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表紙 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10・11 ペルー・アンデス めおとプヤの最期 6日目 2025年5月12日(月) ヤンガヌコ渓谷 昨日、雨に濡れて寒さで風邪をひいたせいか、五時前には目が覚めてしまいました。 今日は、昨日のウルタ渓谷のさらに北にあるヤンガヌコ渓谷に花を見に行きます。今日が一番遠出になります。
7時から、いつものようにホテル5階で朝食です(写真下)。
気になるのは朝食よりも、食堂から見えるブランカ山群の様子で、今日は雲があまりかかっていないから晴れると期待しながらも、山の天気は予想がつかない。
いつものように八時に出発で、今日もマイクロバス1台です(写真下)。
ガイドのモラリスさんに急用ができて、代わりに来てくれたのがマルコさんです(写真下左)。出発前に、モラリスさんと庭のアボガドの木の前で打ち合わせをしていました(写真下右)。
電線と民族衣装 街を走っているとどうしても目につくのが電柱と電線です(写真下)。こうやって写真で見ると、小汚く、みすぼらしく感じませんか。でも日本もこの有様なのです。 見た目の薄汚さだけでなく、地震など大災害時には、切れた電線の火花で火事が起きたり、倒れた電柱で救急車などが通れなくなると、警告されているにもかかわらず、何も変わらない。首都直下地震や東南海地震が起きることは高い確率で予想されているのだから、早く手を打たなければならないし、技術的にそれほど困難でもないのに、誰もやる気はないらしい。
写真下は標準的な民族衣装で、帽子をかぶり、髪は三つ編み、カーディガンのような上着を着て、タイツのような細いズボンの上にスカートをはき、靴底の高くない靴をはいています。
写真下左は、珍しく、スカートだけでズボンをはいておらず、素足のようにみえます。写真下右は、写真上の二人と同様に、薄いタイツのようなズボンをはいています。
写真下では、スカートは一枚ではなく、内側にもう一枚の白いスカートをはいているように見えます。年配の人に多いようです。
山高帽も絶対に必要ではないらしく、写真下の4人のうち、2人は帽子をかぶっていません。また、写真下右の子供を抱えた女性は髪の毛を後ろに束ねただけです。
写真下のいずれも右側にいる若い女性は民族衣装を着けていません。髪の毛も、写真下左では後ろで束ねているだけ、右では長いままです。若いうちはこういう格好で、年をとると民族衣装を着けるのか、それとも今の若い世代はもはや民族衣装そのものを着ないのか、どちらなのか。生成AIに質問すると、若い人たちの服装が変わりつつあるのは事実のようです。
写真下左は道端に生えていたリュウゼツランとは別な植物で、走行中の車の中から撮っただけで、きちんと撮れる機会がありませんでした。写真下左は、右のリュウゼツランと同じように、幹は緑で樹木ではなく、葉のように見えているのは白い花です。似たような形態なのでリュウゼツランの仲間かと思ったら、別な属でした。エクアドル、ペルー、ボリビアに分布します。
写真上 Furcraea
andina 写真上 Agave
americana 昨日、市場で食用に売られていたウチワサボテンが畑の縁に植えてあります(写真下左)。道路脇に生えた写真下右はサボテンではなく、アフリカ原産のEuphorbia ingensに似ていますから、人間が植えたのでしょう。
マリア様 山がきれいなので展望台のある店で休憩です(写真下、8:51)。
駐車場にはマリアとイエスの聖母子像がワスカラン(6,768m)を背景に建っていて、像の向きから見ても、ワスカランを借景に使ったのでしょう(写真下)。金ピカで威圧的な教会に飾るよりも何倍も素晴らしい祭り方です。だが、後ろの建物は蹴とばしたいくらい邪魔で、きっとマリア様も私の意見に賛成して、いっしょに蹴とばしてくれるでしょう。
