたら見事なんだがなあ」とぼやきながら(笑)、川のそばのお花畑を散策します(14:58)。
黄色い花が目につき、それらは何種類かあります。
写真下はアブラナの仲間です。 写真上下 Chorispora macropoda
写真下のようにセイヨウタンポポのような花も混ざっていますが、名前はわかりません。
青い花は、先ほどの雪の峠でも見かけたワスレナグサです。
写真上 Myosotis
alpestris 写真下も峠のトンネルを越えたあたりで雪の中に生えていたシソの仲間です。ここは雪がふらなかったせいか、花が傷んでいません。
写真上 Dracocephalum nutans 写真下も、先ほどの雪の峠で見かけた花で、ここは数が多い。雨が降っているので、カメラのレンズに滴がついてしまいます。
写真下はベンケイソウの仲間でしょうか。これしか見当たりませんでした。
写真下のエーデルワイスは、中央アジアを西の端にして、ロシアや中国なども分布します。花に派手さはないが、いかにも高山植物というイメージです。 写真上 Leontopodium
ochroleucum
写真下のサクラソウは標高1600〜3200 mのトルコやイラン、イラクから中央アジア、ロシアの南部など広い範囲に分布します。
写真上 Primula
algida 写真下はシソの仲間のようだが、名前がわかりません。 天気は下り坂で、雨の中を雪のあるアラベル峠(Ala-bel' Pass)を越えていきます(写真下)。標高3175mです。
高度が少し下がると、樹木が生えていて、雪はありません。相変わらず雨は降っている(写真下)。 黄色いバラ 道端の斜面に写真下の黄色い花の群落を見つけて停車です(16:11)。午前中にトイレ休憩で寄った所にも生えていたように、キルギスの山の斜面では見かけるというか、目立つ花です。このあたりで標高2000mほどです。
写真上 Eremurus
fuscus
雨が上がっただけでなく、少し青空が見えてきました。
きれいな黄色いバラです(写真下)。黄色いバラの花言葉は嫉妬だそうです!?こんなきれいなバラをつかまえて、嫉妬もないだろうに。
写真上 Rosa
kokanica 茂みの中にネギの花が咲いています。キルギスとタジキスタンに分布します。 写真上下 Allium
fetisowii
写真上の分布が狭いのに対して、写真下は中東から中央アジアにかけて良く見られる花です。たぶん、今回の旅行でも何度も見かけるでしょう。 写真上 Ixiolilion
tataricum 川べりの花 山をだいぶん下ってから、河原にアヤメを見つけて停車しました(16:38)。幸い、雨は止んでいます。
写真上 Iris
sogdiana
モンシロチョウやスジグロチョウのような白い蝶がいます(写真下)。
写真下はツリフネソウの仲間で、日本にも帰化しているほど、世界中に広がっています。 写真上 Impatiens
parviflora
本日、二つ目のオダマキです(写真下)。午前中に見た紫と違い、普通に見かけるような青紫です。 写真上 Aquilegia
vicaria
写真下は、ヨーロッパ原産で、第二次世界大戦後、日本にも帰化したシラタマソウです。 写真上下 Silene
vulgalis
写真下はヒメハギの仲間です。
写真上 Polygala comosa 名前を特定するのにいつも頭痛がするマメの仲間で、写真上と下は似ていて、区別が難しい。 写真上 Oxytropis
ervicarpa 黄色とオレンジのケシがあります(写真下)。中央アジアから中国の新疆ウイグルなどに分布し、花の寿命はたった一日です。
写真上 Glaucium
squamigerum 写真下のケシは、ギリシャや黒海の周囲、中東、中央アジアに分布し、キルギスは東端のようです。私の目にはナガミヒナゲシにしか見えません(笑)。ネットで見ると、実もナガミヒナゲシにそっくりです。 写真上 Papaver
laevigatum
写真下の花を見た時、私はてっきりバイモの仲間かと思いました。自分の畑に、これと似たような緑色の園芸種のバイモがあるからです。だが、ハズレ!これはキキョウの仲間だという。そう言われると、急にキキョウに見えてきた(笑)。キキョウに見えなかったのはツルギキョウの仲間だからで、それなのに蔓にはなりません。
写真上下 Codonopsis
