トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

 

 

 

雪ふるキルギスに初夏の花

7日目 2019615()

チョンアシュー峠

 

 

 朝の部屋の温度は21.1℃で、寒くはありません。空は晴れています。

 

P1070003 P1070004

 

 今日はカラコルから南東方向にあるチョンアシュー峠に行き、花を見ます。アシューとは峠のことらしいから、厳密にはチョン峠というべきなのでしょう。ただ英語名もChon-Ashu Passとありますから、チョンアシューが固有名詞のようなので、チョンアシュー峠と表記します。荒川をAra River とはいわずArakawa Riverというのと同じなのでしょう。ちなみに利根川はTone Riverです。

 

routemap190615

 

 

牛の出勤

 朝の散歩に出かけます。牛の鳴き声が聞こえるので、行ってみると、道に牛がいっぱい歩いている!

 

P1070011b P1070013

P1070015b P1070017b

 

 牛の周囲にいる人たちは飼い主らしい。牛も人も全員が同じ方向に向かって歩いて行きますから、付いて行きましょう。通りは白い幹の巨木が枝を広げています。

 

P1070019b P1070014b

P1070029bn P1070022b

 

 大通りのつきあたりに広場があり、ここが集合場所らしい。そこに馬に乗った牧童が現れ、犬たちと一緒に牛たちを誘導し始めました(写真下)

 

P1070038b P1070039b

P1070040b P1070043b

 

 後をついていこうかと追いかけましたが、牛と馬に乗った人たちですから、山に向かう登り道の入口であっという間に引き離され、姿が見えなくなりました。

 

P1070045b P1070044b

cow190615

 

 牧童に牛を預けた人々は三々五々、家に戻り、先ほどの喧騒が嘘のように広場も街の中も静かになりました。

 

P1070047b P1070054b

P1070024b P1070057

 

 はぐれていた牛を少年が自転車で追って来ました(写真下)。あの山への道を自転車で追いつくのは大変、というよりも、自転車では登れない。

 

P1070059c P1070063b

 

 ホテルに戻り、七時から朝食です。蜂蜜はたぶん地元で採れたものでしょう(写真下右)

 

P1070070 P1070071

P1070072 P1070073

 

 

セインフォインのお花畑

 八時にホテルを出発です。写真下左は今日、私が乗る4号車の運転手のバクニさんです。言葉が通じないが、彼らはおおらかで感じの良い人たちです。

 

DSC_9082_0008 DSC_9083_0009

 

 この先にガソリンスタンドはありませんから、まずは給油です(写真下左)

 

DSC_9086_0012 DSC_9151b

DSC_9084c DSC_9154c

 

 ここにも白い壁に青い窓枠の家が目につきます(写真下)。建物がありふれた直方体でも、ちょっとオシャレに感じます。

 

DSC_9087c DSC_9088b

DSC_9150b DSC_9719b

 

 写真下左のモスクは作りかけなのか、窓にビニールが張ってある。

 

DSC_9094b DSC_9704b

DSC_9708b DSC_9658b

 

 写真下はお墓でしょう。数日前に、イシク・クル湖の西側で見た古代遺跡のような立派な墓と違い、こちらは日本と同じようなありふれた形の墓です。

 

DSC_9670b DSC_9696bb

DSC_9697c DSC_9707b

 

 朝からお墓をしっかりと見たところで、車は天山山脈の北側を東方向に平地をしばらく走ります。写真下のように、両側の畑はピンク色のお花畑が続きます。

 

DSC_9095b DSC_9100b

 

 今日、初めての花の観察です。

 

DSC_9109_0001b DSC_9108_0001b

 

 セインフォイン(Sainfoin)という家畜用の飼料で、日本ではイガマメと呼ばれています。このツアーでも後日購入した「白い蜂蜜」はこの花から採れます。

 

DSC_9123

写真上 Onobrychis viciifolia

DSC_9142

 

 このセインフォインは611日にも畑一面に生えている光景を見ました。一時は他の飼料に取って代わられたが、家畜の寄生虫を駆除する力を持っているので、再びセインフォインが植えられるようになったという。

 

DSC_9107_0001

 

 写真下の人物はたぶん畑の所有者で「おれの畑で何やってんだ、こいつら?」と見ているところでしょう()。どうも、お騒がせしてすみません。

 