今日、初めての花の観察は駐車場で、これまで見かけなかった花が咲いています。写真下左は欧州原産のアレチモウズイカですから、外来種です。 写真下右はたぶんアマランサスという穀物で、アンデスでは昔から植えられていますから、その種が飛んできたのでしょう。ただ、栽培用のアマランサス(Amaranthus caudatus)は2mくらいなるのが普通なのに、ここにあるは50cmほどで、環境で小型化することもあるのか、わかりません。
写真上 Verbascum
virgatum ハヤブサと目が合った 中嶋さん(仮名)から、向こうの木に停まっている鳥の写真を撮ってくれと頼まれました。二日前はビクーニャを見つけ、昨日はホテルの売店で植物図鑑を見つけた目の良いお客さんです。しかし、私に見える風景は写真下左で、鳥って、どこ?場所を聞いて、カメラの望遠側(400mm)で見ると、確かに木の上に鳥らしいのが停まっています(写真下右)。
中嶋さんの毎度のすごい視力に驚き、この距離では、私のカメラとレンズの性能では鳥を判別できるほどはっきりは写らないと思いながらも、何枚か撮りました。 写真を拡大して、私はギョッとしました(写真下)。鳥が振り返って、こっちを見ている!まるで私の撮影に気が付いたかのように、振り向いて、こちらを見ています。たぶんカメラのレンズが大きな眼に見えるから、カメラを向けた時に、自分が見られていると気が付いたのでしょう。この鳥の眼は横に付いていますから、斜め後ろの私に気が付いても不思議ではありません。
写真上下 Falco
sparverius その後で撮ったのが写真下で、「なんだ、人間か、つまんねえ」と関心をなくしたかのように、前を向いてしまいました。 ネットで調べると、アメリカチョウゲンボウというハヤブサの仲間のようで、南北アメリカに分布します。まさか、朝からハヤブサと目が合うとは予想もしなかった。
街が全滅したユンガイ ユンガイ(Yungay)の公園でトイレ休憩(9:51)。ユンガイは標高2500mですから、ホテルのあるワラスから500m以上も下がったことになります。
写真下はバス停で、屋根を公園側から蔓性の植物で覆っています。良く手入れされていてすばらしい。写真下右の奥に見える、これと同じタイプのバス停には何もありません。
今のユンガイは静かな街ですが、1970年の大地震で壊滅的な被害を受けた街です。その時の土石流でも流されずに残ったキリスト像(Cementerio de Yungay)が写真下です。白い像に焦点を合わせたつもりが、ごらんのとおりなので、「走るバスから細い電線に焦点を合わせるなんて、オレ様の腕前はどんなもんだい」と自慢することにします。 像が土石流を防いで人々が助かったという話なら奇跡の像として祭り上げてもいいが、像だけが残っても「なに!キリストさん、あんただけ助かったの?」と、不信心の私は言いそう。
昨日購入した案内書『ブランカ山脈 ワイワッシュ山脈』に、1970年の大地震の前と後を比較した写真が掲載されています。写真下左が地震前、右が後のユンガイ中央広場(Plaza de armas Yungay)の光景です。なかなか衝撃的で、前はきれいな街並とシュロ(?)を植えた公園があったのに、地震後はただの野原になってしまった!
写真上 『ブランカ山脈 ワイワッシュ山脈』から転載 ただ、この2枚の写真は違和感があって、両者のシュロは別物で、手前に見える山の尾根を比較すると、近場ではあっても同一の場所ではないように見えます。 写真下は、1948年に撮られたユンガイで、1970年の大地震では、背後のワスカラン(Nevado Huascarán Sur)からの崩壊した氷河の土石流で2万人が亡くなっています。しかし、それでも地元人たちはこの美しい山が好きなはずです。私は、こんな高い山ではないが、山を見ながら育ったから、なんとなくわかります。
写真上 『ブランカ山脈 ワイワッシュ山脈』から転載 標高2,500mのユンガイから右(東)に曲がって、ヤンガヌコ渓谷の4,700mまで登ります。
風景は、これまで見た他の谷への途中と似ているが、ここは斜面がなだらかなせいか、畑が多いように見えます(写真下)。
途中、眺めの良いところで雪山の撮影です(写真下、10:21)。