clematidea このツルギキョウは平凡な外見と違い、中は紫と奥はオレンジ色の特徴ある模様が見られます。陽ざしがあれば、もっときれいに浮き出るのでしょう。ちょっと残念です。
写真下もキキョウの仲間だというが、上ほどにはキキョウには見えません。 写真上 Asyneuma
argutum
写真下のバラは中央アジアから中国北西部にかけて分布します。野生のバラなのに、「返り咲き」をするそうです。返り咲きとは、一度花を咲かせた後、また花を付けるという意味のようだが、ネットの説明では、他にも「繰り返し咲き」「四季咲き」というのがあるらしく、どう違うのか、よくわかりません(笑)。
写真上下 Rosa
fedtschenkoana ネットの説明では花は白とあります。ところが、近づいて良く見ると、色がついているように見えませんか。目で見ても、かすかにピンクが混ざっているように見えました。これは古くなりはじめたからなのか、光の加減なのか、よくわかりません。
写真下はアカネの仲間で、葉が、この花では四枚が輪のようになっているのが特徴です。 写真上 Galium
turkestanicum 写真下の花は園芸種として一般的です。なぜかシベリア原産だと信じられているようですが、実際は中央アジアが原産で、ネットにはカザフスタンの平原に一面に咲いている写真が載っていました。
写真上 Veronica
porphyriana ホテルはリバーサイド ホテルMotel Osonに到着(17:32)。写真下が受付兼レストランの建物です。
下図のように、ホテルは標高1600mほどの山の中の一軒家で、四十キロほど南にある湖に面したトクトグルという街以外には、街らしい街はありません。 敷地は広々として建物が点在して整備されています(写真下)。
下の衛星写真のように、ホテルは川と幹線道路の間、つまり昔は川原だった所に建てられています。
東側を流れている川は上流で雨が降ったせいか、かなりの水量です。災害の多い日本に住む者として、大量の雨が降って洪水になったら、ホテルは流されるのではないか、などと考えしまいます。
岸辺はテラスになっていて、晴れた日など、ここで食事をとれば楽しいでしょう(写真下)。真夏でも、これだけの水量があれば涼しいはずです。では、ちょっとイメージが違うけど、一曲(笑)。 ♪ ・・・ホテルはリバーサイド 川沿いリバーサイド 食事もリバーサイド Oh リバーサイド ♪ (『リバーサイドホテル』作詞・作曲 井上陽水)
対岸に橋がかかっていて、東側に岩山がそびえたっています(写真下)。何か花がありそうだが、この距離であの高さですから、登るのはかなり大変でしょう。
遊泳禁止の看板があります(写真下左)。やはり泳ぐ勇気のある人がいるのだ(笑)。雪の残っている高山から流れてくるのだから、真夏でも水温はかなり低いはずで、しかも、傾斜角度から見ると、水量が減っても急流でしょう。
7:30からホテルのレストランで夕飯です。かなり広い食堂です(写真下)。
食事は辛いこともなく、特に問題はありません。ただ、これは日本人向けらしく、この国でも辛いのが普通であることを後日知ることになりました。
どなたかの誕生日らしい(写真下)。年齢分のローソクを並べるのは不可能としても、数字を書かなくても良いような気がする(笑)。 私の部屋は川に面したテラスに建つ建物の一番奥です。
写真下が私の部屋です。ごらんのように簡素というだけでなく、狭い。スーツケースを広げるのも容易ではありません。食堂はあんなに広いのに、部屋は狭い。広い敷地に余裕をもって建物が建っているのに、部屋のこの狭さはどうなっているのでしょう。 狭いのは我慢するとしても、とにかく寒い。寒いはずで部屋の中は15℃しかない。建物全体にお湯を循環する集中暖房機があるが、六月になったので停止しているという。 シャワーは電気で沸かすお湯なので量が決まってしまい、浴びている最中に水になり、震えながら、急いで服を着ました。旅行の最初から風邪をひいてはたまらない。
このホテルの個人評価は、残念ながら、5段階評価の2.5で不合格です。理由はもちろん暖房です。ホテルなのに、ダウン・ジャケットを着たまま寝るのでは山小屋になってしまいます。六月と言っても、ここでは今回のような気温は珍しくはないはずです。集中暖房が使えないなら、せめて電気ストーブなどを準備するべきでしょう。もし、暖房に問題がなければ、3.5で合格でした。 |