DSC_9125b

 

DSC_9104_0001 DSC_9110_0001

 

 ピンクのセインフォインの間に青い花が生えているのはエキウムの仲間で、613日に昼食を取った街の少し手前でも、畑にこの組み合わせで生えていました。ここほど大規模ではありませんでした。

 

DSC_9137

写真上下 Echium vulgare

DSC_9136

 

 ピンクと青が混ざると印象派の絵みたいになる()

 

DSC_9132

 

 613日にセインフォインとエキウムがあった畑に生えていたのが、写真下のシソで、ここにもある。三者はよほど相性が良いか、人間の畑が好きらしい。今年の五月にイランに行った時、バラの生垣のある麦畑のあぜ道にこのシソが生えていました。人間が残してやろうと思うくらい、大きさや花の色が印象的だからでしょう。私も昔、田んぼのあぜ道に生えていたノコンギクは刈り残しました。

 

DSC_9116_0042

写真上 Salvia nemorosa

 

 写真上のシソが好まれるに対して、写真下のアブラナの仲間は、ヨーロッパやアメリカにも進出して、馬に有害なので嫌われています。

 

DSC_9119_0045 DSC_9120_0046

写真上 Berteroa incana

 

 ヒツジ君たちも朝の出勤です(写真下)

 

DSC_9152b DSC_9158c

 

 

溪谷の中の花

 道はA363の途中から右に曲がり、チョンアシュー峠を目指して天山山脈の中に入っていきます。

 

DSC_9166_0092 DSC_9163_0089

 

 小川が流れる斜面で花の観察です。

 

DSC_9171_0097 DSC_9172_0098

 

 小川のそばにはハクサンチドリのようなピンク色のランが咲いています(写真下)

 

P1070102 P1070127

写真上下 Dactylorhiza umbrosa

DSC_9202_0128 DSC_9267_0193

 

 611日にも、雪山を降りたあたりで、このランの群落を見ました。あの時も水辺でしたから、このランは水が好きらしい。

 

P1070122 P1070135 P1070130

 

 写真下はジンチョウゲの仲間で、日本のジンチョウゲとはちょっとイメージが違うが、チベットでは良く見かけます。

 

DSC_9179_0105 DSC_9186_0112

P1070140b P1070138bb

写真上 Diarthron tianschanica

 

 写真下はモウズイカの仲間で、欧州から中央アジア、中国まで広い範囲に分布し、さらにアメリカにも帰化しています。

 

DSC_9176b DSC_9180_0106 DSC_9189b

写真上 Verbascum phoeniceum

 

 写真下はコウリンタンポポです。ヨーロッパ原産とされているから、あるいはここでも外来種かもしれません。日本でも、北海道などを中心に帰化しており、私の自宅の小屋の裏にいつの間にか生えていました。サハリンでもあちらこちらで群生していて、山の上のほうまでこの花が進出しているのには驚きました。

 

P1070118 P1070117

写真上 Pilosella aurantiaca

 

 ほぼ毎日のように出てくる黄色のシオガマギクです(写真下)

 

P1070170 P1070171 P1070152

写真上中 Pedicularis oederi

 

 これまた、すっかりお馴染みになったアヤメと(写真下左)、ヒメジョオンを連想させるピンク色がきれいなキクの仲間です(写真下右)

 

DSC_9168_0094 DSC_9192b

写真上左 Iris Sogdiana

 

 

谷川の周囲に咲く花

 検問所のゲートを通過して、天山山脈の谷の奥に進みます(9:52)。看板は読めませんが、たぶん自然を大切にしようと書いてあるのでしょう(写真下右)

 

DSC_9196c DSC_9197_0123b-1

 

 すばらしい山の風景の見える川のそばで花の観察です(写真下)

 

DSC_9281_0207

 

DSC_9280dd

 

 花も風景も素晴らしい。このあたりで標高2700m前後です。

 

DSC_9279

 

 最初に目についたのがオダマキとトリカブトです。このオダマキは610日にトウ峠の手前でも見ました。日本では見られないような濃い紫のオダマキです。陽をかざすと茶色にも見えます(写真下左)

 

DSC_9220b DSC_9212b

写真上下 Aquilegia atrovinosa

DSC_9242b DSC_9230_0156 DSC_9218b

 

 写真下は日本のトリカブトに比べると花はやや小さいが、背丈は負けません。

 