写真下が今日も朝からずっと見えているワスカランで、写真下の左が北峰(ワスカラン・ノルテ、6,654m)、右が南峰(ワスカラン・スール、6,768m)です。
先ほどマリア様が借景にしたのはワスカラン、飛行機で到着した5月8日に真っ先に目にした山がワスカラン(写真下左)、ホテルの食堂から毎朝、天気を確認する時に北側に見えるのがワスカランで(写真下右)、ワスカランの左奥に見えている山がワンドイです。
写真上と下で山の形が違うのは、空港やワラスは南から、ユンガイや今のいる所は西からワスカランを見ているからです(下地図)。
ワスカランの北にあるワンドイ(Huandoy、6,395m)も2峰に見えますが、実際は4峰あります(写真下)。
ワスカランとワンドイは写真下のように隣同士ですから、当然、ワスカランという男性とワンドイという女性の恋愛物語が作られ、私たちはこれから愛し合う二人の間にある渓谷を進みます。と言っても、特にロマンチックな渓谷ということはありません。
雪山ばかり見ていて、足元にきれいな蝶々がいることに気が付きませんでした(写真下)。和名はウラギンドクチョウで、体内に毒がありますから、皆さんも鳥になってこの蝶を食べる時は気を付けたほうがいい。
写真上下 Dione juno
miraculosa 羽の表裏で模様がかなり違います(写真下)。人間がいてもあまり気にしないのは、王冠に残った水分を吸おうとしているからでしょう。王冠には何か糖分が残っているのかもしれない。
国立公園の入口を目指してさらに上ります。周囲の斜面には農村と畑が見られ、その中の写真下左の男性は、私たちの泊まっているホテルのフロントで登山をしていた彼ではないか(写真下右)。ブランカ山群のあちらこちら歩いているらしい。
ビニールハウスやビニールをかけた畑が目立ち、これらは野菜や花卉らしい(写真下)。前はジャガイモ畑だったのが、今は収益の良いイチゴやブルーベリーが作られているようです。 使用後のビニールの処理をしっかりしてほしい。私は農作業には袋を持参し、土の中から小さなプラスチックの断片でも見つけたら、すべて回収します。マイクロプラスチックが人間の脳にまで入り込んでいるという恐ろしい報告がされています(「ナショナル ジオグラフィック」2025.02.06)。
ピンク色の羊とオジサン ワスカラン国立公園の入口に到着して、ここで入場料を払います(10:59、写真下)。
敷地内の池で、ピンク色の羊とオジサンが帽子を振って歓迎してくれます(写真下)。私も礼儀正しく「やあ、どうも」と一匹と一人に挨拶をする。
小さな売店もあるなど、これまでの入口とはちょっと違います(写真下)。売店ではルピナスの豆を売っています。
敷地の林の下を小さな鳥が歩いている(写真下)。この鳥は昨日のウルタ渓谷の入口にもいました。和名がアカエリシトド(赤襟鵐)という奇妙な名前で、アカエリまでは首を見れば赤襟だからわかるが、シトド(鵐)なんて見たこともない漢字で、小さい鳥をさす古い表現のようです。メキシコから南米の山岳地帯に分布する鳥で、首から下だけ見ると、スズメに見えるし、実際にスズメの仲間です。
写真上 Zonotrichia
capensis 写真下の大きなペットボトルも他の国立公園の入口にもあって、これはリサイクル用のゴミ箱です。
昨日のウルタ渓谷の入口にも(写真下左)、一昨日のプヤを見た公園の入口にもありました(写真下右)。形が統一され、わかりやすいが、ペットボトルそのままなのは、いつ見ても周囲の風景と合わない。
ヤンガヌコ渓谷 両側に急峻な山が迫り、ヤンガヌコ渓谷に入って来ました(写真下左)。U字型の谷は、見るからに氷河が作った谷だとわかります。
ヤンガヌコ渓谷には二つの湖があって、写真下が谷の手前にあるチナンコチャ(Chinan qucha、標高3850m)です。いかにも氷河が退却した後にできた氷河湖らしく、青緑色です。
湖畔で目立つのが写真下の樹木で、ねじ曲がり、幹の表皮は薄くて何枚も重なっているから、まるで表皮もはがれて枯れかけた樹木のようですが、これで普通の姿です。環境が厳しいとはいいながら、どうしてこんな姿をしているのだろう?「私たちは苦難に満ちた人生を送ってきたのよ」と言っている。
写真上下 Polylepis