P1070155b P1070156b

DSC_9256_0182 DSC_9237_0163 DSC_9207_0133

写真上 Aconitum leucostomum

 

 もう一つ背が高く目立つ花が写真下です。

 

DSC_9222b DSC_9223b

DSC_9251b DSC_9203b

写真上 Polemonium coeruleum

 

 写真下は、上と写真だけ見ると花の雰囲気は似ているが、背が低いので現場では明瞭に区別がつきます。花を見てもわかるようにオオイヌフグリの仲間です。

 

DSC_9244

写真上 Veronica chamaedrys

P1070157b P1070158b P1070159b

 

 写真下は中央アジアから新疆などにかけて分布するフウロソウの仲間で、薄ピンク色がきれいです。

 

DSC_9249_0175 DSC_9253_0179

写真上 Geranium rectum

 

 蝶がとまっています(写真下)。ここは湿地のようなっていますから、土の水分を吸っているのでしょう。

 

DSC_9264b

 

 写真下右はセリの仲間ではないかと思いますが、下段の白いバラと同様に、名前がわかりません。

 

DSC_9235_0161 DSC_9254_0180

写真上右 Lithospermum arvense

DSC_9258_0184

 

 黄色と紫と二種類のスミレかと思ったら、両者は同じ種類だそうです(写真下)。中央アジアから東はロシアやモンゴル、西はコーカサスなどにも生えています。

 

P1070174 P1070166b

写真上 Viola altaica

DSC_9304_0230 DSC_9302bb

 

 写真下のスミレの学名に天山山脈の名前が入っていますから、天山山脈にしか生えていないのかもしれません。

 

P1070168

写真上 Viola tienshanica

 

 

溪谷から峠へ

 あちらこちらに観光客らしい人たちの姿が見えます(写真下)。昨日のバルスクーン溪谷よりも観光客が多い。

 

DSC_9274b DSC_9270c

DSC_9276b DSC_9269b

 

 放牧している遊牧民もあちらこちらにいます(写真下)

 

DSC_9293b DSC_9297b

DSC_9316b DSC_9315b

 

 平坦だった溪谷の突き当りで川と分かれて(標高2800m)、山の斜面を登り、高度を上げます(写真下)

 

DSC_9324c DSC_9328c

 

 先ほどまでののどかな溪谷の風景は消えて、両側は雪山が迫ってきます(写真下)

 

DSC_9325_0251 DSC_9329_0255

 

 こんな何もない山道に突然、犬を連れた少年が現れました(写真下)。たぶん遊牧民の子供で、彼らにとってはここは自分の庭や裏山なんでしょう。

 

DSC_9331b DSC_9330b

DSC_9392_0001

 

 両側に雪が残る山道をさらに登ります(写真下)

 

DSC_9336_0262 DSC_9339_0265

DSC_9333_0259 DSC_9327_0253

 

 

チョンアシュー峠

 夏でも雪のあるチョンアシュー峠に到着しました(写真下)。標高が3822mで富士山の山頂よりも高い。

 

DSC_9343_0269 DSC_9344_0270

 

 写真下が峠のさらに南側です。車で行ける道はこのまま60kmほど南まで続き、そこに昔は錫鉱山だった村がひっそりと残っていて、登山客のためのベースになっています。さらに南に行けば中国のゴビ砂漠ですが、地図で見るかぎり、中国への道はなさそうで、それはある意味で幸いです。

 

DSC_9342_0268 DSC_9341_0267

 

 私たちはダウンなどを着て重装備だが、3号車のドライバーのアレクサンドルさんは半袖です(写真下)。彼は若くてハンサムなので、女性たちには一番人気です。

 

DSC_9346_0272

 

 今日のお目当ての花を探します。雪の残る瓦礫の斜面は登ろうとするたびに足場がザラザラと崩れ落ちる(写真下)

 

DSC_9363_0001 DSC_9390_0316

DSC_9391_0317 DSC_9389_0315

 

 こんな石だらけの斜面にもしっかりと花が咲いています。

 

P1070219 P1070226

写真上下 Chorispora bungeana

P1070234 P1070240 P1070212

 

 微妙なピンク色なのでカメラの判断による違いがあるものの、目で見ても、薄いピンクから濃いピンク、やや紫がかった色まであります。

 