racemosa この樹木はアンデス山脈の固有種で、地元ではケニュアと呼ばれ、燃料や建築材に使うため、減少が危惧されています。日本なら、表面を磨いて和風の飾り柱などに使えそうです。特に水辺が好きだというのではなく、先ほどの公園の入口にも、またこの後、山の斜面でもしばしば見かけました。 この日の帰り道、グニャグニャと曲がったケニュアの幹が、他の植物に棲み処を提供するなど、なかなか立派な奴だとわかりましたから、午後に紹介します。
さらに上流にあるのが2つ目の湖オルコンコチャ(Orconcocha、標高3860m)です(写真下)。近くに2つの湖があれば、地元のケチュア語で、チナンコチャとは女湖、オルコンコチャとは男湖という意味です。 ヤンガヌコ渓谷は、北のワンドイという女性と南のワスカランという男性とのカップル、西のチナンコチャという女性と東のオルコンコチャという男性とのカップルがいることになります。美しい雪山と渓谷と湖を舞台にした二組の恋愛映画ができそうです。 巨大なプヤ・ライモンディの花が咲く下で、二人は愛を語り合うという場面を盛り込めば、大ヒット間違いなし!しかも、名場面になりそうな風景を私たちはこの日の夕方に見ました、と私の頭の中では映画館の大画面で物語が勝手に進行する。
オルコンコチャのさらに上流は湿地帯が広がっているので、放牧がおこなわれています。牛の間に頭の白い鳥がいます(写真下左)。道路脇の看板には、たぶん鳥の保護区であると書いてあるのでしょう(写真下右)。
和名はアンデスガンで、名前どおりに、ペルーからチリなどの標高3000m以上のアンデス山脈に棲息するガンです。オルコンコチャは標高3860mですから、棲息地の条件にぴったりです。
写真上 Chloephaga
melanoptera 川が流れるヤンガヌコ渓谷の奥まで行きつくと(写真下左)、そこからは急な上り坂になり、振り返ると、湖が渓谷の入口の方に見えます(写真下右)。
ブランカ山群の峰々 高度が上がるにつれて両側に見えてきたのが、ヤンガヌコ渓谷の南北にそびえたつワスカラン (写真下左)とワンドイ南峰(写真下右)です。
七曲りの道の途中でバスを降りて、山道を歩きだしました(12:44)。写真下の左側に見えるワンドイ東峰はちょうど標高6000mで、空気が澄んでいるせいか、あるいは酸素不足で脳が錯覚をおこしているせいか、自分と6000mの峰との位置関係が、ちょうど山形の自宅から見た標高500mほどの裏山と同じに見えます。
数百メートルほど行き、そこで昼食らしい(写真下)。私は食事よりも花や山の写真を撮りたいので、撮影の自由時間がやっと来た。私が聞きもらしているのか、毎度、これからどこまで歩き、何をするのかがよくわからない。
このあたりで標高4600mほどで、周囲を6000m級のブランカ山群の山々が取り巻いています。朝、国立公園の入口に入る前に見たワスカランは西から(写真下左)、今は北北東から見ているので、まるで別な山みたいです(写真下右)。
ヤンガヌコ渓谷をはさんで北側にある、写真下のワンドイ南峰(6,160 m)は手前(東)に向かって、カミソリのように鋭い尾根が続いていますから、夫のワスカランは夫婦喧嘩の時には気を付けないといけません。
ワンドイ主峰(6,395 m)は南峰(6,160 m)と東峰(6,000 m)の間にありますから、今は雲がかかって見えません。そのさらに右側にはピスコ(Pisco、5,760 m)とチャクララフ(Chacraraju、6,112m)が見えます。
植物の限界? 花はすでにこれまで見たことがある花がほとんどです。ここにしかない花が一種類あれば十分なのだが、そういう場所ではなさそうです。ここは同じブランカ山群で、昨日行ったウルタ渓谷の隣なのだから、同じ花が咲いているのは当たり前と言えば当たり前。
写真上 Senecio
soukupii 写真上 Lupinus
weberbaueri 写真下は、5月9日のキルカイワンカ渓谷でも見たペルーの固有種です。