DSC_9359_0285 DSC_9369_0295

DSC_9365_0291 DSC_9481_0407

 

 最初は写真下左のように数個の花をかろうじて咲かせて、少しずつ根に栄養を貯めて、花の数を増やして、半球状に成長させる。こういう厳しい環境の植物では良くみられる戦略です。ただ、それでも直径はせいぜい30cm程度で、それ以上は見当たりません。おそらくそれがこの植物の寿命なのでしょう。

 

DSC_9384_0310 DSC_9385_0311

P1070195 P1070193 P1070206

 

 写真上のようにガレ場の花は花束のようにまとまって株も大きいが、写真下の草地の花は小ぶりです。ガレ場のように、環境は厳しいが競争の少ない所では少しずつ株を大きくできるが、競争相手のいる所は苦手のようです。

 

P1070488 P1070489b

DSC_9485b DSC_9486b

 

 写真上の草地と写真下のガレ場だと、この花はまるで別な種類の花みたいに見えます。ガレ場のほうがあきらかに水を得た魚です。

 

P1070245b

 

P1070246 P1070253 P1070254

 

 612日のソンクル湖や昨日のバルスクーン溪谷でもこれを見かけましたが、ここのが一番すごい。毎回、これがアブラナの仲間だということに驚かされます。

 

P1070225 P1070235-1b

P1070250 P1070483

 

 写真下もアブラナの仲間です。中央アジア、ヒマラヤ、チベットから隣接するロシアまでの広い範囲に分布します。

 

P1070215b P1070365

写真上下 Draba oreades

P1070217b DSC_9375b

 

 写真下もアブラナの仲間で、中央アジアからパキスタンやアフガニスタンにかけて分布します。

 

P1070386

写真上下 Erysimum altaicum

P1070390 P1070392

 

 こうしてみると、ここはアブラナの仲間がずいぶんがんばっている。

 

DSC_9488_0414 DSC_9471_0397

 

 写真下もナデシコの仲間で、カザフスタン、モンゴル、ロシア南部、そして中国の新彊ウイグルなどに分布します。

 

P1070349b

写真上 Cerastium lithospermifolium

P1070451 P1070452b

 

 写真下の二種類のキンポウゲは昨日もバルスクーン溪谷で群落を見ました。

 

P1070364 P1070255 P1070258

写真上 Ranunculus transiliensis

DSC_9428_0354

 

 写真下は上とは別なキンポウゲです。

 

P1070272

写真上 Oxygraphis glacialis

 

 写真下は昨日のバルスクーン溪谷でも少しあって、私がキンポウゲだと勘違いして撮ったネコノメソウの仲間です。写真下右では花の中に種のようなものができています。

 

P1070331b P1070172b

P1070330b

写真上 Chrysosplenium nudicaule

 

 

川べりのサクラソウ

 花の咲いているあたりで昼食です(13:02)。ここなら何を食べてもおいしい。

 

DSC_9396_0322 P1070265

 

 ここからはサクラソウで、まず白いサクラソウです(写真下)。茎が葉に包まれているので茎が太いように見えます。中央アジアから北西チベットにかけて分布します。私たちの知っているサクラソウ(Primula)は単独で生えていることが多いのに、このAndrosaceはごらんのように、高山植物らしくクッションのようなコロニーを形成します。

 

P1070486b

写真上 Androsace akbaitalensis

 

 写真下を、私は写真上と同じサクラソウの仲間かと思ったら、これはムラサキの仲間だという。

 

DSC_9400bb P1070485b

写真上 Eritrichium tianschanicum

 

 写真下は今回の旅行でも何度も出てきて、姿もお馴染みのサクラソウで、ここでも数は圧倒的に多い。水分を好むせいか、斜面を流れ下る小川の土手などにたくさん咲いています。

 

DSC_9405b DSC_9401_0327 DSC_9404_0330

写真下 Primula algida

DSC_9403b DSC_9402b

 

 写真下はピンク色もきれいで背も高い。実は他のとは別な場所に生えていました。

 

DSC_9306

 

 サクラソウに停まっているのは蝶々ではなく蛾でしょう(写真下左)

 

DSC_9407b P1070285

 

 雪山にも負けずに咲いているのは(写真下左)、ボールペンの先と比較してもわかるように小さくて、とても可愛らしいサクラソウです(写真下右)