写真上 Gentianella tristicha アンデス山脈では雨季の終わる4~5月がもっとも花が多いとされていますから、今の時期が一番多いことになります。生成AIによれば、ブランカ山群での植生の限界は5200~5300mで、そこに生えているのはイネ科の植物だけらしい。イネ科は風で受粉しますから、その高度にはもはや虫がいないのでしょう。
写真上 Werneria
nubigena ここでは標高4,000mに普通に樹木が生えています。チベットでも同様の高度で樹木を見かけました。学者の解説では、樹木は根粒菌との共生が重要で、これが高度限界を決めているようです。
写真上 Neobartsia
diffusa 写真上 Phlegmariurus
crassus
写真上 Sisyrinchium
pusillum 写真上 Culcitium
canescens 現地ガイドの井瀬さん(仮名)が「あちらに別な花がありますよ」と教えてくれたので、私など数人が斜面を登り、きれいな紫色の花が群落しているのを見ました(写真下)。
写真上下 Nototriche
macleanii これは5月10日にプヤの生えているパチャコト渓谷の奥に、化石を見に行った時に生えていた花で、あの時は標高が4,800m以上ありましたから、この花は環境の厳しい所を選んでいるのでしょう。地面に這うように群落して、大きな花を咲かせる姿はいかにも高山植物です。
下りながら花を見る 登って来たジクザク道を降りて、眼下の二つの湖のほうに戻りながら、所々で花を見ます(写真下)。少し低いほうが植物が生い茂っていますから、花も期待できます。
一カ所目は標高4300mほどで、300mほど下りただけで周囲は緑でおおわれています(写真下)。
毎日のように見かけるルピナスが、ここでも見事に群落しています(写真下)。
写真上 Lupinus
mutabilis 写真下の二種類も昨日のウルタ渓谷で、雨の中で見かけました。
写真上 Tristerix
longebracteatus 写真下 Loasa
grandiflora これまで見た花が多い中、写真下は今回初めて見る花です。ボマレアはシャンデリアのようにぶら下がる花で、最初にお目にかかったのは2019年のエクアドルで、黄色や赤の見事な花でした。
写真上下 Bomarea albimontana 蔓がからみついて、写真下左など、複雑に巻いています。もちろん、人間が巻いたはずはなく、元々この姿です。
写真下左は、昨日まで何度か出てきた花で、簡単に言えば、ハコベの仲間です。 写真下右はValerianaの仲間だという生成AIの意見には賛成ですが、名前はわかりません。
写真上 Cerastium
mollissimum 写真下左は、キキョウの仲間で、昨日のウルタ渓谷など、何度も見かけました。 写真下右は5月9日にキルカイワンカ渓谷の畑に雑草として繁茂していたスイバの仲間で、外来種です。道のそばだから、人間が運び込んでしまったのでしょう。
写真上 Siphocampylus
tupaeformis 写真上 Rumex
acetosella 写真下左はたぶん終わりの花だと思うが、終わったような花が実際は盛りなんてのがありますから、花に失礼にならないように気を付けないといけません。 写真下右は、わかるのはキク科だというくらいで、生成AIに、根本に大きな葉があるなどの特徴を指摘して質問しても、答えられない。
写真下中のハハコグサのような花は、すでに数回お目にかかりながら、名前がわからない。地面から生えているのではなく、1本の古い枝の上から生えています。生成AIによれば、これが一年草か二年草だというから、これだけの根本が2年で成長したことになります。 写真下右は、幾何学的な模様がおもしろいシダで、5月9日にキルカイワンカ渓谷でも見かけました。
写真上 Asplenium
trichomanes 開けた場所に広がる花の群落をお客さんが見つけました(写真下)。お手柄です。
写真上下 Werneria
nubigena
花弁の裏が赤いので、開花前は赤い花で(写真下左)、開花すると白い花になってしまう(写真下右)。逆のほうが虫を集めやすいような気がしますが、何か事情があるのでしょう。