 

P1070284b P1070297B

 

P1070279 P1070280 P1070281

 

 サクラソウの咲く小川沿いに下ると、写真上とは別なサクラソウが咲いています(写真下)。ピンク色が濃いのと、五つの花弁の先端に切り込みがありません。写真上と同じように小さいので、初めて見るサクラソウかと思ったら、昨日、お目にかかっていた。

 

P1070337 P1070380

DSC_9417_0343 DSC_9425_0351 DSC_9426_0352

写真上下 Primula nivalis

 

 写真上は、昨日のバルスクーン溪谷の斜面で見た大きいサクラソウの小さいやつで、河原には大きい株が花を咲かせています(写真下)

 

P1070370b

 

P1070347 P1070384-1

 

 大きさにかなり違いがありますから、年単位で成長するらしい。

 

P1070352

 

DSC_9435_0361 DSC_9433_0359

 

 良くわからないのが枯れた茎の長さです。写真下のように、株の大きいサクラソウの大半に去年の枯れた茎が残っています。どれもが今の花の咲いている茎よりもはるかに長い。

 

P1070356b

 

DSC_9438b DSC_9439b

 

 これがサクラソウの去年の枯れた茎なら、花が終わった後に、ツノゲシのように茎がさらにのびるのだろうか?長さは今の茎の倍以上あります。ネットでのこの花の写真は、邪魔な枯れた茎を取り除いて撮っているらしく、ほとんど写っていません。私はできるだけあるがままの姿を撮りたいので、茎はそのまま写します。

 

P1070383

 

 小川が流れる湿った斜面に、昨日バルスクーン溪谷でも見たリラキヌスが群落を作っています。

 

P1070291

写真上下 Trollius lilacinus

 

P1070261 P1070300b P1070302

 

 この花は白っぽいのに雪景色が良く似合う。

 

P1070288

 

P1070318 P1070321 P1070322

 

 昨日も大騒ぎしたように()、ここにも微妙な色違いの花があります。これは開花状態の違いによる色の差だけではありません。

 

DSC_9414b DSC_9415b DSC_9416b

P1070326 P1070328

 

 

ガレ場の花

 雪融けの水で湿り気のある小川から、乾いたガレ場に行ってみます。

 

DSC_9409_0335 DSC_9411_0337

 

 写真下は日本の高山植物で言えばウルップソウの仲間で、中央アジアよりも、ロシア南部からモンゴルを中心に分布し、モンゴルでは伝統医学で薬草として用いられています。花が終わりかけています。

 

P1070393

写真上 Lagotis integrifolia

 

 写真下のネギの仲間は踊っていますね()612日にソンクル湖に行く途中でも見ました。中央アジアやヒマラヤなど広い範囲で見られます。

 

DSC_9476b DSC_9477b

写真上 Allium carolinianum

 

 小さなシオガマギクの仲間で、毛糸を着こんでいます(写真下)。キルギスの他にカザフスタンや新疆にも分布します。天山山脈の固有種と言ってもいいでしょう。

 

DSC_9456b DSC_9457b

DSC_9489b DSC_9490b

写真上 Pedicularis violascens

 

 昨日も見たアズマギクの仲間で、ここも数は少ない。

 

P1070484 P1070503

写真上 Aster asterodes

 

 写真下はキタダケソウです。昨日、群落を見たので、「ここは数が少ないねえ」などと余裕たっぷりに言う()

 

P1070389 P1070491

写真上 Calianthemum alatavicum

 

 キタダケソウの上にクモがいます(写真下左)。花の上に座っていたら、他の虫から丸見えだから、花に来る虫を狙っているのではなさそうです。たぶん日向ぼっこ。白い花の上なら、反射光で身体の反対側も光があたり、温かいかもしれない。「キタダケソウはぬくいなあ」と言っている()

 

P1070482 P1070496

 

 足元を指さされて・・・おっ、たった一本のチューリップ!。危うく踏んづけるところだった()612日にソンクル湖に行く途中でも見かけました。キルギスの他にカザフスタンでも見られます。よく、こんな石ころだらけの所で頑張っている。

 

P1070516

写真上 Tulipa heterophila

DSC_9496b

 

 写真下もバルスクーン溪谷で群落していた花です。白い毛でおおわれているが、今日は陽ざしが強いからいらないでしよう。

 

P1070494 P1070495

写真上 Oxytropis chionobia

 

 何度もお目にかかった黄色いポピーです(写真下)。たくさん咲いているのもきれいだが、こうやってポツンと一本だけ咲いているのもケナゲで激しく私の好みに合います()

 

P1070500

写真上下 Papaver croceum

P1070513b

 

 

ガレ場のエンゴサク

 遠くのガレ場の斜面で植物ガイドの竹野さん(仮名)が呼んでいます。こんな石ころだらけの斜面に何か新しい花があるらしい。

 

DSC_9469b DSC_9492_0418

 

 見つけたのはエンゴサクの仲間です(写真下)。竹野さんが昼食も取らずに、山の上のほうに登ったのはこれを探すためでした。良く見ればたしかにエンゴサクだが、パッと見た時のイメージだけで言うなら、コマクサです。縮れたような葉と、ケシの仲間という点で、どこか似ているのかもしれません。

 

P1070458 P1070419 P1070415

写真上下 Corydalis fedtschenkoana

 

 このあたりにエンゴサクがあることはわかっていたので、手分けして探そうということになっていました。だが、見たこともない花を探すのは難しい。

 

P1070440 P1070450

P1070406 P1070441b

 

 このエンゴサクは花や葉の色が周囲の岩と似ていて地味なので、探すのが難しい。写真下左の約14cmのボールペンと一緒に写した写真が典型で、色が周囲に溶け込んでおり、わかりにくい。もちろん、目の悪い私は皆さんよりもかなり早目に探すのをあきらめました()

 

P1070404 P1070401

P1070435 P1070436

 

 おもしろいことに、一つ見つけ出すと、周囲にたくさんあることに気が付きます。脳が形状を記憶して、そのパターンの物がないかと探すからでしょう。

 

P1070469

 

 なんとか雪山を背景に入れたいと探したが、条件に合ったのはこの一株だけでした。上も下も同じ株です。

 

P1070448

 

P1070397 P1070398 P1070414

 

 

山は馬だらけ

 目的のコリダリスを撮影して、山を少し下ると、起伏の少ない斜面では馬の放牧がおこなわれています。車を停めて撮影です(写真下)

 

DSC_9504_0430 DSC_9501_0427

DSC_9472b DSC_9473b

 

 放牧されているのは馬で、牛もヒツジもいません。毎日のようにこれだけの馬の放牧を見かけるということは、この国では一般庶民からの馬への需要があることになります。たしかにこの国では自転車よりも馬を見るほうが多い。

 日本では競走馬以外ではほとんど馬は飼われておらず、岩手県の安比高原で、荒れ果てた草地を蘇らせために馬の放牧を始めたことがニュースになるほどです。

 

DSC_9506b DSC_9507b

DSC_9508b DSC_9509b

 

 今日の朝、ホテルのある集落の人たちが牧童に預けたのは牛であって、馬ではありません。こういう高い山のほうが馬は育てやすいのでしょうか。

 

DSC_9518b DSC_9523b

DSC_9521b DSC_9522b

 

 これまでチベットやモンゴルなどで見た放牧は牛や羊が大半で、馬だらけなのは初めて見ました。

 

DSC_9579b DSC_9609b

DSC_9525_0451 DSC_9520_0446

 

 オレンジのイワベンケイの仲間を見つけて停車です。弁慶だけでも強そうなのにて、岩がついていると、どれだけ強いのかと思ってしまいます()

 

P1070523 P1070524

写真上下 Rhodiola linearifolia

 

 中央アジアと中国北部に分布します。

 

DSC_9548_0474 DSC_9559_0485 DSC_9529b

 

 写真下はカノコソウの仲間で、と言っても、カノコソウ自体を私はあまり知りませんから()、オミナエシの仲間と言ったほうがわかりやすい。東ヨーロッパから中央アジア、そして中国までの広い範囲に分布しています。

 

DSC_9531_0457 DSC_9532_0458 P1070528

写真上 Valeriana dubia

 

 ピンク色のシソの仲間で、旅行の初め頃に登場したことがあります。中央アジアとロシア南部などに分布します。

 

DSC_9541_0467 DSC_9555_0481 DSC_9547_0473

写真上 Phlomoides oreophila

 