なんとも強烈な青い花です(写真下)。マメ科の植物なので、花の構造はエンドウマメと似ていて、羽を広げたような2枚の丸い青い花弁があり、その下に先が黄色の花弁が突き出ている。黄色い花弁は3カ所くらいのくびれがあります。コロンビアからペルーまで分布します。
写真上 Monnina
crassifolia 屋根に大きな荷物を積んだワゴン車が通過します(写真下左)。おそらく登山隊でしょう。ここは6000m級の山が林立していますから、日本からもたくさんの登山客が訪れています。彼らにしてみれば、こんな低地の道端でウロウロしている私たちが奇妙に見えるでしょう。 チナンコチャとオルコンコチャの二つの湖にかなり近づいてきました(写真下右)。
写真下は5月9日にキルカイワンカ渓谷でも見た野生のパッションフルーツで、ここでも花を咲かせながら、実も付いています。
写真上 Passiflora
trifoliate 写真下左は生成AIが、Gynoxys hirsuteや Gynoxys cuicochensisなど外見の似ている花を提案してきましたが、どちらもペルーには分布しません。同様に、写真下右も名前の特定はお手上げです。
ジグザグの道が終わり、渓谷の下まで降りてくると、周囲には湿地帯などがあるため植物の種類も違ってきます。 写真下は、これまでも何度も出ている花で、シソに似ているが、名前はわかりません。
ケニュアの活躍 樹上にきれいな花を咲かせている植物があります(写真下左)。着生している樹木はケニュアという、午前中に湖のほとりで見かけた、苦労の多い人生を送っている、ねじ曲がった樹木です(写真下右)。もちろん、このケニュアの花ではなさそうです。
寄生ではなく、家賃も払わずに、ちゃっかり場所だけ借りているのでしょう。生成AIに名前を質問しても、ワルナスビなどの日本の帰化植物を出すだけで、候補すらあげません。
昨日もウルタ渓谷で雨の中、ナス科と思われる花が一つだけありました。昨日のは草花で、こちらは茎が樹木のように見えます。ケニュアの枯れたような古い幹に、生き生きとした白い花が咲いているので、影の中に白い花が浮かび上がり、全体がまるで生け花のような印象です。
写真下はケニュアの枝に付いた、少々気味の悪いコブです。生成AIによれば、カビや細菌によってできたのではないかとのことでした。ケニュアはこういう気味の悪いやつも、きれいな花も棲ませているのだから、なかなか懐が深い。
着生ラン お客さんが道端の樹木にランが着生しているのを見つけました(写真下左)。隣のエクアドルではランが道端の雑草のように生えていましたから、ペルーもランが豊富のようです。 着生の仕方が独特だから、簡単に名前がわかるだろうと期待したが、生成AIは候補すらもあげてくれませんでした。
これもケニュアに着生しています。樹木の種類を選んでいるのではなく、ケニュアの表皮がボロボロでつかまりやすく、幹がグネグネと曲がっているからぶら下がりやすいのでしょう。こうしてみると、ケニュアは生態系で大事な役割をしていて、気前の良い大家さんです。
花を拡大しても、なんだ、これ?ランを理解するなど、無理な努力するつもりは最初からないが、それにしても、複数の花が咲いていることもあって、何がどうなっているのか、さっぱりわからない(写真下)。
写真上右を拡大したのが写真下で、後ろに5枚の花びらがあり、手前に大きな6枚目の花びらがあり、真ん中はたぶん穴が開いている。まるで真ん中の二つのコブが手袋をした手のようで、毛糸の帽子をかぶって、白いフリルのついた緑色のスカートをはいた赤ん坊みたいです。
樹木のそばに盆栽のように小さくまとまった別なランがあります(写真下)。花の構造がおもしろく、普通ランは6枚の花びらでできているのに、このランはまるで4枚のように見えて、これも花の真ん中に穴が開いています。この特徴ある花の構造から、生成AIはPleurothalliかRestrepiaの属だろうと提案してきましたが、そこまでで、名前はわかりません。
崖の上に背丈が50cmほどのランが2株あります(写真下)。これも近くで撮るのは難しく、名前はわかりません。
写真上右の拡大図が写真下です。茎の下に奇妙な白い筒状のようなものが付いています。いったい、これは何?タバコの吸い殻?