 一方、写真下のシオガマギクの仲間は、何度も見たような気がしましたが、実は初登場です・・・おれの記憶もあてにならない。

 

DSC_9537b DSC_9538b DSC_9560b

写真上 Pedicularis cheilanthifolia

 

 写真下はタデの仲間で、名前はわかりません。

 

DSC_9549_0475 DSC_9550_0476

 

 写真下は忘れないでといつもたくさん生えているワスレナグサで、名前は忘れたのではなく、最初からわからない()。他の花との共演はいかが(写真下右)

 

DSC_9551b DSC_9557b DSC_9540_0466

 

 斜面を見上げると、612日にソンクル湖に行く途中で見たサボテンのような刺のあるマメの仲間がここでも群落しています(写真下)。近づきたくない()

 

DSC_9546b DSC_9545c

写真上 Caragana jubata

 

 背の低いフウロソウで、すべてがこの大きさですから、環境ではなく、この花の特性のようです。

 

DSC_9588b DSC_9584b

DSC_9585_0511 DSC_9593_0519

 

 ソンクル湖の近くで見かけたツクシガモがいます(写真下)。前回と同じで、遠くて良く見えない。

 

DSC_9591b DSC_9592b

写真上 Tadorna tadorna

DSC_9589b DSC_9599_0525

 

 写真下右の女性は洗い物をしている。川はずっと先の森の下に見えますから、そこまで運ぶよりも、水を汲んできたほうが楽だということらしい。

 

DSC_9561_0001b DSC_9611bbc

DSC_9563bbb DSC_9612bbc

 

 写真下左のユルタの入口の脇にあるのは太陽光パネルです。電気も水道もない所で暮らす彼らは、日本人とは比較にならないくらい、災害には強いでしょう。

 

DSC_9600bb DSC_9606b

 

 道端にクレマチスを見つけて停車(写真下)。クレマチスらしく、花はたくさん咲いていて、611日もありましたが、あの時よりも花の数が多くて見事です。

 

DSC_9642_0001 DSC_9638

写真上下 Atragene sibirica

DSC_9626_0552 DSC_9627_0553 DSC_9628_0554

 

 マメ科の花が木陰の中で咲いています(写真下)。中央アジアやロシアにかけて分布し、開花前の茎や豆は食用や民間薬になり、ビタミンCなどが豊富だとあります。

 

DSC_9634b DSC_9633_0559

写真上 Lathyrus gmelinii

 

 川の近くの林に白いバラが咲いています。日本のノイバラもこのくらい大きいといいのだが、小さい。

 

DSC_9619_0545

 

DSC_9620_0546 DSC_9648_0574

 

 

 

カラコルに戻る

 ゲートを通過して(写真下左)、アスファルトの幹線道路に戻り、カラコルまでまっすぐです。

 

DSC_9653_0579 DSC_9659b

 

 ここで放牧されているのは主に羊です。馬は山の上のほうで、羊や牛は人家の近くで放牧しているようです。

 

DSC_9661b DSC_9656b

DSC_9655b DSC_9714b

 

 周囲を見渡しても、馬が人々の日常の一部なのはわかります(写真下)

 

DSC_9668b DSC_9702b

DSC_9693b DSC_9657b

 

 朝、撮影したピンク色のセインフォインが道の両側の畑に広がっています(写真下)

 

DSC_9662b DSC_9663b

DSC_9698b DSC_9709b

 

 

夕食の歓迎の踊り

 ホテルにいったん戻り、その後で夕飯に出かけました。夕飯は中国系のキルギス人の経営するゲストハウスです(19:31)。ただし、すぐには入れてくれず、歓迎のために、まず入口で手を洗います(写真下右)

 

P1070540 P1070545

 

 次に庭で歓迎の踊りです(写真下)。遊牧民族というよりも、どこか中国的な踊りです。食事をしながらの踊りなら楽しめるが、飯だと感づいている胃袋を待たせるのはなかなか難しい()

 

P1070560b P1070561b

 

 やっと食事にたどり着きました()。食事はかなりの量で、中国や中央アジアの食べ物が色々と混ざったような印象です。

 

P1070563b P1070564b

P1070567b P1070566b

 

 夕食後、ホテルに戻りました(写真下)。連泊は楽です。

 

P1070575 P1070615-1b

DSC_9072_0592b DSC_9074_0594

 

 

 

 

トップページ 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10