もう一株のランにも同様の物が付いていますが、絵がぶち壊しになるのでカットしました(写真下)。ランの一部とは思えず、虫の卵や蛹などではないかと思われます。
プヤ 昨日も見たプヤが生えています(写真下)。しかし、ここも崖で近づけない。しかも、5本の内、2本はほぼ枯れていますから、花の終わりの時期らしい。目測では高さ1mくらいです。
写真上下 Puya
angusta 拡大して見ると、少しだけ花が残っています。3枚の花弁が濃い緑色で、まさにプヤの花です。ネット上の解説では、緑色に見える花弁の長さは最大4cmとあります。目測でいうなら、写真の花弁の長さはせいぜい1~2cmで、非常に目立たない花です。
写真下の花弁の先端部分が光に通すと、濃い緑が透き通っています。これで開花した状態ですから、蜜を吸えるのはハチドリやスズメガのようなストローを持っている生き物です。
ここまではわかりやすいプヤだったのに、写真下のもう一つの花がよくわからない。まるでミズバショウみたいに薄緑色の苞に包まれたような黒い部分がある。たぶん、緑色に見えるのは写真上の花弁を包んでいる花苞で、黒く見えるのが花弁の残りではないか。開花が終わっているにしては奇妙な姿で、あるいは開花に失敗したのかもしれません。
写真下のプヤはそばに行けるのに、こういうのに限って、咲いていない。「プヤ君、君のファンがわざわざ地球の裏側から来たというのに、ずいぶんサービスが悪いじゃないか」と小言を言う。
プヤの生えている斜面にたくさん見かけるのが写真下の赤い葉で、これもプヤと同様にパイナップルの仲間で、昨日ウルタ渓谷でも見かけました。たぶん、これから花を咲かせるのでしょう。
写真上 Tillandsia
ionochroma 写真下は、花弁が袋のようになっているカルセオラリアで、これまでも何度が出てきました。ただ、5月8日のウィルカコチャ湖で見たのとは葉が違うので別種と思われます。
写真上 Calceolaria
nivalis 写真下は花だけ見ると写真上とそっくりだが、こちらは樹木で、葉も針葉樹のように細い。紛らわしいのか、多様性があるのか。生成AIはカルセオラリアやエニシダの仲間を候補に挙げましたが、どちらも納得できない。写真を撮っている時にはカルセオラリアだろうと決めつけて、ていねいに観察しませんでした。
写真下はベンケイソウの仲間と言われれば、肉厚の葉がそれらしい。花は小さく、ここ一カ所にまとまっているだけで、他では気が付きませんでした。“Flores Silvestres de la Cordillera Blanca”ではVilladia reniformisとありますが、Kew植物園によれば、今はSedumのようですから、こちらを採用します。
写真上 Sedum reniforme 写真下の印象深い青い花は、旅行会社の一覧表ではPerezia
pedicularidifoliaとありましたが、それはチリやアルゼンチンの標高1300~2000mにある植物なので、外来種として標高4000mの高地に生えている可能性は低く、また背丈も合いません。 根本や葉などを撮るべきだったが、これほど判断が難しいとは予想もしませんでした。そして、今回の旅行ではこういう花のなんと多いことか。
写真下左は見るからにカタバミの仲間です。日本のカタバミよりもはるかに背が高い。昨日、市場でも見たオカという芋はカタバミで、アンデスでは一般的な植物らしい。それでも名前はわかりません。 写真下右はキクの仲間だとわかるだけで、生成AIに質問しても、もちろん無駄でした。かなり花の茎が長いのが特徴です。ただ、緑色に見える葉がこの花の葉なのかはわかりません。
湖のそばにピンク色の花を咲かせた樹木があります(写真下)。普通の花の逆に、周囲に広がるのがシベで、花弁自体は内側にあります。高さは軽く5m以上はあるでしょう。高山らしく、花と、花が終わったのと、実を付けたのが同時に見られます。ペルーとエクアドルだけにあって、しかも、この仲間はこれ一種類しかないので、名前の判断に迷うことがありません。
写真上下 Oreocallis
grandiflora
写真下は見事に花を咲かせていますが、いつものように、名前はわからない。
写真下は学名にインカが入っているように、アンデス山脈の標高2700~4500mに生えています。写真下左の奥に水色に見えるのが湖で、こういう渓谷の底や川沿いを好みます。
写真上 Buddleja
incana 4月に行った北ギリシャのように植物の専門家がいると、見かけた花を一覧表にしてくれるので、その場ではていねいに見なくても、名前の判断はなんとかなってしまう。今回の旅行は植物の専門家がいないことと、ペルーでは植物学が一般に普及していないのか、かろうじて手にいれた図鑑にはたった100種類しか載っておらず、それも名前不明がそちらこちらにある有様です。 渓谷を出る 夕方になり陽が入らなくなったヤンガヌコ渓谷のU字谷を出ます(17:26)。
国立公園の入口まで戻ると、またピンク色の羊とオジサンが帽子を振って出迎えてくれます(写真下、17:37)。誰にでも分け隔てなく挨拶をするのは素晴らしい心がけです。
5時すぎているので、職員はもう帰ってしまったようです。建物の前にはテントが2張あって、明日ここから山登りをするらしい(写真下)。電気や水道、トイレが使える最後の場所です。 乾季になるこれから登山客が増えます。私たちの後の6月下旬、ワスカランで日本人の登山者が二人遭難したというニュースが伝わってきました(朝日新聞デジタル版、2025年6月26日)。後で井瀬さんに聞くと、現地のガイドを付けずに登山したようです。
燃えるワスカラン 公園の入口を出て、ヤンガヌコ渓谷を出て下り始めるころには、近くの山の斜面には陽が当たらず、高いワスカランやワンドイにだけ夕陽が当たるようになりました(写真下)。これはブランカ山群と並行して西側にネグラ(Negra)山群があり、その影に入ったからです。
すごい光景なので、バスを停めて撮影です。ワスカランの雪が激しく燃えあがっている。
刻一刻と雲が流れて姿が変わるだけでなく、写真上と下で色が違うのはホワイトバランスのせいだけではなく、実際に色が変化しています。
北隣のワンドイにも赤い雲がかかっています。しかし、荒々しく燃え上がるワスカラン夫と違い、ワンドイ妻は穏やかです。峰がカミソリのように鋭いから、きつい性格かと思ったが、そうでもないかもしれない。
南にブランカ山群の山並みが続いていて、こちらも雲が多いので、空全体が燃えています(写真下)。
写真上ではほぼ雪山全体に夕陽があたっていたのに(18:00)、その2分後の写真下では山の頂上部分だけになり、全体が暗くなって、色も赤味が強くなっています(18:02)。夕陽を浴びる雪山のドラマはあっという間に終わりました。
バスで降りていくと、だんだん夕陽の色が薄れ(写真下左、18:05)、やがて夕陽の赤色が消えて、雪の白い色だけになりました(写真下右、18:11)。
これは下の図のように、ネグラ山群が邪魔して、ワスカランに夕陽は当たらなくなったが、太陽はまだ出ているので上空は明るいからでしょう。ワスカランのあるブランカ山群とネグラ山群との位置関係と高さの微妙な違い、そしてワスカランが、夕陽が沈む海面とは6000m以上も差があるから生じた現象です。まあ、そんな説明はどうでも良く、ワスカランが日本から来た私たちのためにすごい夕焼けを見せてくれました。
ホテルに戻る ホテルに戻ったのは、8時を過ぎていました。9時から、いつものホテルの5階で食事です。料理は薄味なので私は文句ありません。モラレスさんの奥さんの腕を褒めます。
写真下のイチゴは、今日行ったあたりでビニール栽培されたものでしょう。ただ、日本のイチゴと比べると、味はまだ改良の余地があります。また、昨日など昼食に付いていたリンゴを一口かじって捨てました。普段、食べ物を無駄することはなく、自宅なら味の悪いリンゴも煮るなどして食べるが、旅行中は胃腸に反乱を起こされるのが怖い。総じて、この地方の果物は見た目ほどおいしくありませんでした。
今日は天気も良く、昨日のように雨や寒さに悩まされることもなく、助かりました。明日はいよいよペルーでの花の観察の最後の日です。雨期も終わりなのだから、このまま良い天気が続いてほしい。 表紙 日程表 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10・11 |